◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

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宮本佳美
「Internal sight」


Dual world
綿布に水彩、アクリル
181.8×291cm, 2024


afterimage
40×40cm
綿布に水彩、アクリル
2024

2025.2.8 (土) ~ 3.1 (土)

この度、イムラアートギャラリーでは、6 回目となる宮本佳美の個展を開催いたします。 学生時代より一貫してモノクロームの絵画を描いてきた宮本ですが、その根底には、「光」という現象を捉え たいというシンプルな追求があります。

押し花やプリザーブドフラワーを用いて透過する光を捉えることから始まり、彫刻や白く着色した花に現れる 陰影を捉えて光と影を描く、あるいは海外の強烈な陽射しを浴びる鉢植えの花の印象を描いた作品等、モチー フとなる対象はさまざまですが、その制作活動には、どうしたら「光」を描くことができるのか、という作家 の問いが常に存在しています。

宮本は、2022 年にエミール・ガレやドーム兄弟のガラス器をモチーフに、やはり光をテーマとした新作を発 表しました。その制作を振り返り、「ガラス表面の輝きを捉える光、内側から透けてくる光、物を知覚するた めの光、その 3 つの光を描いていました。(中略)ただ、絵を描く過程においてガラスそのものと十分に向き合っ ていない違和感を感じていました。ガラスの表面に起こる現象を描き出している感覚でした。」と回想します。

本展の新作に描かれるのは、氷に閉じ込められた植物です。当時、描ききれなかったガラスの中の部分、物質 としてのガラスの表面と裏面の間にある世界を描くために、氷に閉ざされた空間を人工的につくり出し、新作 のモチーフとしました。小さな空間の中に生じた気泡の爆発を描いた作品は、宮本のこれまでの「光」に対す る渇望を表出させているかのようです。

光を求めて辿り着いた作家の現在地を、是非ご高覧ください。


『心に太陽をもて――宮本佳美と内なる燃焼』
椹木野衣

宮本佳美の新作「Dual world」から、あたかもなにかが爆発したかのように湧き出る光は、いったいなんだ ろうか。確かに宮本は、これまでも様々な媒体を活用して光を描いてきた。だが、この光は過去のものとはか なり違って見える。けれどもそれを、氷や胡椒の粒といった新たな材料を使用したことによる効果と受け取る のは間違っている。そもそも宮本にとってこれらの媒体は、彼女が望む光を得るための試行錯誤の結果であって、 かりにそこに目がいくとしても、そのこと自体にはあまり意味はない。求められているのは、あくまで光その ものなのだ。

先に爆発的、と書いたけれども、よく見ればわかるとおり、この光を爆発と呼ぶのは正確ではない。もしも 光の爆発であれば、光は四方八方に広がって、胡椒の粒や枝をはるかに超えて、画面から手前へと拡大してい るはずだ。しかし本作での光は、爆発的であるにもかかわらず、そのような外延的な拡大はしていない。爆発 的でありながら、内に留まっているのだ。

爆発的であるにもかかわらず、内に留まるような光とは、なんだろうか。ここでわたしが即座に連想するのは、 太陽だ。太陽は核融合によってつねに爆発的なエネルギーを燃焼し続けているけれども、ひとつの恒星として の実体が破壊されるには至らず、一個の星としての形態を持続している。もっとも、その燃焼はあまりにも強 烈なので、わたしたちは地上でその様子を肉眼を通じつぶさに観察することができない。だからわたしたちは、 太陽の持つ爆発的だが内に留まる光を、いつも目を閉じた時にまぶたの裏になお残る光の余韻として知覚する。

今回、展示された宮本の新作を見て感じた光とは、そのような性質のものであった。さらに言えば、内なる 光に光源はなく、物理的な意味での照度ももたないから、どんなに強烈であっても、いつまで凝視しても、目 にダメージを与えるということはない。このような光が持つ性質――爆発的に強烈だが、いつまでも見続ける ことができる――こそ、今回の新作を通じて宮本が描こうとしている光なのではないか。

宮本の絵は、しばしば具象性とモノクロームな性質で語られてきた。確かに物理的にはそうかもしれない。 だが、言うまでもなく絵画とは物理だけで語れるものではない。それどころか、宮本の描く光が、物理に沿う ものではなく、内なる光の顕現なのだとしたらどうだろう。わたしたちの内なる光は、光学的な現象ではない から原理的に言って色はない。だが、わたしたちはしばしばまぶたの裏で極彩色の光が乱舞するのを見る。つ まり、わたしたちの内界では、物理的な色はなくても、知覚のうえでは色があるのだ。まさしく宮本の絵がそ うであるように。

もっと言えば、宮本は眼球の内なる世界で放たれる光を描いているのかもしれない。と言うのも、今回の個 展のために寄せた文のなかで宮本自身、「表と内側に在る物の間の世界」を描きたいと書いているからだ。もし くは、「光により隠された表面と裏面が在る物の中間を描く事」とも。それこそ眼球の内なる世界のことではな いか。それなら、彼女が「氷に閉ざされた空間の中に大きな宇宙を感じます」と言うのは、ほかでもない。「眼 球に閉ざされた空間の中に、外界よりもはるかに大きな宇宙、すなわち内なる太陽(希望)を見ること」なの ではないだろうか。

*タイトルは山本有三『心に太陽を持て』新潮文庫による。


個展に向けて

私は今回の個展のモチーフとして氷を媒体とした物の捉え方を追求しています。しかし、氷自体は作品の 目指す所で無く、私が描きたいと思ったのは表面と内側の間に在る世界です。

2022 年私は、ガレ、ドーム兄弟のガラス器を撮影する機会に恵まれました。そしてガラス器をモチーフ に光をテーマとした絵を描きました。その中でガラス表面の輝きを捉える光、内側から透けてくる光、物を 知覚するための光、その3つを描いていました。ガラスという特質を上手く生かした表現だと思ったからで す。ただ、絵を描く過程においてガラスその物と十分に向かい合っていない違和感を感じていました。ガラ スの表面に起こる現象を描き出している感覚でした。

その時見えていなかったモチーフであるガラスの部分、つまり光により隠された表面と裏面が有る物の中 間を描く事。その為に何度も色々な方法で氷を作りモチーフにする事にたどり着きました。

氷に閉ざされた空間の中に大きな宇宙を感じます。氷になる時に生じた無数の気泡で 空気の爆発が起こり、 透明な空間を白く染めます。そんな情景のどこに焦点を当てて画面に起こすのかという挑戦の中から絵画に 通じる糸口を掴みたいと思っています。

