◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

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高瀬栞菜
「After the Same Moon|同じ月を見た、そのあとで」


《背負う亀》
116.7×91cm
キャンバスに油彩
2025


《Letters》
116.7×116.7cm
キャンバスに油彩
2025

2025.6.21 (土) ~ 7.12 (土)

この度イムラアートギャラリーでは、高瀬栞菜の個展「After the Same Moon|同じ月を見た、そのあとで」を開催いたします。

高瀬は、1994年大阪生まれ、2020年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了後、京都を拠点に活動しています。2024年には、京都府新鋭選抜展最優秀賞を受賞、京都市文化博物館別館ホールにて、大規模な個展を開催いたしました。

動物をモチーフに描かれることが多い高瀬の作品ですが、その根底には、人間のコミュニケーションに対する興味があり、言葉では表しきれない感情を動物に置き換えて表現しています。爪や牙などは、お互いを傷つけあう要素であり、毛皮は自分自身を守っているメタファーでもあります。

展覧会のタイトル「After the Same Moon|同じ月を見た、そのあとで」には、「人と人とのあいだに生まれる重なりと、そこから生まれるすれ違いや微細な感情の揺れ」を「同じ月を見た、そのあとで」という時間の余白を通して描きたいという作家の思いが込められています。

本展では、新作10点を展示予定です。イムラアートギャラリーでの2 年ぶりとなる高瀬の個展を是非ご高覧くださいませ。

<アーティストステートメント>

「After the Same Moon」同じ月を見た、そのあとで。
一緒に過ごしたはずの時間、共有した記憶、同じように見上げた月。けれど、その “同じ” の中には、いつの間にかずれていく心の動きが潜んでいます。時間が経つにつれて、思い出す景色も、そこに重ねる気持ちも、少しずつ変わっていく。同じだったはずのものが、知らないうちに、ちがうものになっていく。

今回の展示では、そんな人と人とのあいだに生まれる重なりと、そこから生まれるすれ違いや微細な感情の揺れを、「同じ月を見た、そのあとで」という時間の余白を通して描こうとしました。 その揺れは、何気ないやりとりの中でうまく伝えられなかった思い、ふと湧いた不安や、名前のつかない悲しさ。人と関わることで立ち上がる、言葉にしにくい感情の揺れを、動物や植物、モノの姿に置きかえながら、ユーモラスでありつつ、どこか不穏で切実さを帯びた画面に落とし込み、小さな物語の断片を紡ぎました。

重なった時間の記憶と、そこからすこしずつ離れていく私たち。そのあわいに漂う気配が、あなたの中 にある「同じ月」の記憶と、静かに響き合うことを願っています。

高瀬栞菜

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

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〈ギャラリー〉

 

逃げたメロス
谷口雄基


2025.6.10(火)〜 6.15(日)

本展覧会は、社会的な規範や共同体からはみ出した物語の主人公が、どのように自らが起こした行為の責任を引き受け、物語を主体的に制作し直すことが可能か思考実験するものである。文学テクストや自他の言葉を参照しながら、人間の根源的な弱さや悪を確かめることから始めてみたい。

 

予想外の日々
長谷川泰子


2025.6.17(火)〜 6.22(日)

予想外のことが次々におこり、混乱のなかで生きている。
自分自身の肉体的、感情的な変化だけでなく、私を取り巻く空気も予想外。
私たちはどこへ行くのだろう。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

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showcase #13
“ひとの気配 – Human signs”
curated by minoru shimizu


宮下五郎


山崎雄策

2025.4.11(金)〜 5.11(日)
開廊日時:上記会期中の金・土・日 12:00-18:00
月〜木曜日はアポイントメントを承ります。
KG + 2025参加

eN arts では、清水穣氏のキュレーションによります、写真・映像に特化したグループ展 “showcase #13” を開催いたします。写真及び映像の現代若手作家のショーケースとなるこの展覧会は2012年からスタートし、シリーズ13回目を迎えます。 清水氏が「showcase#13 “ひとの気配 – human signs”」のために選出したのは、2014年キヤノン写真新世紀で優秀賞を受賞した山崎雄策と、2017年キヤノン写真新世紀佳作賞受賞の宮下五郎。

「ひとの気配」とは、視覚では確認できないけれど、微小な音やその遮り、空気の動きなどで感じられるもの。見ることのできない「ひとの気配」を、見なければならない写真作品でどのように表現してくれるのでしょう。どうぞお楽しみに。

eN arts

eN artsは 本年もKYOTOGRAPHIE2025に KG+ for Collectorsとして参加致します。


ひとの気配

ここ数年来、showcaseは、初登場の新人と、過去に登場した作家の2人展という形を取っている。二人の作家を選ぶ際に、とくに共通のコンセプトとか相性というものは考えない。むしろ二人の写真家を組み合わせることで、コンセプトはあとからあぶり出されてくる。あるコンセプトをいかに表現するかにおいて、二人の写真家が相補的であることもあれば、対照的であることもある。

宮下五郎は、2017年にキヤノン写真新世紀佳作(清水穣選)を受賞して注目された。今回は、「目は口ほどにものを言い」とか「ふと視線を感じる」とか言うときの「眼」であり、宮下はそれを文字通り被写体とする。撮影された眼はカメラ目線ではなく、その瞳が開いているので、暗がりにいる被写体の眼にピンポイントで光を当てて撮影していることがわかる。つまり、これらは口ほどに物を言う眼、視線を向ける眼を、観察した写真なのである。機械としての写真の力が存分に発揮される。無言の雄弁さを奪われ、何を見ているわけでもない、ただの即物的な眼が並んでいる。

山崎雄策は、ちょうど10年前、2015年のshowcase #4にも登場してもらった。2013年キヤノン写真新世紀佳作(清水穣選)で注目され、翌年には優秀賞を獲得した。今回は、デビュー作「さい子」シリーズのリニューアル&リミックスバージョンとのことである。ヒッチコック監督の「サイコ」に掛けた「さい子」は、写真が好んで生み出す、目に見えないもの(とりわけ人間)の気配、痕跡、視線を主題として、前兆と痕跡、未来と過去をめぐるそのレトリックを、写真によって問い続けている。

2025年4月、清水 穣

EYES TALK

眼は、嘘が苦手だ。
眼は、無防備で、正直だ。
他人に自分の内面を悟られたくないという心理とは逆に、
どれほど隠そうとしても、眼は、人間の心をありのままに映し出す。
喜び、悲しみ、怒り、驚き。
愛、憎しみ、妬み。
孤独、嫌悪、困惑、焦燥、恐怖。
人間のありとあらゆる複雑な感情は、二つの眼球に精密に映し出される。