宮本佳美

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

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〈ギャラリー〉

 

volumetric light 2022 – ’25
小嶋徳朗


2025.3.11(火)〜 3.16(日)

2022年より、コロナ禍に見た雲間から射す光の帯にイメージを膨らませ「volumetric light」というシリーズを制作してきました。
その時に見た光の帯は、それまで画面上で手がかりとしていた空間に浮遊する雲のイメージと地上に積層する地形のイメージをつなぎ合わせ、画面に全体的な構造体としてのビジョンをもたらしてくれました。
このビジョンを鍛えることで、今、この先にもっと大きな世界を描けるという予感を持って制作をしています。
今回、22年から現在までに制作した作品を、大作を中心に展示致します。
この機会にぜひご覧ください。

 

小間size KOGEI展


2025.3.18(火)〜 3.23(日)

京都工芸美術作家協会はあらゆる会派の垣根を超え集まった、稀有な工芸作家団体です。
会員作家の分野は多岐にわたり、毎年開催される協会展はとてもユニークなものとなります。
2年前、”作家協会員の作品を紹介したい”という有り難い申し入れを画廊より頂き、小間sizeKOGEI展は始まりました。
昨年は参加画廊の数も増え、より盛況なものとなりました。作家協会の作家にとっては、作品発表のしやすい展覧会という位置付けになったと思います。
今年もこの流れを止めることなく、工芸美術の魅力をより多くの人に、またより身近に感じて頂けることを意図として開催いたします。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

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パワーショットのエルドラド
迫 鉄平 個展


©teppei sako 2025

2025.2.1(土)〜 2.28(金)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
アポイントメント承ります

機材協力:キヤノン株式会社

eN artsでは 2025年2月1日から2月28日まで 迫鉄平個展「パワーショットのエルドラド」を開催いたします。

2016年 清水穣氏キュレーションによるshowcase#5(写真および動画作品に特化したグループ展シリーズ5回目)にて 初めてeN artsで展示した迫鉄平。以来彼の活躍は目覚ましく、私は彼が展覧会やSNSで発表する作品に注目して参りました。中でも迫が Instagram ( @teppei_sako )で発表する「パワーショットのエルドラド」のファン。そこには誰もが目にしている日常の光景を彼の目線で切り撮ったスナップショット10枚が1週間ごとにまとめられ、その1週間の出来事と共にアップされており、私はそれらの投稿をあたかも自分自身の絵日記を見返すかのように楽しんでいます。

2016年showcase#5で清水氏がプレスリリースに寄せたテキストに「スナップ写真をみるとき、我々はその写真の光景の手前にいたはずの写真家を見ているのでしょうか?-中略-写真を『見る』とは、自分の外に出て、写真家に重なることに他なりません」と ありましたが、それは、よそのひとの絵日記を、まるで自分の絵日記を飽くことなく見返すことが出来る という事に通ずるのかもしれません。ある時ふと「パワーショットのエルドラドでeN artsを埋め尽くしたい」という衝動に駆られ、迫氏に今回の個展開催の依頼をしました。

撮影の時は「あ!」と「お!」しか考えていない と言う迫。2015年キヤノン写真新世紀でグランプリ賞を受賞し、2016年に新作「剣とサンダル」を発表した際のINTERVIEWでは次のように語っていました。「『Made of Stone』以降の映像作品は、写真を撮ろうとする「あ」という決定的瞬間、シャッターチャンスを「あ- – -」と引き伸ばし時間を挿入するものでした。一方で、『剣とサンダル』の写真作品は、カメラを向ける対象に同時多発的に複数の「あ」があって「あ、あ、あ、あ」と細切れの決定的瞬間を挿入するものです。」

本展では「パワーショットのエルドラド」の為に撮り溜めた70,000以上のスナップ写真から選ばれたものを軸に、そこから創り出された写真及び映像作品が展示される予定です。

迫鉄平の 「あ!」から「あ- – -」「あ、あ、あ、あ」への 変身ぶりを eN artsにて お楽しみ下さい。

eN arts


迫鉄平『パワーショットのエルドラド』
ステートメント

『パワーショットのエルドラド』は2022年8月に開始した、日々撮影したスナップ写真の一週間分を一度見返してその中から10枚を選定し、スクエアにトリミングをしたものを日記のようなテキストとともにInstagram上で発表するプロジェクトである。

「パワーショット」は普段のスナップ撮影に使用しているキヤノン製のコンパクトデジタルカメラの機種名で、2020年の4月から継続的に使用している。一方「エルドラド」は大童澄瞳著『映像研には手を出すな!』の作中で、主人公の浅草みどりおよび映像研の制作した4作目のアニメーション作品のタイトル『たぬきのエルドラド』から拝借している。「勧善懲悪」の否定というテーマにも共感を覚えたが、正直に告白すると、それ以上にその語感と耳障りの良さに刺激された。ハワード・ホークス監督作の『エル・ドラド』(1966年、パラマウント映画)は2024年8月23日に観たが、自分の取り組みとの接続ポイントは見出せず、映画自体もあまり面白くはなかった。

美大時代に版画を専攻していて、版画制作には兎にも角にも下絵(原画or原稿)が必要であるということ、それらが無いと制作は始まらないということを学んだ。所属する研究室の担当教員が毎日膨大な量のドローイングに取り組むと同時に、常にカメラを持ち歩きスナップを撮影する様子を間近に見ていた事からも多くを学んだような気がする。大学を卒業し、映像や写真を使って作品を制作していく中でもそのことは常に頭の片隅に引っかかっていて、それが日々をどのように消費するかという問いを立てることに繋がり、2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法「緊急事態宣言」が、2020年4月7日に発出され13日から在宅勤務が命じられた際に、毎日外出してスナップ写真なり映像素材なりを撮影することを解答として日々の取り組みが始まった。

写真作品であれ映像作品であれ、作品の制作をスタートさせる際に、ストック素材が一定量あることとそれを見返すことに時間を費やすことで、自ずと自作への変化が現れた。2021年に制作を開始した「LCD Zombies」のシリーズも、2023年に制作を開始した「Slivers on the Window」のシリーズも、その基底にあるのは、スナップ写真とスナップ写真の組わせかたの問題でもある。

京都での7年ぶりの個展となる本展では、『パワーショットのエルドラド』の発表を続けている期間に撮影したスナップ写真(2024年12月15日時点で71,092枚ある)を中心に、それらを素材として制作した写真作品や映像作品、自費出版本『CHILL TOWN』の展示を予定している。「写真を見返すこと」がどのように作品に結実するのか、ご覧いただきたい。

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

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佐々木昌夫 展
九つの空間


2025.3.11(火)〜 3.29(土)

意味の媒体である新聞や書物を燃やし、灰にする仕事をしていた頃があったが、このところは、工業製品の鉄を腐食させ、自然界に遍在する酸化鉄に戻す仕事をしている。何ら進展もなく、同じことを繰り返しているにすぎない。いずれも、人間に飼い馴らされた物を、思い通りにならない他者としての物質に戻しているのである。時間には限りがあるというのに、存在に馴染めず、一方でこの社会に馴染んでしまうことを恐れて、徒労ばかりを積み重ねているのだ。今回、せめて九つの鉄の箱に内蔵された不明の空間から、死の気配が漂えばよいのだが。底が抜けてしまったこの社会で、死は創造の契機となることだろう。
emento mori 死を想え。

 

往復芸術
野村幸弘と佐倉密


2025.4.1(火)〜 4.12(土)

この展覧会は、絵画や映像作品などを制作する美術史家の野村幸弘と、詩人で現代美術家の佐倉密による二人展です。展覧会名の「往復芸術 ― Correspondent Art」は、往復書簡という言葉に着想を得た野村の造語で、コラボレーションなどとは異なる二人の作家の関係性を意味しており、<作る>に加え<交換・所有>することで初めて成立するものの見方を示しています。一人ひとりの作品と、二人の間から生まれた作品の両方をお楽しみください。

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

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西村勇人
"Mounds 2024-25"


塚穴1号墳(長野県飯田市)

2025.4.12(土)~ 4.27(日) 13~19時
休廊日:4.14(月)15(火)21(月)22(火)

このシリーズでは、現代人の暮らしの傍らで、それとは無関係に存在しつつ景色のなかで交ざり合う古墳に着目して、歳月の積層の上に生きる人間のありようを現出させることを試みる。古墳は十数世紀前に権力者の眠る墓として象徴性も持ちつつ築造されたが、現在に至る過程で尊厳を保持されないかたちで毀損され、または都市のうちに埋もれ静安を保てなくなっているものが少なくない。ごく近年に文化財としての価値が認識され保護・保全の対象となってきたが、すでに進んだ都市化のために家屋・公共施設や公共インフラなどとの間に緩衝もなく墳丘が残る景観は、時間も意識も大きく隔たる人間の営みが隣り合う奇異な相をなしている。(西村勇人)

1977年島根県生まれ。科学の研究現場および科学そのものから着想した写真作品のほか、人の営みの痕跡の残る風景に着目して撮影を進めている。
*作品集「Mounds」 電子版・紙版同時刊行/2025年4月12日予定(発行=ヴォイスギャラリー/デザイン・制作=クラフティヴ電子出版株式会社)


*常設部では、10数人のアーティストの絵画・写真・彫刻等をご紹介します。

<出版物>
ギャラリーの活動を概観していただくシリーズを発行しました。
電子版とペーパーバック(ご注文ごとに紙の本として印刷し製本)版があります。
クラフティヴ電子出版株式会社より出版。

vol.1「裏側を通る風: ドローイング日記2021-2022」(著:坂本優子+松尾惠、デザイン:谷浩志)

vol.2「円景を眺める」(著:日下部一司+松尾惠、デザイン:谷浩志)

2025年にも、ギャラリー+アーティストの本を引き続き刊行いたします。

京都市下京区筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:13時~19時 休廊日:HPにてご確認ください。

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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KCUA OPEN CALL EXHIBITIONS
2024年度申請展
Dessine-Moi Un Mouton
~羊の絵を描いてよ~ 宇宙用の絵画たち
関口正浩 和田真由子


和田真由子《horse》
2013
Courtesy of Kodama Gallery


関口正浩《名無し》
2010
Courtesy of Kodama Gallery

2025.1.11(土)〜 2.11(火)
休館日:1月14日(火)、20日(月)、24日(金)-27日(月)、2月3日(月)

主催:京都市立芸術大学
(2024年度京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA申請展)
企画:和田真由子
(+逃げ切ったと思うなよ委員会)

絵画とは見る人の内で浮くものですが、本来あるべき姿での鑑賞が達成されることは少ないように見受けられます。反って、支持体を甘受または愛好し、壁に依りかかることを善しとする姿勢までもが常態化しています。イリュージョンを共有する装置としては未だ演劇を追い抜けませんが、「描く+絵具」という身体と物質を視覚上で統合し、イメージを浮かしめる絵画の本質的有様が実現されないのは不本意の極みです。

かつて、非物質化されたものが最も大切であると説いた者がいましたが、極めて的確な先行した絵画論であったと言えます。 「Lʼessentiel est invisible pour les yeux. 本当に大切なものは目に見えない*」本展覧会では、非物質のレイヤーが絵画を支えていることを指摘する関口、浮いた状態で完成することを見越した作品を作り続ける和田の2作家に着目し、美術における宇宙時代の遅すぎた到来を寿ぎ、未来へ向けた議論の場を生成します。

* ”Le Petit Prance” Antoine de Saint-Exupéry, folio 15 mars 2007

(テキスト:和田真由子)

 

KCUA OPEN CALL EXHIBITIONS
2024年度申請展
ダイヤモンドから夢を放つペルセウス
阪本結 下村悠天 橘葉月
西原彩香 峰松沙矢



2025.1.11(土)〜 2.11(火)
休館日:1月14日(火)、20日(月)、24日(金)-27日(月)、2月3日(月)

主催:京都市立芸術大学
(2024年度京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA申請展)
企画:西原彩香

本展覧会は、美術史家・岡田温司著『半透明の美学』をきっかけとして、現代(とくにコロナ禍を経た今)における絵画の意味を再考しようと構想されたものです。絵画という画像の形式は「媒介性」にこそ本質があるのだとしたら、「鏡」、「痕跡」、「灰色」、「2次元と3次元」、「実在と存在」のあいだ、そして「天使」──さまざまなテーマが「半透明」というキーワードによって貫かれていると言えます。ひいては、視覚というもの自体の「根源性」と「媒介性」についてが、絵画という「半透明」なイメージのありかたと深く関係しているのかもしれません。

スマートフォンやパソコンの画面を介して遠く離れた人や場所のことを見るように、普段は意識していなくても、私たちは必ず何かを通して見ています。ものを “直接” 見ているということはありません。それは(あるいは比喩として)「窓」や「眼鏡」などを通して見るといったことだけではなく、そもそも私たち自身の「目」を介して見ているからです。ならば、「見る」ということについて改めて考えることは、私たち自身について考えることに他なりません。