写真を撮るという行為が、人間の本質を炙り出すものだとしたら、
究極のポートレートとは、人間の眼である。
人間を人間たらしめる究極の臓器。それは、むきだしの眼をおいて他にない。
年齢・ジェンダー・職業・障害・国籍。
そのすべての境界を乗り越えて、写真家、宮下五郎が、
多様な108人の眼のポートレート撮影に挑んだ。

宮下五郎

女子高生が77日ぶり発見、「神隠し」騒動の謎深まる

「2013年7月11日から行方不明だった千葉県茂原市の女子高生(17)が、9月26日に自宅近くの神社の社で発見された。衰弱し体重は半分に減少、軽い脱水症状を示すが怪我はなし。本人は社に隠れ、畑の野菜を食べていたと説明。しかし、過酷な環境で77日間過ごせたのか、発見の遅れや証言に矛盾があることから、ネットでは「神隠し」の噂が広まり、真相は未だ解明されていない。」

山崎雄策

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

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風景(2.24)
中島慎一


2025.6.10(火)〜 6.21(土)

今世紀も四半世紀が経過しました。
前世紀前半(二度の世界大戦)で克服されたと思われた、武力による侵攻戦争が現実のものとなりました。東西冷戦体制の崩壊によって、ようやく独立を果たした国の二色旗は、大草原に広がる青空と小麦が実った豊穣の海を表しています。

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

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KG+
酒井一貴
"You are not I"


「夢見る2本の足 Two Dreaming Legs」
(2024)


「オレンジ色に光る穴 Orange glowing hole」
(2022)

2025.4.30(水)~ 5.11(日) 13~19時
休廊日:5.5(月・祝)・6(火・祝)

You are not I.
この言葉は38年前、カセットテープの最後に偶然録音された深夜映画のはじまりのセリフだ。「あなたは私ではない」と話す女性の声を、16歳の私が耳にして以来、この言葉は私の記憶の片隅に残り続けた。それはサラ・ドライヴァーの同名の映画の冒頭の音声だった。私はこの映画を未だ観ていないし、この言葉がどんな理由で生まれた言葉なのかも知らないが、この言葉は今の私に、いくらかの勇気を与えてくれる。
あなたは私ではない、それはつまりあなたは私と同一の存在ではないということだ。その当たり前の事実は、あらゆる表現に価値を与え、そして写真家にとって自らの視野を授かる根元となる。私にとって写真とは永遠なる客観であり、けっして交わることのない関係から生まれるもので、撮られた1枚の写真の奥には、静かで暴力的な野生が眠っている。それは写真の資質につながることであり、その事実は不思議に面白い。
私は自分が撮った写真に多くを求めないが、そこに写った事実の中に潜む「何か」を凝視することで、人間という存在を少しでも浮き彫りにしたいと望んでいる。(酒井一貴)

1970年滋賀県生まれ。夜明けの時間に見る風景をはじめとして、人という存在を客観する視点を探りながら写真作品を制作している。
*作品集「それでも写真が好き」電子版・紙版同時刊行/2025年4月30日予定(発行=ヴォイスギャラリー/デザイン・制作=クラフティヴ電子出版株式会社)

 

特別展
日下部一司

2025.4.30(水)~ 5.11(日)

*常設コーナーにて、KG+参加展「酒井一貴 You are not I」と同時開催。

京都市下京区筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:13時~19時 休廊日:HPにてご確認ください。

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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SPECIAL EXHIBITIONS
スキマをひらく
乾久美子 小山田徹
田中功起 副産物産店


Koki Tanaka, Provisional Studies:
Workshop #7 How to Live Together
and Sharing the Unknown, 2017.


乾久美子|ねれる公共/横浜美術館
(撮影:川又修平)


副産物産店 ACKキッズプログラム


小山田徹「いま、バリアとはなにか」
展示風景(せんだいメディアテーク、2010)

2025.5.3(土)〜 6.22(日)
休館日:月曜日
5.5(月・祝)は開館、翌平日の5.7(水)を休館

主催:京都市立芸術大学
企画:藤田瑞穂(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
チーフキュレーター/プログラムディレクター)

世界のあちこちで分断と対立が深刻化し、先行きが不透明な時代にわたしたちは生きています。そうしたなかで、多様な背景をもち、考え方もそれぞれに異なる人々が歩み寄り、共に生きていくためにはどうすればよいのでしょうか。コロナ禍に起きたさまざまな変化は、社会の効率化を加速させました。しかし、過剰な効率主義は、人と人との関係性を少しずつ、希薄にしてしまいます。共に生きることを目指すためには、まず、場を共にすることからはじめなければなりません。丁寧に時間をかけ、対話を重ねておたがいを知ろうとし、学び合い、認め合うことの大切さを、いま、あらためて考える必要があります。

本企画では、人々が時間と場所を共にし、対話を重ねることによって広がる可能性について、4組の作品や実践を通して考察します。田中功起は、「共に生きるとは何か」というテーマのもと、人々の協働や共同体のあり方を問い直す活動を長年続けてきました。本企画では、2017年にミュンスター彫刻プロジェクトで発表された《Provisional Studies: Workshop #7 How To Live Together, And Sharing The Unknown》(一時的なスタディ︰ワークショップ7 未知なものを共有し、いかにしてともに生きるか)をとりあげます。この作品は、さまざまな文化的背景を持った近隣住民8名が参加した9日間のワークショップの記録映像を中心に構成されています。このワークショップは、ロラン・バルトがコレージュ・ド・フランスで行った講義のノート『いかにしてともに生きるか』に着想を得たものです。バルトは、ギリシアのアトス山にある修道院の、同じ空間にありながら、それぞれのリズムを保った生活形態「イディオリトミー(固有のリズム)」に共生の可能性を見出していました。ワークショップの参加者たちは、数名のファシリテーターとの協働による複数のプログラムに取り組み、議論を交わします。合計で4時間半を超える記録映像からは、むしろ共に生きることの難しさが感じられるかもしれません。はたして本当に共に生きることはできるのか、映像の前に立つ鑑賞者は、あらためてその問いに向き合うことになるでしょう。