絵画を見るとき、問題になるのは私たちの視点です。すなわち、知識や経験など「見かた」に影響を及ぼしているもの──たとえば、自分が生まれ育った時代や地域について顧みることにもなるでしょう。本展のタイトルは、島谷ひとみの楽曲『Perseus-ペルセウス-』から引用しました。平成という時代を象徴するような歌詞であると同時に、まなざしの対象を石化させてしまうというメドゥーサを退治したペルセウスが、視覚という幻想の媒体として称揚する「半透明」なそれは、絵画そのものを象徴しているのかもしれません。

(テキスト:飯盛 希/美術批評家)

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

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黒田アキ 個展
「/I/ CHI-KYU / CITY / 2 」


2025.2.8 (土)〜 3.30(日)
休廊日:月・火・祝日

MORI YU GALLERYは2月8日(土) より、黒田アキ個展「/I/CHI-KYU/CITY/ 2」を開催いたします。
1970年代から黒田アキが連綿と続けてきた重要なタイトルやモチーフである球や都市、子宮や楕円、私、愛…を中心に据えた作品を選び、70年代初頭の作品と最新作のみの作品群を展示いたします。
どうぞ御高覧下さい。

黒田アキ Aki Kuroda
1980年にパリ国際ビエンナーレのフランス部門から出品したのと前後して、ボナールやマティス、ミロやジャコメッティ、カルダー等をパトロナイズしヨーロッパのアートをリードしてきた、フランスのマーグ・ギャラリーと契約しました。(「マーグ・コレクション展」 横浜美術館、1994年) 以降、ヨーロッパ、アメリカを中心に、日本では二十数年間MORI YU GALLERY にて個展を多数開催し続けています。

日本では1993年に東京国立近代美術館において当時最年少で個展を開催(1994年、大阪の国立国際美術館へ巡回)、翌95年にはサンパウロ・ビエンナーレ(ブラジル)に参加することで世界的な評価を受けました。また、1993年にはロシアバレエの傑作『Parade (パラード) 』の再演にあたり舞台美術を担当しました。(パリのオペラ座、アヴィニョン国際演劇祭で上演)この『Parade (パラード)』は、1917年にジャン・コクトー(台本)、エリック・サティ(音楽)、パブロ・ピカソ(舞台美術・衣装)という組み合わせで、パリのシャトレ座にて初演された伝説的バレエ作品です。

黒田の美的関心は広く、1985年から哲学者のジャック・デリダやミシェル・セールが寄稿する美術文芸誌『NOISE(ノワズ)』を編集、創刊しています。1991年には、より私的な『COSMISSIMO (コスミッシモ) 』という美術誌を創刊し、その誌上ではヴィム・ヴェンダースやソニア・リキエルの作品が黒田の絵とともに戯れています。

また、建築家の安藤忠雄やリチャード・ロジャースとのコラボレーション、TOKYO DOME MEETS PORT HALLにおいて数十メートルのWALLアートワークや高さ9mのオブジェを制作する(2008年、東京)など、他分野との交流も多い作家です。(2003年に黒田が全アート・ワークスを担当した京都の南山城小学校は、イギリス王立英国建築家協会「ワールドワイド・アワード」(2004年)を受賞)

このように黒田は、一枚のカンヴァスと対峙する画家であると同時に、不安定で予期しがたい状況を軽やかに且つ確実に足跡を残しながら、 総合的な表現を続けている希有な作家なのです。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

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〈1F〉
近藤弘子 展
peace -LIFT IT UP-
(新制作協会会員)(油彩)

2025.3.11 (火) ~ 3.16 (日)

好きなもの 海
好きなこと 絵を描くこと
好きなところ ここ神戸の塩屋

私はこの塩屋で、今絵を描いている。
私の仕事場の真上にお住まいの ステンドグラス作家 デュルト・森本康代先生は、この塩屋を、シシリー島のタオルミーナ、三岸節子が描いたその町にそっくりだと言われる。
 森本康代先生はもちろん、三岸節子先生も私の好きな尊敬する作家です。
 海と須磨一ノ谷古戦場に続く山に挟まれたここ塩屋、海岸沿いの国道から77段の急な階段は、大変なこともあるが、上がりきると背景に広がる海と潮風が心地よく迎えてくれる。この海と山の恵みに、私は大きな力を与えられ、目には見えない、言葉では伝えられないものを描かせてもらっている。
 77段の階段のように、全エネルギーを使って、又時には、ゆっくり導かれるままに“描く事”を楽しんでいる。大切に制作し、絵を通して一人でも多くの人と対話していけたらと祈り、願っている。
 この個展を開くにあたり皆様の多大なご協力、ご支援をいただき深く感謝申し上げます。

2025.春  近藤 弘子

 

〈2F〉
柳澤綾子 展
「香りの記憶」(二科会会員)

2025.3.11 (火) ~ 3.16 (日)

 

〈1F・2F〉
第3回 小間 size KOGEI 展
京都工芸美術作家協会会員による小品展

2025.3.18 (火) ~ 3.23 (日)

・ギャラリーなかむら、ギャラリーマロニエ、同時代ギャラリー、生活あーと空間ぱるあーと で同時開催。
京都工芸美術作家協会HP「第3回 小間size KOGEI展」特設ページ

 

〈1F〉
木村 隆 陶展(天目 他)

2025.3.25 (火) ~ 3.30 (日)

 

〈2F〉
ウォーターカラー・
橋本真弓とはるびの会 展

2025.3.25 (火) ~ 3.30 (日)

木々や草花、それらとともにある暮らし、身近な自然……
心穏やかなスケッチの時間を大切に、少量の絵の具と紙と水と、簡素で和やかな画材の特性を活かした表現にこだわって25年、制作を続けてきました。紙の白を生かし水が描かせてくれる慈しみの絵画、この本格的な透明水彩を、ウォーターカラーと呼び大切にしています。
知を愛し心豊かに安らぎを与えてくれる小品をご覧いただければ幸いです。

 

〈1F〉
谷口淳一 彫刻展
-Story- まほろばへの回帰(日展特別会員)

2025.4.1 (火) ~ 4.6 (日)

私は主に人物をモチーフとして具象彫刻を制作しています。
今回の個展では自分の記憶の中の情景を造形化し、土の温もりを感じるテラコッタの人物を存在させて物語性のある作品を制作してみました。何を語ろうとしているのかを想像して頂ければ嬉しく思います。

 

〈2F〉
富士篤実 展
星々のかけらとまな板のうえの絵具(絵画)

2025.4.1 (火) ~ 4.6 (日)

描くものは、日常のできごとが発端となる。
構想ができたあとは、画面に絵具をぬって表面を気にして、画面にリズムをつくり出すことを意識する。
だんだん物語はなくなって、そこに色があって、形があってと言うだけ・・・。
だけど、その絵をみた時に、「こんなことがあったなぁ」なんて思い出す。
絵はそんな装置。

 

〈1F・2F〉
いま、平和のために非戦を願う美術家たちの作品展2025
(堺町画廊と同時開催)

2025.4.8 (火) ~ 4.13 (日)

2013年、特定秘密保護法の強行採決以来、この国で戦争の道へ踏み出す動きがひときわ慌ただしくなり、不安にかられた美術家たちは、それぞれの作品をかかげて、毎月9日夕暮れ、京都河原町の街角に、ただ立ちはじめました。
この「無言の路上展」に賛同する美術家たちの広がりは、やがて「戦争の兆しに心いたむ美術家たちの作品展」の開催へ。多くの作品を通して非戦の意志を表明する展覧会は回を重ねました。
いまも続くロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地域への攻撃など、伝えられる殺りくと破壊の映像に、私たちは 21世紀の国際社会が安全や安定からほど遠いことをいたましく思い知りました。
こうした状況の中で、この国の人と暮らしを長く守ってきた日本国憲法の「非戦・平和」の志を歪め、「非核三原則」を覆し、軍備を増強する動きは、いまや国境さえ越えるかというほどに加速しています。
私たちはあらためて、いま、平和のために非戦の願いを集め、ここに作品展を開催いたします。ご高覧下さい。

いま、平和のために非戦を願う美術家たちの作品展 2025実行委員会
協力:ギャラリーヒルゲート・堺町画廊

 

〈奥庭空間〉
菊地伸治 展 時空の旅人
(彫刻) (国画会会員・日本美術家連盟会員)

2025.1.13 (月・祝) ~ 6.15 (日)

神の法則を知ろうとする人類の営みはいつしか限界を忘れ、畏れることを忘れた。
石の前で瞑想する。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

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<ギャラリー南、北ほか>

 

開設25周年記念プレイベント:
スローイング・スパゲッティ at 京都芸術センター


2025.2.1(土)〜 3.16(日)

京都芸術センターは、2025年4月に開設25周年を迎えます。その25周年プレ企画として2025年1月から3月にかけて、京都芸術センターが設立された2000年前後に生まれ、関西を拠点に活動しているアーティスト11名からなるスローイング・スパゲッティと、ワークショップやパフォーマンスを実施します。

京都芸術センターは2000年の開設以来、異なった価値観や文化的背景を持つ人々が交流することのできる公的な施設であろうとしてきました。たしかに、異なった価値観を持つ人々はこの場所に集っていると言えるでしょう。しかし、人々のあいだに交流は生まれているのでしょうか。

スローイング・スパゲッティは、話し合いの場を築きあげる取り組みとして2023年に京都で発足し、ヒエラルキーのない対等な関係であることを集団のポリシーとして活動してきました。しかし、集団の中で役割や思考回路の固定化、意思決定や継続の難しさに直面しています。それでも、途中で投げ出さずに粘り強く議論を重ねて、当初予想していなかった地点へたどり着くことができます。一人ではなく集団での議論を続けることで、個人では実現できないことを実践する場が生まれ、社会と繋がる接点を持つことができるのです。

スローイング・スパゲッティが結成され約1年半という時点の今、私たちは、彼/彼女らとともに、様々な人が集う京都芸術センターというこの場所で集団におけるコミュニケーションをめぐる問題を見つめたいと思います、そのうえで、異なった価値観を持つもの同士の交流の可能性について改めて考えてみたいと思います。

※京都芸術センターの通常の展覧会とは開室時間が異なっていますので、ご注意ください。


《アーカイブ展示》
会場:京都芸術センター ギャラリー北
日程:2.9(土)~3.16(日)10:00~20:00(3.3休室)

《ポット・ラック・スパゲッティ》(会期中の土・日曜日)
スローイング・スパゲッティが来場者の方々と共にオープンミーティングを重ねていく進行形のプロジェクトです。
最終日のイベントについての企画会議や今後の方針、個人的な悩みについてなど、来場者の方々とスローイング・スパゲッティが一緒に考えていきます。議題の持ち込み大歓迎です、是非お気軽にお立ち寄りください。
会場:京都芸術センター ギャラリー南
日程:毎週土曜日・日曜日 13:00~20:00
2.2、2.8、2.9、2.15、2.16、2.22、2.23、3.1、3.2、3.8、3.9、3.15(全12回)
※オープンミーティング開催時以外の平日もギャラリー南にご入場いただけます。

プロフィール:
【スローイング・スパゲッティ】
話し合いの場を築きあげる取り組みとして2023年に京都で発足し、展覧会などの企画を通して話し合いの場の発展、継続を目的に活動している同世代のアーティストの集まり。
スパゲッティを茹でる際の手で捻ってから鍋に投げ入れる動作。試行錯誤すること。略称スロスパ。

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

GALLERY TOMO

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篠原猛史
-超臨界点-

2024.11.29 (金) ~ 12.14 (土)
日月火曜日休廊
営業時間 12時→18時

展示に際して

篠原猛史は京都市に生まれ、1981年にNYのプラット・インスティテュートのドローイング専攻を卒業。その後はベルギーを中心に、カナダ、ガーナ、フランス、北欧など様々な国々を拠点としながらその芸術を磨き上げてきた。初めに渡ったNYではヨーゼフ・ボイスの薫陶を受けその社会彫刻の概念を参照し、また親交のあったキース・へリングとは互いの作品を交換するなど知己を得て、80年代よりその名を知られ始めた。00年代に入ってから現在は日本国内に拠点を移し、現在は東京大学の講師としても活動している。

篠原の作品は立体と平面、抽象と具象の区別は特にない。風、水、火、音などあらゆるものを素材と見立てて作品を構成させる。これらは単なる造形の構成でもなければ、抽象的なコンセプトの主張でもなく、自然の絶えざる循環と人間の営為によるその関係性といった、現実的な問題についての表現である。

ここ数年間、「臨界」というテーマで制作を重ねてきた篠原。フィボナッチ数列のように、これまで生み出したイメージを着実に重ね、限界のそのさらに先を目指しながら放物線を描いている。今回の作品群は、スウェーデン、ベルギー、NYなどこれまで過ごした様々な地域の水を用いて絵具を溶いて制作。内と外、雨の中で制作をしながら、それらを持ち帰り室内で水性及び油性の絵具で仕上げている。