京都市立芸術大学及び京都市立美術工芸高校移転整備工事乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同企業体(以下、京芸設計JV)の代表である建築家の乾久美子は、日常で、また仕事先で出会った、誰がつくったのかわからないけれど、生き生きとして、人の温もりを感じることのできるささやかな場所を「小さな風景」と呼び、協力者と共に膨大な数の記録を撮りためてきました。本企画で紹介するこれらの「小さな風景」に、乾はコモンズ的なもの、場所への愛着、居心地、共有の感覚の源泉などを見出し、日々の学びとしています。なかには、あるコモンズのなかに、また別のコモンズが生まれ、共存しているものもあります。このように一時的に発生するコモンズは、コモニングと呼ばれます。こうした日常的でローカルなコモンズ/コモニングの事例を蓄積しながら活動してきた乾は、建築をつくるのではなく「おく」と表現しています。その言葉には、建築とは空間を与えるものではなく、その場に生きる人々と相互に関係し、その人々が生み出す「小さな風景」と共にあるものと考える建築家の思考が表れています。

矢津吉隆、山田毅による「副産物産店」は、京芸設計JVの機運醸成・リサーチチームの活動から生まれたアーティストユニットです。制作の現場から出る廃材など、いずれは捨てられる運命にあったモノたちを「副産物」と呼び、それらを回収・活用・販売する活動を行ってきました。また、資材の循環を目指した「芸術資源循環センター」、副産物の楽器を用いて演奏を行う「副産物楽団ゾンビーズ」など、基本の活動から派生した複数のプロジェクトを手がけています。本企画では、乾の「小さな風景」と、元の素材の周囲にかつてあったもの、あるいは用途に着目しながら新たな風景を作ろうとする副産物産店の作品が重なり合うコラボレーションのゾーンを入り口として、「副産物」の循環と活用をさまざまな角度から体験できる場を展開します。

昨年度まで本学美術学部彫刻専攻の教員を務め、この4月に本学理事長兼学長に就任した小山田徹は、数十年にわたって、「共有空間の獲得」をテーマとした活動を続けてきました。ホームパーティーが外に広がっていったかのような、人々がゆるやかに集う「カフェ」、小さな焚き火のもとに集う場などの共有空間は、対話や議論が生まれ、育まれていく場所となっています。それらはすべて与えられた空間ではなく、ばらばらな人々が集い、それぞれ固有のリズムを保ちながら、自分たちがつくったものとして愛する空間です。これらもまた、イディオリトミックな共生の場ということができるでしょう。本企画では、約15年間ものあいだ、小山田が作り続けてきた共有空間で、その役割を変化させながら寄り添ってきた小屋状の立体作品《浮遊博物館》を、新キャンパスに「おく」ところからはじめます。実はこの作品は、ようやくその使命を全うして「副産物」になりかけていたところを修復され、復活したものです。そして展覧会会期中の週末には、誰もにひらかれ、それぞれが思い思いに過ごすことによって育つ共有空間「ウィークエンドカフェ」が出現します。

社会の隙間をひらくことで共有空間が生まれ、その場に集ってきた人々によって社会とのつながりができていきます。そして一時的にでも共にいることで、学び合い、認め合い、委ね合う関係性が築かれていくのです。共に生きることの可能性や未来を、本当の意味でひらいていくのは、そうして生まれてくる共有空間を、人々が愛をもって「小さな風景」に育てていくことの積み重ねなのかもしれません。

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

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AKI KURODA
COSMOGARDEN 1960-2025


2025.5.31(土)~ 2025.6.22(土)
休廊:月・火、6.4 〜 6.10

MORI YU GALLERYは5月31日(土) - 6月22日(日)まで、黒田アキ個展「COSMOGARDEN1960-2025」を開催いたします。本展では黒田アキの新作絵画と1960年代以降の絵画を展示いたします。どうぞ御高覧下さい。

黒田が1990年代前後、東京国立近代美術館の個展時に描いていたブルーの人型や明快な絵画とは対照的に、最近では、『ミノトール』を彷彿とさせる顔作品、創造の都市、ミュータント、スポンジのような形体物、隕石、スパゲッティのような線の人やうさぎ、angelなどを強烈なストロークや様々な色使いによって描いています。一見すると全く違うようにみえる作品群ですが、黒田アキからするとこれらはCOSMOGARDEN(宇宙庭園)において全て繋がっているというのです。
さて、黒田の描く顔は時に円形の庭のようにも見え始め、鑑賞者は黒田が語る庭という小さな「宇宙」へと引き込まれていきます。宇宙について、黒田は次のように述べています。

「宇宙は海綿、スポンジのような形をしているといわれていて・・・たえず、パッサージュ、穴が開いている。・・・アートは結局ラビラントのようなもので、問題はそこから逃れるためにものをつくるわけなんですが、ミニマル・アートなんかは、スッキリとね、逃れられるわけです。・・・だけど生身の人間というのは、やはりそれじゃまんぞくできなくて、もうひとつのラビラントをつくらなければいけない」。

黒田が語るラビラント(迷宮)は、ミノトールの住む場所であり、長く描いてきた人型はそのCOSMOGARDENへの入口、バッサージュ(抜道)なのです。我々は入口を通り過ぎ、スポンジ状の宇宙にも似た迷宮の奥へ奥へと迷い込んでしまいます。そこには海が広がり、蛸や烏賊はそこに生息するミュータントの一つ。それらはまた変化して、可愛らしいキャラクターとなり、happy girl、happy boy やsuper boyといった言葉を発しながら、明るく楽しく迷宮を闊歩しています。

こうしたミュータントの原型とも言えるfigureは、1960年代から描かれており、それは今なお形態を変えながら、立体としてもつくられてきました。黒田が作った9mのオブジェ「Cosmoflower」(東京ドームMeetsportホールでのアートワーク)、「マリリン」、「ジェームス」がそうです。まさに黒田のキャンバスからこぼれ落ちた隕石のように存在するそれらは、また絵画の中にも呼び戻され、形を変えて黒田のCOSMOGARDENに登場し続けます。我々鑑賞者は、迷宮を進むたびに、個々の様々な物語や記憶に似たものに出会い、喜び悲しみつつも新しい世界への出会いを求めてさらに進みます。ミュータントのようなうさぎが我々をアリアドネの糸で誘いながら、未来への世界の入口へと導いてくれるのです。黒田が描くそれぞれの要素は、COSMOGARDENの中での連続性を担保するものとして重要な役割を担っています。COSMOGARDENという発想は中心を持たず、常に変化し、すべてに繋がりつつ、未来を切り開くための多くのヒントを我々に与えてくれるのです。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

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〈1F〉
227展 三大寺青楓・岩田百子・仁志出孝春

2025.6.10 (火) ~ 6.15 (日)