今回の青は、これまでと比較しより光が届かない海の底を連想する深い青が中心となっている。これは篠原の歩みが自然の原理に従い放物線となって表れ、淡い青からより深い蒼へと変わりゆく色相となっていることがわかる。万物は永遠にその形を留めることはできないが、絶えず移ろう時の中で限界を越え続けてきた篠原の歩む軌跡が、こうした色相の変化をもたらしているのかもしれない。

また今年は近作を収録した新たな作品集「IMAGE OF MERKMAL」を刊行した。こちらはオンラインと共に本展示に於いても販売する。

近年の主な個展は、「生の臨界点」GALLERY TOMO(京都、2023)、「月の臨界角」松坂屋上野店外商サロン(東京、2023)など。近年出展したアートフェアとしてACK(国立京都国際会館、2021、2022)、art KYOTO 2023(元離宮二条城、2023)、アートフェア東京2023(東京国際フォーラム、2023)など。彼の作品は、大英博物館(イギリス)を筆頭に、ヘント市立現代美術館(ベルギー)、愛知県美術館(名古屋)、国立国際美術館(大阪)など、数多くの著名な公共及び民間のコレクションに収蔵されている。

GALLERY TOMO

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

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Yo!SHIKO 個展
Mirror mirror on the wall,


2025.3.11(火)〜 3.16(日)

KUNST ARZT では、Yo!SHIKO の初個展を開催します。
Yo!SHIKO は、ゲイセクシャルな視点から、 他者が求める姿、自身が望む姿を考察するアーティストです。
性行為をコミュニケーションの一形態と捉えており、 映像作品「FIVE STAGE(2022)」では、 kiss、oral、finger、sex、pillowという5段階の行為を アブストラクトな動画に変換し、 鑑賞者に会場の導線上で追体験させました。
本展では、自身の顔面を複製し組み合わせた彫刻、 SNSを使い不特定多数と交流するための写真を用いた作品、 アダルトグッズを用いた作品などから構成予定です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【展覧会コンセプト】

「もう一人の自分とキスができるのか」
という発想をもとに制作を始めました。
私は、性行為をコミュニケーションの一形態と捉え、自分と他者の関わり方について考察し制作を続けてきました。
コミュニケーションをとる際、他者に好かれるために外見や行動を変えたり、年齢や体重などの個人情報を 偽ったりしながら、「求められる姿」を演じてきました。
演じることは性行為の場面に限らず、人が社会や人間関係の中で行っていることと同じだと考えます。
制作を続けていく中で、演じる姿は自分の一側面に過ぎないと感じるようになりました。そして、「鏡に映る自分は本当に私が求める姿なのだろうか」「多様な側面を持つ私は本当に私が望む存在なのだろうか」と、自分自身のあり方や自分自身が求める姿を問い直すようになりました。

 

永戸萌子 個展
ローリングストーン


2025.3.18(火)〜 3.23(日)

KUNST ARZTでは、初となる 永戸萌子(旧姓:粟坂)の個展を開催します。
永戸萌子は、身体的に不自由な環境下に自身を置き、そこで触れて感じたことを表現するアーティストです。
「FREEDOM(2023)」では、 産卵するウミガメの如く、 地上を平泳ぎするように進み、 「地中の妄想より(2022)」 では、 等間隔に並んだ稲の如く、単管を組み、 その上に板を貼った‘大地’を作り、 その穴から植物と見立てた彫刻作品を 上下に移動させ、 「植える」「育てる」行為を体現しました。
本展では、さまざまな自然環境にある石の上にバランスをとって静止する映像作品と、 石の上にアンバランスに自立する立体物を配置する作品構想です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント】

身体ベースで彫刻やインスタレーション、 パフォーマンスを発表。
日常目にしている事象や、繰り返している行為を観察し、 そこに起きている意味や内容についての新しい解釈を、 様々な素材に置き換えることで制作を行う。
身体性を意識した解釈を通して得られる、 軽やかな身体像の表現を探っている。

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

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*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F+2F〉
松生 歩 展
mindful of...


2025.3.6(木)~ 3.16(日)
※3.10(月)休廊

辛いことがあった時、そのことに集中してしまうと辛さはもっと大きくなります。
嬉しいことがあった時は、有頂天になりすぎると自分を見失ってしまいます。
常に自分の中にもう一つの視点を持ち続けることで、日常の中に本当の姿が見えてきます。
本当に人間の存在って小さい。だけど常に身の内で働く素粒子レベルの存在と、それらが天空まで満ちた大きな宇宙に見守られて私たちは過ごしています。
私が一人ぽっちだったことなんて未だかつてなかったし、それらに支えられながら私は私のやるべきことをなさなければなりません。
mindful of...それをいつも忘れないために、絵を描きたいと思います。(松生)

 

〈1F+2F〉
井手本貴子 個展
ゆらぎ


2025.3.18(火)~ 3.23(日)

描くということは私にとって、自分自身の状態を確認し、認めることだと思っている。

生きていく中で生じる気持ちの「ゆらぎ」
絵画上に現れる「ゆらぎ」

それらを表現する役割を担ってくれているひとつに「色彩」がある。

色彩を重ねる中で生まれる、あらゆる現象すべてが自分の化身とするなら、どんな結果であっても受け入れ、認めることの繰り返しをする、それが自身の制作指針となっている。(井手本)

 

〈1F〉
水元美穂子 個展
日々のこと


2025.3.25(火)~ 3.30(日)

お気に入りのカップ、窓辺の植物、読みかけの本。
日々の暮らしをモチーフとして作品を描いています。
スケッチの線、色のハーモニー、画面のリズムを大切に、その時に感じた印象や人の気配みたいなものを描きたいと思っていますが、ふと気づいたら、そこから離れてしまっていることがよくあります。
なんとか近づきたいと画面を行ったり来たりしながら描いています。(水元)

 

〈2F〉
大西佑奈 日本画展
祭日と日々


2025.3.25(火)~ 3.30(日)

一日、一日と刻むように毎日を過ごす中で、ふとした瞬間に見える色彩や形、琴線に触れるもの、またハレの日に感じる喜び。自身の中で生まれ、積み重なった感情や周囲での出来事など、身近なものごとを描き留めました。

初めての個展となります。
私が日々を過ごす中で感じたものごと、描いた作品を知っていただけますと幸いです。(大西)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

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渡辺千明
​旅の絵


2025.3.1(土) 〜 3.23(日)
休廊:月・火・水​
13時―19時(最終日は17時終了)