岩田百子
平面作品では具象、抽象にこだわらず
好きな形と色で制作していきたい。
“何でもあり” といつも自分に言い
聞かせながら格闘する。
ねばれ!  体力だ! 歳に負けるな!
作品が好きな方向にむかっているときは
鼻歌が出るが、しばしばノックダウンされる。

三大寺青楓
書道と水墨画の素晴らしさと面白さをミックスし墨の濃淡や滲み、掠れなどで自らの心象風景を映し出し、自由な筆の運びで大胆かつ、繊細に表現した抽象作品です。

仁志出孝春
水辺のシンフォニー

 

〈2F〉
角 りわ子 展(陶)

2025.6.10 (火) ~ 6.15 (日)

1995年の水上勉先生との二人展以来、当画廊への御出品は、個展・グループ展・小品展等約80回を数えますが、角さんの作品は、その度に新しい輝きを放っています。
信州八重原高原の硬い山土を、京都清水で修業した技を駆使して個性あふれる作品に仕上げる。知的で目に美しく、手に取ると思いがけず軽く、温かくなじんで使いやすい角さんの器。「用」に基づきながら、そこに独自の「美」を結実させた角りわ子さんの作品世界をどうぞお楽しみ下さいませ。

ギャラリーヒルゲート

 

〈1F〉
時空を超えた『顔』合わせ展
-中村正義・木下 晋-

2025.6.17(火) ~ 6.22 (日)

若くして日展で活躍しながら日本画壇の権威に反旗を翻し、日本画の革新を目指す「風雲児・異端児」と呼ばれた中村正義。
その23年後に生を受け、極貧の中から独自の鉛筆画の世界を確立した木下晋。
中村の生前に相まみえることのなかった二人ですが、生を凝視し、人の顔を描くという共通点で作家として通底するものがあります。中村正義の長女倫子さん、その同級生城島徹さんと木下晋さん…。人と人のつながりの中から「時空を超えた『顔』合わせ展」が実現しました。二人の「異端児」の出会いをどうぞお楽しみ下さいませ。

ギャラリーヒルゲート

 

〈2F〉
佐々木和子 作品展(日本画)

2025.6.17 (火) ~ 6.22 (日)

 

〈奥庭空間〉
菊地伸治 展 時空の旅人
(彫刻) (国画会会員・日本美術家連盟会員)

2025.1.13 (月・祝) ~ 6.15 (日)

神の法則を知ろうとする人類の営みはいつしか限界を忘れ、畏れることを忘れた。
石の前で瞑想する。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

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<ギャラリー南・北ほか>

 

京都芸術センター開設25周年記念展
「そのへんにあるもの」


2025.4.12(土)〜 6.8(日)
休館:4.23(水)、5.27(火)・28(水)

出品作家:赤瀬川原平 岡田真由美 伊達伸明
     田中功起 寺岡波瑠 葭村太一
主催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
ギャラリー南「京トマソン マラソン!」企画:
  龍谷大学カルドネルゼミ
「そのへんにあるもの」企画アドバイザー:
  平芳幸浩(京都工芸繊維大学教員)
特別協力:トマソン観測センター、路上観察学会[ROJO]
     赤瀬川尚子
共同制作:KYOTOGRAPHIE京都国際写真際

京都芸術センターでは2025年4月12日(土)から6月8日(日)まで、開設25周年記念展『そのへんにあるもの』を開催します。

ギャラリー南の「京トマソン マラソン!」(KyOtOmAsOn MArAthOn!)展は、「超芸術トマソン」の概念を学び、体験しながら探究する参加型の展覧会です。「超芸術トマソン」とは、赤瀬川原平 (1937-2014) が提唱した「不動産に付着し、美しく保存されている無用の長物」です。トマソンは、芸術作品と同じく、あるいはそれ以上に、無用なものであるに関わらず、建築物に付着し意図的に保存されているかのように見えます。作者が存在しないにもかかわらず、それは見る者にとって芸術作品のように映ります。本展では、展示資料、写真、ワークショップ、朗読会、「トマソン公開報告会」 などの参加型イベントを通じて、観察の視点を養う機会を提供します。街を観察する楽しみを共有することが、本展の目的です。
一方、ギャラリー北や館内各所では、「トマソン」を見出した赤瀬川原平と似た視点を持つと思われるアーティスト5名の作品を展覧します。映像、彫刻、あるいは考現学的な調査資料のような多彩な作品は、そのへんにある風景を新たな視点で楽しむ方法を示してくれるでしょう。
遠くにある高尚なものではなく、身近にあるささやかなものへ―。こうした視点の転換が、アートワールドにおいて繰り返されてきたことは承知しています。しかし、25周年という節目を迎えた今、改めて私たちは身近な風景を見つめ直したいと考えています。
どうぞ気軽にこの展覧会をお楽しみください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

GALLERY TOMO

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佐々木 麦 展
連鎖するイメージ

2025.6.13 (金) ~ 6.28 (土)
12:00–18:00(日月火 休)

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

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山下茜里 個展
-UNSTOPPABLE-


2025.6.6(金)〜 6.15(日)

KUNST ARZTでは、2年振り、4度目となる 山下茜里の個展を開催します。
山下茜里は、蝋染技法を駆使し、眼球や皮膚を 剥がされたような「人」のモチーフを通して、 ヒトの本質を考察するアーティストです。
本展では、時間をテーマに「過去」「現在」「未来」 についての3種類の新シリーズで構成予定です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント】

身体の先まで張り巡らされている無数の管 血液を通して様々なものが行き交うこの身体は、 常に熱を帯びている。
真っ白な布の上に熱い蝋が走り、幾層にも重なり、 やがて思い描く形に見えてくるその様は、 およそ40週間の時間をかけ、何もなかった母体から みるみるうちに形作られていく人間のようだ。
私は、重ねた熱の痕跡で「人」を作っている。
「人」を作るのに適した方法がこれだと思っている。
自分、そしてこれまでに出会った人々、 その誰しもが「ヒト」という単一の生き物だ。
その明白な事実と、自分が「人間」であることへの執着、 生き物としての「ヒト」への強い興味から、 「人間」を表現し続けている。
かつて遭遇した、ヒト特有の「ことば」や「ふるまい」「おもい」を 基に作品を制作している。そして、それを誰かに見られている 光景をわたしが見つめ、そうした行為の流れの中に わたしの作品は存在している。
また「目」はわたしが「人間」を表現する上で不可欠な要素だ。
人の目は、他の生物にはない独特な眼差しと、 その内にある個人性を強く覗かせている。 それは「目」が人体で唯一むき出しにされた 透明の臓器だからかもしれない。
自身の内と外を通ずる唯一の窓だからかもしれない。

 

小坂美鈴 個展
編集すること


my asterism_piece_laundry
2025
写真用光沢紙、ナイロン糸
W3000×H1080 (mm)

2025.6.17(火)〜 6.22(日)

KUNST ARZTでは、初となる 小坂美鈴の個展を開催します。
小坂美鈴は、写真で捉えた 日常目にするモノを糸のようにカットし、 編むことで再構成するアーティストです。
作品は、縦糸、横糸のように 2つのイメージが重なるだけでなく、 レリーフ的なボリュームも内包します。
幼い頃に、散らかった部屋を 写真を通して諭された経験があり、 作品は一貫して“見る”ことへの考察でもあります。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント/展覧会コンセプト】

小坂美鈴は、一貫して「編む」行為に 着目しながら制作をおこなう。
「編む」ことを、ものを別の存在に変換させる 原始的な方法と捉え、そこに内包されている 時間や労働に着目している。
工業製品や写真などの日常にありふれている 人工的な素材を用いて、ものが行為によって 分解・再構成されていくプロセスと、 社会生活を自分なりに解釈するために向ける プライベートなまなざしを重ね合わせている。

 

井阪 郁 個展
こころ痒痒


2025.6.24(火)〜 6.29(日)

KUNST ARZT では、2年ぶり3度目となる 井阪郁の個展を開催します。
井阪郁は、シルクスクリーンと縫いの技法を用い、 凛として、品のある心象風景コラージュを 作り出すアーティストです。
本展は、アーティスト自身が心臓の奥に チクリと痒みを覚えた感情をきっかけに 制作した作品群での構成です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【展覧会コンセプト】

見たもの触れたもの聴いたものなど 私が得た様々なすべての感覚を 大切にし作品に投影している。
感覚的なイメージを表現する上で、 具体的な意味を有する事象(モチーフ)を コラージュのように染め重ねたり、縫い重ねたりした。
モチーフたちが重なることで意味は 曖昧になり抽象的になっていく。そして、 一つのメッセージを表現すると考えている。
作品は私の中の感覚が体外に出て 形になったものと思っている。

 

gallery MARONIE + KUNST ARZT present
bookish




井上結理
私への物語
2023
本 私


岡本光博
w#288
日本の虹(この七つのいろ)
2023
高松次郎作品集「Words and Things」
クリアフィラメント、LED
205×255×142mm

2025.7.1(金)〜 7.13(日)

この度、 KUNST ARZTとgallery MARONIEとの 共同企画として新たなかたちの 企画展を立ち上げる運びとなりました。
この企画は、 作家、 ギャラリーの交流も ひとつの目的としています。
初回は 「本」 をテーマとします。
小説、 絵本、 辞書、 聖書、 雑誌など様々な本があります。
読めても読めなくても、 ページを捲れても捲れなくても、 本の形状をしていてもしていなくても、 テーマが「本」であればかたちは問いません。

西川寛 gallery MARONIE
岡本光博 KUNST ARZT  

 

久保尚子 個展
一瞬の風を紡げば


2025.7.15(火)〜 7.20(日)

KUNST ARZT では、久保尚子の初個展を開催します。
久保尚子は、漆の艶と質感を生かし、 動物のしなやかな身体の動きや空気の流れを 可視化するアーティストです。
大胆過ぎるデフォルメは体の構造さえ欠落する 箇所も出てきますが、力強さやスピードといった 生き生きした野生としての生命力が 美しい漆の仕上げと相まって、独特の世界観を 構築しています。本展ではキツネ、リス、鹿、ウサギ、 羊といった5種類の動物たちをご覧いただけます。
また宙漆(そらうるし)プロジェクトへの参加によって 漆表現の可能性を探求しています。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【展覧会コンセプト】

漆は、塗り重ねることで生まれる深みのある透明感や、 温もりを感じさせる光沢が特徴の素材である。 私は、伝統技法である呂色仕上げの美しい艶を活かしつつ、 独自の造形表現を探求してきた。
なかでも、動物のしなやかな身体の動きや、 そこに生まれる空気の流れを可視化することをテーマに、 漆の滑らかな艶と質感が引き立つ 曲面的なフォルムを追い求めている。
本展では、そうした動物たちの姿を一堂に集め、展示を行う。

【アーティスト・ステートメント】

私は、身体が「ここに存在する」と 実感できる瞬間に心を動かされる。
それは、観察を通して感じ取ることのできる曲面や曲線、 動作に応じて変化する空気や水の流れ、 光が生み出す影、静寂の中で聞こえるかすかな音ー。
私は、そうした些細な事象を拾い集め、 漆ならではの艶や温もりを活かしながら、 それらを作品へと昇華したいと考える。

 

大石茉莉香 個展
パープルレイン


2025.7.26(土)〜 8.3(日)

KUNST ARZT では、昨年に引き続き、 12年連続となる大石茉莉香の個展を開催します。
大石茉莉香は、崩壊から消滅に至るイメージに 美を見出してきたアーティストです。
「止むことのない犠牲への鎮魂」をコンセプトに、 メインルームでは、「肉」の画像を雨の降る屋外で プリントアウトし、雨で崩壊していく画像の上に オイルバーで描いた絵画作品とその記録映像を、 サブルームでは、210か国の国花を燃やす映像と その燃やした花から構成する予定です。
また、本展タイトル“パープルレイン”は、 前回の個展において、210か国の国旗を インクジェット印刷した画像を水で溶かした際に、 どの国にも使われていない紫色が 立ち現れたことにも由来しています。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント + 展覧会コンセプト】

止むことのない犠牲への鎮魂
もうどこの国の人がなどの問題ではなく増えていく犠牲に
なすすべがないとわかりながらも抗う。

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

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*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F〉
根垣睦子 個展
—銀筆に魅せられて—


2025.6.10(火)~ 6.15(日)

ギャラリー恵風では2年ぶりの展覧会となります。
1976年に二紀展に初出品し、約半世紀。その間、油彩、アクリル、パステル、鉛筆など様々な描画材を試みてきました。
今回の個展では【鏡】をテーマに、フィレンツェで学んだ古来の技法であるシルバーポイントと共にこれまでの自分と向き合い、目に見えないものをどう表現するかに重きを置いて取り組んでいます。新しい可能性を模索しながら、自由な表現の中に個の存在を作品に写し込めたらと思います。(根垣)

 

〈2F〉
稲垣直樹 個展
―聖衣と巡礼の道-


2025.6.10(火)~ 6.15(日)