旅先などで見つけたものをモチーフにして、制作しています。
それらを初めて見た時の雰囲気や空気感を大切にするために、同じ構図で何枚も色などを探っています。
同じモチーフを何度も描くことで、余分な意味が取り除かれた自然な絵になるよう目指しています。
今展では昨年訪れた静岡、フィンランド、エストニアで見たものを元に描きました。
そのどれもが、しんとたたずんでいて美しかったです。

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

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矢作理彩子 個展
Reflection of Life -
Beyond The Light of Glass


「Building of The Light」
2023年
ガラス、10 x 10 x 27cm

2025.3.18(火)〜 4.6(日)
11:00~19:00

ギャラリーG-77で開催される本展は、大阪を拠点に活動する矢作 理彩子のガラス彫刻を回顧する個展であり、光、物質性、そして変容をテーマにしている。彼女は透明性と不透明性のバランスを探求し、光を用いて形と知覚を構築する。彼女の抽象的な作品は鑑賞者の視点によって表情を変え、影と輝きが動的に作用することで新たな表現を生み出す。
矢作はキルンキャスティングを主な技法とし、電気炉の中でガラスを成形して作品を制作する。彼女の作品には純粋なガラスのみで構成されたものもあれば、銀、銅、絹などの素材を埋め込むことで、キャスティングプロセスに複雑さを加えたものもある。これらの要素はガラスと相互作用し、光と奥行きを変化させ、作品のコンセプトを強調する。

Reflection of Life – Beyond the Light of Glass というタイトルは、矢作が彫刻を通じて経験や感情の移ろいを探求していることを表している。彼女は個人的な思索、一瞬の出来事、自然現象から着想を得て、光、透明性、影を用い、記憶、変化、無常を抽象的に表現する。各作品は、鮮明な瞬間や変化の過程、そして知覚を形作る目に見えない力をとらえている。本展ではさまざまなシリーズを通じて、ガラスがどのように光を保持し、拡散し、操作するのかを探求し、それによって彼女の知覚と変容に関する考えを表現する手段となっている。

彼女の作品は、装飾的でも機能的でもなく、ミニマリズムやコンセプチュアルアートの言語を取り入れ、形と素材の相互作用を重視する。ガラスの持つ本質的な光、影、奥行きに焦点を当て、固定されたオブジェではなく、光や透明性によって変化し続ける構成物として存在している。矢作は制作の要素を根源的な部分へと削ぎ落とすことで、経験や感情、そして無常の美しさをとらえ、鑑賞者が単にオブジェそのものではなく、光と知覚の儚い相互作用を体感できるようにしている。

Dreamy Silk Drifting in Glass シリーズでは、矢作は絹に「声」を与え、ガラスに閉じ込めることで儚さと永続性の繊細なバランスを表現する。彼女は絹という自然素材と、古代から存在するガラスとの関係を探求し、透明性と層の重なりを通じて奥行きと動きを生み出している。絹の糸がまるで意思を持って漂っているかのように表現し、その儚さをガラスの中に留めることで、浮遊し、時間の中に静止したかのような印象を与える。蚕が繭を紡いだ後、職人たちは手作業で糸を染め、布地が作られる。しかし、その過程で細かな糸は破棄され、職人技の精緻さとともに消え去ってしまう。蚕の犠牲と人間の技によって生み出される絹は、自然と人間の知恵の相互依存を象徴する。矢作はこれらの繊維をガラスに閉じ込めることで、自然と人間の営みが共存するメタファーを作り出し、捨てられた絹の糸が光と透明性の中に留まり続けることを可能にしている。

Deep in The Light は、矢作のこれまでの探求をさらに発展させ、色彩と形状の対比によってドラマティックな効果を生み出している。この作品では素材の埋め込みを行わず、純粋なガラスのみを用いることで、形と色がより決定的な役割を担う。ガラスの中に漂う墨のような暗い形状が透明性の中でうごめき、奥行きと動きを感じさせる。これらの影のようなフォルムは、周囲の光の明るさと強いコントラストをなし、ガラス内部の輝きを際立たせる。影が光の存在を際立たせるように、この作品における暗闇は透明性をより鮮やかにする。この対比が不確かさを生み出し、鑑賞者を作品の内部へと引き込み、見えない何か、もしくは浮かび上がるものを示唆する。それは、知覚の奥に潜む恐れや未知なるものへの問いかけでもある。 この作品における暗闇は、光の欠如ではなく不可欠な存在であり、明瞭さと曖昧さ、透明性と奥行きのバランスを生み出している。矢作は光を単に照らすものとしてではなく、物質の内側に潜む神秘を浮かび上がらせる力として扱い、知覚と変容に関する詩的な瞑想を提示している。

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

艸居

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<艸居>

 

多和田有希+福本双紅
「空の香」


多和田有希+福本双紅
blue on blue
11, 2025
写真:今村裕司
画像提供:艸居


多和田有希+福本双紅
Glaze Warp
1, 2025
写真:今村裕司
画像提供:艸居

2025.3.5(水)〜 3.29(土)

本展では、写真家・多和田有希と陶芸家・福本双紅が、写真と陶芸の融合点を探求してきた成果を発表しま す。2020年、京都芸術大学の教育現場から生まれた二人のコラボレーションは、異なるメディアの可能性を拡張しながら、写真と陶芸に共通する言語や感覚の存在を問い続け、その対話を通じて新たな表現の可能性を追求してきました。本展では、その探求の成果として、写真と陶芸を用いた新作の参加型インスタレーションを発表します。コラボレーション作品に加え、各作家の個別作品も併せて展示しております。

多和田は、写真性に根付いた、日常とは異なる次元のコミュニケーションを探求し、実践し続けている現代美術作家です。彼女は、芸術療法や民間信仰のリサーチをもとに、写真の表面を削る、燃やすといった物理的な介入を施す独自の手法を用い制作しています。また、母や母系家族など他者と協働する制作を通じて、新たな関係性や記憶の層を浮かびあげることにも取り組んでいます。こうした手法によって、写真・絵画・彫刻の境界を超え、本来写真が持っていたアウラや魔術的な力を取り戻そうと試みています。

福本は、陶芸を基盤としながら、その枠組みを超えた表現を探求する作家です。淡く繊細な釉薬表現を特徴とし、硬質な印象を持つ磁器に柔らかさや温かみを引き出し、独自のアンビバレントな美を創出しています。また、焼成の過程で生じる歪みを受容する造形方法によって、作家の意図と偶然性が共存する、唯一無二の表情を持つ作品を生み出しています。