中世イタリア・カトリックの聖人サン・フランチェスコが当時身に着けていたとされる粗末な修道着をモチーフに描き出してから、かれこれ30年の歳月が流れた。今もなお<聖衣>を初めて見た時の衝撃と感動が忘れられず描き続けている。今回の展覧は<聖衣>をめぐる欧州のカトリック巡礼路にまつわる遠い記憶を心象風景化してタブローにまとめたものを主に、大作から小品まで近作を含め約20点を展示いたします。(稲垣)

 

〈1F〉
伊藤学美 個展
echoes errors


2025.6.19(木)~ 6.29(日)
※ 6.23 (月) 休廊

版画の本刷りの後、版に残ったインクだけで新たにイメージを刷ることを「ゴースト刷り」といいます。これを2回、3回と繰り返すと、イメージはこだま(エコー)のように連続しながら霞んでいきます。しかしその変化は均質ではなく、インクの量や紙の状態など、刷りの様々な条件によって不均等(エラー)が発生します。
ひとつの版から出力されるイメージであっても、エコーとエラーを含むことで、時間を内包したかのように変化します。(伊藤)

 

〈2F〉
湯浅克俊 展
うつつ


2025.6.19(木)~ 6.29(日)
※ 6.23 (月) 休廊

夢か現か
目の前に広がる風景には見えない時間の層がある。人々の暮らしの記憶、街の発展の記憶、戦争の記憶。何気ない写真の向こうに深淵な世界が広がっている。風景の表層だけ見ていては気付かないことがたくさん潜んでいる。写真を撮影し、それからそこに埋もれている出来事や物語を調べ、制作をしながらそれらに身を沈める。時間は常にまっすぐ進んでいる訳ではない、垂直に深く進むこともある。作品制作とはより深く深層に辿り着くための行為のように思う。(湯浅)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

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中井 浩史・中屋敷 智生・田中 真吾
粋な枠


2025.6.7(土) 〜 6.29(日)
休廊:月・火・水​
13時―19時(最終日は17時終了)

「絵画」の意味を問いかけることは少し後にしよう。しかし、ギャラリーに来て、そこにどんな意味も見出せない時、人は此処には二度と来ないだろう。だからドゥルーズの言う「絵画の冒険」を目指して、彼らにライプニッツの「モナド的絵画」の実現を期待した。それは単純実態が他の細胞に包まれて複合化し、より強度に変化してゆく状態を意味する。「絶対的自己矛盾としての絵画」の実現には彼らの力が必須の条件であり、「器官なき身体」としての絵画の登場を期待します。

(2kw gallery / 金子 正二)

【アーティストトークイベント】

ゲスト:はが みちこ(アート・メディエーター)
日時:2025.6.22(日)16:00~

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

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渡邉敬介
music Is = music exists
〜風のなか、夢のかたち 呼吸する線。


「船泊り」2025年
紙にアクリル、ガラス絵
72 x 59 cm

2025.6.10(火)〜 6.29(日)
11:00~18:00

本展では、渡邉敬介の最新ドローイング作品を紹介します。京都市内や郊外で描かれた風景スケッチと裸婦デッサンを中心に、紙という媒体を通して制作された作品群です。身体の曲線や遠くの丘のかたちをなぞるその線は、それぞれに豊かな表現力を湛えています。 大きな巻物から小さな紙片まで、線が動きやリズム、存在感となって現れる世界へと観る者を誘います。その線はまるで音楽のように、儚く、確かに、そして生きています。

ぜひ会場にて、これらの作品が響かせる感覚を体験してください。


本展では、線が生きた存在として立ち現れます。息づかいのように、ささやきのように、そこにいた証として。渡辺敬介による最新の紙上作品は、小さな親密なドローイングから大きな巻物まで、多岐にわたります。裸体のスケッチと、京都を中心とした風景のプレネールドローイングという、いわば異なるふたつの世界を往還しながら、そのすべてを貫いているのは「線の身振り」です。線はただ描くのではなく、耳を澄ましながら紙の上を風のように漂います。

これらのドローイングは、記録としてではなく、「見ること」と「感じること」の音楽的な記譜として集められています。裸体のかたちは、枝葉や屋根の輪郭と同じように軽やかな注意深さで描かれています。肩甲骨も丘のかたちも、等しくやさしい手つきで捉えられ、それぞれが繊細なエネルギーを帯びています。

本展では新作の巻物も初公開されます。フランツ・シューベルトの『夜と夢』に着想を得て、動く人物たちの連なりが描かれたこの作品では、音楽の静けさとリズムに寄り添うように、人体が現れては溶け、また立ち上がります。流れる旋律のように画面を横切るこの線は、「在ること」と「移ろい」の詩的な瞑想を思わせます。

風景画もまた、屋外でのドローイングという実践から生まれています。観察を起点としながら、アトリエで再構成されたそれらの作品は、日常の風景を光とリズムの層として描き出します。構造に縛られず、場所のテンポに導かれた筆致は、建築、植物、影、街の断片をひとつの画面に共存させ、即興的でありながら夢のような空間を立ち上げます。

これらの構成は、厳密な写実や遠近法には従いません。代わりに、要素が重ねられ、歪み、浮遊することで、記憶が細部を積み重ねるような視覚的圧縮感が生まれます。作品は視覚の日記のように、個人的な経験と文化的な風景を曖昧に交差させていきます。ある作品には、日本の水辺の都市を思わせる風景が現れ、そこでは歴史と現代、静けさと賑わいが一体となっています。大胆な筆致や透明な重なり、絵の具のにぎやかな配置は、現代の視覚の密度への応答であり、祝祭の瞬間、あるいは穏やかな郷愁を感じさせます。

風景でも人物でも、渡辺の線は制御を求めていません。それは共鳴を探しています。一つひとつの線が触れるような即時性と、時間に寄り添う静けさを持ち、見る者にただ「見る」ことではなく、「記憶すること」と「存在すること」の間の間隔を感じさせます。これらの作品は、見るという行為に立ち返り、知覚が「今ここ」にとどまるための空間をそっと差し出してくれます。

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

艸居

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<艸居>

 

道川省三 & トレイ・トレイハン:山の音
2025年大阪・関西万博のアメリカパビリオンを設計した建築家、 トレイ・トレイハンによるコラボレーション展


トレイ・トレイハン 展覧会のスケッチ
2025
提供:トレイハン・アーキテクツ


道川省三, Volcano Sculptural Form, 2025
陶, H43.5 × W15 × D15 cm
写真: 今村裕司
画像提供: 艸居

2025.4.26(土)〜 6.11(水)

道川省三の作品は、土と石のライフサイクルについて深く美しく私たちに教えてくれます。彼は火山地帯の北海道で生まれ、岩が形成される場所で育ち、猿投山での日々の散策で地元の石を感じ取り、集め、土に優しさとエネルギーを込め、手で形作る。まるで大地の使者のようです。

展示会を企画するにあたり、私たちは自然を展示室に招き入れることで彼の作品とその歩みを映し出そうと考えました。時が経つにつれて、巨石は石となり、石は小石へと砕け、やがて小石は粘土の粒子へと分解されます。これらの作品は、本質的に石の原形を尊重し、敬意を込めた彫刻作品なのです。
ートレイ・トレイハン(トレイハン・アーキテクツの創業者CEO)


艸居(古門前)にて、陶芸家、道川省三と建築家、トレイ・トレイハンによるコラボレーション展「山の音」を開催致します。展示では、道川の最新作の陶芸作品29点と、トレイハンによって配置される自然石11点を展示いたします。本展は、芸術と建築において、二者が共通して根源的な要素とする、造形、自然、空間、素材、環境など観点から創造性と革新に満ちた対話を重ね構築されたものです。それは「山の音」のように、山中の静けさの中で、二者の美意識が呼応し、作品と石が対話する形で具現化されています。

道川の作品は螺旋状の力強さと孤高の静けさを併せ持ったフォルムで知られています。それは、作家が生まれ育った北海道の洞爺湖や有珠山の風景を表し、自然の雄大さや優美さ、それと相反して、静寂や脅威を肌で感じながら育った作家の自然への畏怖の念を感じさせます。

これまでの道川の制作方法は、土の塊の外側にワイヤーで切り込みを入れ、轆轤を回転させながらフォルムを形成していくものでした。本展では、土の塊の内部にワイヤーで切り込みを入れるという、これまでにない画期的な方法で、《Volcano Sculptural Form》《Kohiki Sculptural Form》《Kohiki Natural Ash Sculptural Form》《Tanka with Silver Sculptural Form》の代表的な作品シリーズを完成させました。

道川の土との向き合い方は非常に真摯で、土が本来持ち合わせている形状に耳を傾けながら、最大限の可能性を瞬時に引き出します。それはインプロヴィゼーション的で、道川の楽観的な人生観を暗示しているようでもあります。

トレイハンは、道川の彫刻作品と自然との調和を象徴する自然石をギャラリー空間に展示いたします。本展の空間設計にあたり、龍安寺の石の配置を参照しています。入って直ぐの日本建築の部屋には自然の雄大さと力強さを感じさせる大型の石を3石、後ろホワイトキューブの空間には、桂川の投石を5石配置します。そして、前と後ろの部屋を繋ぐ床の間には円柱の束石を、階段下の空間や通路には小川治兵衛の守山石を置き、その上に作品を展示いたします。今展は、石から生まれる粘土の生命循環を観る者に思い起こさせ、自然の中での芸術の存在を再認識させるものです。

トレイハンは2025年大阪・関西万博のアメリカ館のパビリオンの建築をデザインし、本展は万博と同時開催いたします。不確実で複雑、不透明で曖昧な時代において、アートを通して、アメリカと日本、大阪と京都、そして、世界の人々が国境を越えて交流し、よりよい未来を形成することを目指します。

艸居:京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:11:00AM - 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

艸居アネックス: 京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F Tel: 080-9745-8452 開廊時間:1:00PM - 6:30PM
休廊日: 日・月曜日

京都 蔦屋書店

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<6F ギャラリー>

 

グループ展「Intricate Iconology」
川村摩那  則松夏凛
広瀬奈々 & 永谷一馬  和田直祐


(※画像左から)
川村摩那《Bernard》
則松夏凜《オオロクスイ》
広瀬菜々 & 永谷一馬《Still Life》
Photo: KATO Ken Photo courtesy of Tokyo Arts and Space
和田直祐《Broth 1.4》

2025.5.31(土) ~ 6.24(火)

主催:京都 蔦屋書店
協力:ARTOTHÈQUE

現代美術家であり京都芸術大学ARTOTHÈQUE・ARTISTS’ FAIR KYOTOのディレクターも務める椿昇がキュレーションを行う、4組の作家のグループ展を開催します。

川村摩那は、「文字」や「物語」をモチーフにした絵画の表現技法について研究しています。言語が世界を知覚する手段でありながら、同時に世界を変容させる力を持つことに関心を寄せ、言葉に依拠しつつも、言葉だけでは捉えきれない感覚や印象を、絵画という視覚表現の中で探求しています。
則松夏凛は、人間がゲノム編集を行うことで植物が変容した新しい生命体「機械植物」を博物画の体裁で描くアーティストです。生殖器を持たず遺伝的に不完全な形態を持つ「機械植物」が、人間の力を借りながら繁殖を続ける様子から、持ちつ持たれつの「植物と人との関係性」を表現しています。
広瀬奈々 & 永谷一馬は、身近な空間や日常品を正確に計測し、型取ることで、社会と自己の接点や境界を考察するアーティストデュオです。様々な国や都市を移動し制作を行う中で、自らの家や日常をモチーフとし見慣れた風景を問い直すことをテーマにしています。本展では、インスタレーション作品も発表します。
和田直祐は、古典絵画の技法「グレージング」を参照し、光と空間をテーマにした多層構造の絵画作品を制作しています。何層にも重ねたレイヤーの痕跡から、画面の中に在る形や色が見え隠れし、見る人や場所、時間によって印象が変わります。作品を通して鑑賞者の「見る」という行為への再考を促します。

[キュレーターメッセージ]

このたび私がお呼びした4組のアーティストたちの作品には、機密な構造を持った薄いベールが微風にゆらゆらと揺れるのを感じます。それは見る人の憶測にそっとしのびこんで迷路が際限なく枝分かれするように、時が過ぎるのを忘れさせてくれるのです。一冊の文庫本が遠い世界や過ぎし世界に連れていってくれるように、これらの不思議な作品たちは、きっとあなたを未知の地平へと誘うことでしょう。

椿 昇(ARTOTHÈQUEディレクター)

<5F エキシビションスペース>

 

篠原有司男 個展
「青春真っ只中!」


《雪原を走る野生の七面鳥》2013
approx.H183×W340cm
キャンバスにアクリル絵の具
(C)Ushio + Noriko Shinohara Courtesy of ANOMALY

2025.5.29(木) ~ 6.18(水)