本展では、二人のアーティストによる実験的なインスタレーション作品「空の香」を展示します。本作では、観者も作品の創作に参加し、展覧会の終了とともに作品が完成します。
皆様のご高覧を心よりお待ちしております。


作家ステートメント:

「落下する青」
陶磁器の器が空間に吊り下げられ、その表面には転写された青い写真が定着せずに留まっている。そこに写るのは、様々な時代の女性たちのポートレート。その顔は、写真家と陶芸家の顔と入れ替えられ、異なる時間が一つの器に重なっている。

来訪者が水を吹きかけると、イメージは歪み、滲み、溶け合い、流れとなり、器の口の最も低い一点へと集まる。水滴は重力に引かれ、ある瞬間落下する。床に置かれた真っ白な磁器の林檎や壺が、その雫を受けとめる。

人生のある瞬間、わたしたちは来たるべき誰かへ向かい、すさまじい速度で接近し、束の間の相乗りの後、再び遠ざかる。時代を超えたわたしたちの肖像は、見知らぬ誰かが吹きかけた水の粒子に溶け、器からこぼれ落ちる。

落下する青い釉薬は、取り戻せないものの気配に満ちている。
焼成された磁器の林檎は、わたしたちの雫を受けとめた瞬間、密やかに息を吹き返す。

艸居:京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:11:00AM - 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

艸居アネックス: 京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F Tel: 080-9745-8452 開廊時間:1:00PM - 6:30PM
休廊日: 日・月曜日

京都 蔦屋書店

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<6F アートウォール>

 

品川美香 個展
「その鳥の名前は知らなくても」


《sense of wonder》
2024

2025.2.12(水) ~ 3.7(金)

主催:京都 蔦屋書店

品川美香は、「私とは何か、人間とは何か」というテーマを軸に、子ども、スカル、隕石、山、植物、昆虫などの、作家が選んだ象徴的なモチーフを組み合わせながら、西洋絵画的なリアルさと、平面的な日本絵画的表現を合わせた独自の世界を描いています。
本展のタイトル「その鳥の名前は知らなくても」は、アーティストであり母でもある品川が、日々の暮らしと向き合う中で、米国の生物学者であり作家のレイチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』(※)に触発され、参照し名付けられました。
これまでのシリーズでは、植物の色をあえて一度漂白するように描いてきましたが、作家が自然や不思議さに驚嘆する時(センス・オブ・ワンダー)は、いつも景色がパッと鮮やかになるということから、新作は植物の固有色を活かした華やかな色合いで描いています。また、メインモチーフとして長年描いてきた、正面を向いた子どもや小宇宙が描かれた瞳の表現にも発展が見られ、背を向けた子どもの姿からは、より一層「我々はどこに向かうのか」というメッセージを強く感じさせます。

※『センス・オブ・ワンダー』…子どもが自然に触れ、神秘さや不思議さに驚嘆する感性の大切さを記したエッセイ集

【アーティストステートメント】

私は、わからないことや解決が難しい物事について考えるために絵を描いています。作品は、見る人の環境や経験によって感じ方が違いますが、子どもの瞳にはマクロとミクロのイメージを描き、蜜蜂は蜂群崩壊症候群など、それぞれメタファーを持ちます。それらは小さな命の存在と、歴史や宇宙などの大きな存在とのつながりを示唆していて、私にとって道具主義や功利主義では無く一つ一つの命そのものに価値があることを意味します。

<5F エキシビジョンスペース>

 

天野タケル 個展
「Venus in the Galaxy」


《Venus》
2024年

2025.2.22(土) ~ 3.17(月)

主催:京都 蔦屋書店
企画協力:コレクション・オブ・アート株式会社

天野タケルの京都 蔦屋書店における初個展「Venus in the Galaxy」を開催します。
天野タケルが追求する「NEWART」は、古今東西の美術に根ざしたテーマを現代の感覚で再解釈し、ポップ・アートの鮮やかな色彩や大胆な構図と融合させたものです。本展で発表される新作は、伝統的な禅の美学に基づく静寂や象徴性を基調としながら、観る者を引きつける現代的なエネルギーを宿しています。
その中でも、水墨画が持つミニマルで精神的な美意識は、天野の宇宙的なスケール感と調和し、新しい感覚を生み出しています。
本展のタイトル「Venus in the Galaxy」は、宇宙という壮大な舞台の中で輝く「金星=Venus」に喩えられる美の象徴とも捉えることができ、作品を通じて古代から未来へと連なる普遍的なテーマを描き出します。宗教画の荘厳さや静物画の深い寓意と、ポップ・アートが持つ軽やかな表現が融合し、天野タケルの作品は伝統を敬いながらも、それを超えた新しいアートの在り方を示しています。古典とポップ、精神性と遊び心、過去と未来。その全てが重なり合う天野タケルの世界を、ぜひこの機会にご体験ください。

京都市下京区四条通寺町東入ニ丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
Tel: 075-606-4525 営業時間:10:00~20:00 (不定休)

美術館情報

京都市京セラ美術館
本館 北回廊1F
本館 南回廊1F

モネ 睡蓮のとき
2025.3.7(金)-
6.8(日)



京都市京セラ美術館
本館 北回廊1階
新館 東山キューブ

蜷川実花展
with EiM:
彼岸の光、此岸の影
2025.1.11(土)-
3.30(日)



京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ

松本市美術館所蔵
草間彌生
版画の世界
―反復と増殖―
2025.4.25(金)-
9.7(日)



京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

坂本森海:
火と土と食べたいもの
2025.1.11(土)-
3.16(日)



京都国立近代美術館

〈若きポーランド〉
ー色彩と魂の詩(うた)
1890-1918
2025.3.25(火)-
6.29(日)



美術館「えき」KYOTO

鶴の来る町
ミュージアムコレクション
写実絵画の世界
2025.2.19(水)–
3.30(日)



京都文化博物館

<4・3階展示室>
特別展
カナレットと
ヴェネツィアの輝き
2025.2.15(土)-
4.13(日)



京都文化博物館

<4・3階展示室>

特別展
「和食
〜日本の自然、
人々の知恵〜」
2025.4.26(土)-
7.6(日)



京都国立博物館

大阪・関西万博開催記念
特別展
日本、美のるつぼ
―異文化交流の軌跡―
2025.4.19(土)–
6.15(日)



特別展
宋元仏画
─蒼海(うみ)を
越えたほとけたち
2025.9.20(土)–
11.16(日)



細見美術館

細見コレクション
若冲と江戸絵画
2025.3.1(土)-
5.11(日)


伊藤若冲
《糸瓜群虫図》
江戶中期
細見美術館蔵