主催:京都 蔦屋書店
協力:ANOMALY

篠原有司男は1969年に渡米後、現在もニューヨークを拠点として活動を続ける、日本を代表する前衛アーティストです。アートとパフォーマンスを融合させた革新的なアプローチで知られ、代表作の「ボクシングペインティング」は、1959年から61年頃にかけて、実験と実践が繰り返されました。篠原は当時、「いい絵を描こうと思って本当にいい絵を描けるわけがない。だから思考が追いつく前に素早く打つんだ」と語っています。
本展では、2000年以降に制作されたボクシング・ペインティングを中心に、新作も含めて展示します。「青春真っ只中!」というタイトルさながら、93歳の今もなお純粋なエネルギーに満ち溢れた篠原有司男による作品世界を、ぜひご高覧ください。

[アーティストステートメント]

ルーヴル美術館のレオナルド・ダ・ヴィンチ没後五百年展。
《モナ・リザ》、《岩窟の聖母》の満員の部屋を避けながら空きの隣の部屋へ。
数あるドローイングの中、片隅にみちのべの雑草を50本ぐらい、線でサラリと表現したスケッチにぼくは魂を遥さぶられた。
スゴイ、何だろう、この感動的体験は。ダ・ビンチの人間性豊かな自然に向けられる感性の鋭さ、これに吾輩は一生かけても到達出来ない。
我が家のご近所に、イースト・リヴァー公園がある、散歩中、いきなり赤い鳥に出くわした、黄色いトサカ、くちばし、深紅の全身、大正時代に童話誌、有名な「赤い鳥」、芥川や白秋も寄稿した話もあるが、こちらはもの本の赤い鳥だぜ。飼い主から脱走、雀軍団に混じって、ピーチクパーチク、やたら人懐っこい。
コーヒーを片手にひと休み、目の前の柵の内側に何やらチラホラ灰色の生き物が木立ち、草むら、枯れ葉の間駆け回り、めまぐるしく、敏捷な動きが見ていて気持ち良い、リスたちだ。
さればと吾輩、ピーナッツのカラ付きを投げれば、スバヤクその場でパリパリ。そのうち親しみを覚えたのか、小枝を伝って、我輩の眼の前に手に持っていたピーナッツをもぎ取る様に奪って、パリパリ。こんな野生そのものの生き物と親しくなれたんだ~とこれまた大感激の瞬間であった。

篠原有司男

<6F アートウォール>

 

柴田七美
「のこるかげ」


2025.6.3(火) ~ 6.23(月)

主催:京都 蔦屋書店

柴田七美は1985年福岡出身、2023年より自身が体験した映画、演劇、小説などから想起したモチーフを描いた油彩シリーズを手掛けています。それらの像は、ドローイングからキャンバスへの転写を繰り返す過程で、参照元となる物語の固有性を意図的に薄め、「人形」あるいは「影」のような曖昧なイメージにしています。そして、色彩、形態、質感を絵画の中心に据えることで、鑑賞者が自由に物語を想像する余地を与えています。
本展では、彩度を落とした色味で構成された新作を通して、マチエールと筆のストロークの組み合わせがもたらす視覚効果を試行します。

[アーティストステートメント]

演劇における舞台と観客席とのあいだの越えられない距離には、「他者の存在を完全には把握できない」前提と自由があると感じます。様々な物語媒体に登場する人物像を題材に、非実在の対象を描き、絵具の物質性や描写行為に集中することでイメージの再構成を試みます。人物像は固有の誰かを示さず、曖昧な存在として崩れ、物質へと還ります。虚構の身体が、絵具のストロークや堆積によって新たな像へと変化していく、その変化のなかに、絵画としての強度を見出したいと考えます。

柴田七美

<6F ギャラリーウォール>

 

後藤瑞穂
「憶えている景色、見た事があるレモン」


《靴下、マンゴー》
F10(455×530mm)
キャンバスに油彩
2025年

2025.6.3(火) ~ 6.23(月)

主催:京都 蔦屋書店

後藤瑞穂は、現在女子美術大学大学院に在学しながらアーティスト活動を続けています。歴史的な出来事と日常に溢れる身近なものをリンクさせ、感覚や行動が交差するような絵画作品を手掛けています。過去の出来事を遠い記憶としてではなく、自分ごととして捉えることで、「それらの出来事から私たちが今、何を受け取り、考え、どう生きていくのか」という問いを提示しています。主に東欧における歴史、戦争、日本の加害を題材に書籍や写真、現地取材によるリサーチをもとに、過去と現在をつなぐ「見えない線」を見出し、果物や道具、人間のしぐさなどを日常の瞬間として表現してきました。
本展では、「似ているもの」をキーワードに、ホロコーストなどの歴史的な出来事や暴力と、現在社会における類似点や既視感にアプローチします。過去と現在が交差する瞬間、そこに潜む歴史の暴力が、今日の私たちの日常の中にどれほど深く溶け込んでいるのかを描き出します。

[アーティストステートメント]

今回はホロコースト、日本が行った植民地支配、今も続く大きな暴力とそれらと「似ているもの」について考え制作した。道で倒れている女性、棒を持つ男性、地面をシャベルで掘る人。別の場所のはずなのに既視感がある出来事。デモで掲げられたパンと、奪われた土地のレモン。

後藤瑞穂

京都市下京区四条通寺町東入ニ丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
Tel: 075-606-4525 営業時間:10:00~20:00 (不定休)

美術館情報

京都市京セラ美術館
本館 北回廊1F

どこ見る?どう見る?
西洋絵画!
ールネサンスから
印象派まで
サンディエゴ美術館
feat.国立西洋美術館
2025.6.25(水)-
10.13(月・祝)



京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ

松本市美術館所蔵
草間彌生
版画の世界
―反復と増殖―
2025.4.25(金)-
9.7(日)



京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

寺岡海
この空の下で
2025.6.17(火)-
8.24(日)



京都国立近代美術館

〈若きポーランド〉
ー色彩と魂の詩(うた)
1890-1918
2025.3.25(火)-
6.29(日)



美術館「えき」KYOTO

没後40年
鴨居玲展
見えないものを描く
2025.5.30(金)–
7.6(日)



京都文化博物館

<4・3階展示室>

特別展
「和食
〜日本の自然、
人々の知恵〜」
2025.4.26(土)-
7.6(日)



京都国立博物館

大阪・関西万博開催記念
特別展
日本、美のるつぼ
―異文化交流の軌跡―
2025.4.19(土)–
6.15(日)



特別展
宋元仏画
─蒼海(うみ)を
越えたほとけたち
2025.9.20(土)–
11.16(日)



細見美術館

広がる屛風、
語る絵巻
2025.5.24(土)-
8.3(日)