◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

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「CUBE 樂雅臣彫刻展」


左:Cube Crack h.155 w.180 d.175 2023 神武岩
右:Cube 石器 拾壱 h.150 w.173 d.173 2023 神武岩
撮影:伊藤 信

2024.1.16 (火)~ 2.24 (土)

このたび、京都を拠点に活動する彫刻家・樂雅臣の個展「CUBE 樂雅臣彫刻展」を開催いたします。イムラアートギャラリーでは2017年以来、7年ぶりの個展開催です。

樂雅臣は、茶の湯の歴史とともに茶碗師として450年以上の時を重ねてきた京都・樂家、その第15代樂吉左衞門の次男として京都に生まれました。東京造形大学大学院を卒業後、樂家より独立し、彫刻家として活動。石を彫刻することで人工物として支配する事なく、自然をいかし、造形と共存した作品を表現します。これを「石の中に表現を、表現と共に自然を」という自身の言葉に込めて、制作しています。20代では生命の摂理を表現した「輪廻」、30代ではくちばしをモチーフにした鳥が運ぶ輪廻「Stone box」、40歳を迎えた2023年、同じく輪廻をテーマにしながらも、石を焼くという新しい手法で石の表現を広げた「石器」シリーズを発表。作品の姿、形は変わりながらも、創作の根底にある「循環」というコンセプトと「自然を思いながら制作をする」という感覚は変わることはありません。

本展では、新たに神武岩(溶結凝灰岩)を用いて制作された彫刻作品「Cube」と「Crack」を中心に、約10点を展示いたします。「Cube」は、物質を立方体で表した彫刻作品です。神武岩(溶結凝灰岩)を立方体の形状にし、焼成することにより歪みや割れが生じ、新たな形状へと変化します。物体の進化を表すとともに、過去の痕跡も表した作品です。また「Crack」も「Cube」と同様に、永久的物質の象徴である石を焼成し、割れを生じさせることにより、「反永久」を表現した作品です。樂は「反永久」について「常に変化を繰り返す自然の摂理の中で、『永続的』に維持されるものは何もない。現在目にする物質は過去からの進化・変化の過程であって、未来への途中にある。一時的に維持されている光や空気、水、石さえ、留まることのない変化を繰り返している。つまり存在と命は『反永久』、そして『輪廻』、そして『循環』」と語ります。会場で作品と対峙するとき、石を彫り、焼き、時には磨くことで生まれる独特な表情、自然物から生み出されていく作品に込めた彼の思いを感じていただけますと幸いです。

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

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〈ギャラリー〉

 

絵空事 ーPipe dreamー KG+PICK UP
三宅章介
キュレーション:仲野泰生


2024.4.16(火)〜 4.28(日)

私は写真を介して自己表現することに抵抗がある。シャーコフスキー流に言えば、窓派でありたいと願っている。ストリートスナップを撮る際は可能な限り主観を排して、都市の中で交錯する人々の姿を捉えたいと思っている。だが、どうしても個人的嗜好が影響することは避けられない。そこでAIを導入すれば、主観をミニマムにできるのではないかと考えた。
AIは膨大な量の画像とテキストを学習し、私が撮った写真からプロンプトを導き出し、あらたな画像を生成する。学習データはネット上で収集されたものであり、著名な絵画や写真のみならず、ネットユーザーが「いいね」を期待して日常的にアップしたものなどが、ごった煮状態にあり、そこには個人の潜在意識を超えた人類の集合的無意識、集合的視覚表象が反映されているのではないだろうか。

これらは「写真」とは認められないかもしれないが、写真がその意味を拡張してきた歴史の延長線上にあるだろう。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

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showcase #12
“現実の行方
– Whereabouts of photographic reality –”
curated by minoru shimizu
出展作家:澤田 華・谷平 博


澤田 華


谷平 博

2024.4.12(金) 〜 5.12(日)
会期中 金・土・日 12:00-18:00
アポイントメント承ります 入場無料 KG + 2024参加

eN arts では 4月12日より、清水穣氏のキュレーションによります写真・映像に特化したグループ展 “showcase #12” を開催します。展覧会のタイトルが示す通り、写真・映像の現代若手作家の「ショーケース」となる showcase 展は2012年からスタートし、本展がシリーズ12回目となります。そして今回 本展の為に 清水氏より選出されましたのは 澤田華・谷平博のおふたりです。

恒例になりましたが、eN artsは 本年もKYOTOGRAPHIE2024に KG+ for Collectorsとして参加致します。(https://kgplus.kyotographie.jp) KYOTOGRAPHIE2024のテーマは「『SOURCE』―源は初めであり、始まりであり、すべてのものの起源である。」 澤田・谷平両氏の作品の源を探るべくキュレーションされた showcase #12にて、写真・映像作品における現実の行方…写真が源なのか、現実が源なのか…両者の作品の源を探りにお出まし下さい。

皆様の御来廊を心よりお待ち申し上げております。

eN arts


showcase #12 curated by Minoru Shimizu
現実の行方

第12 回目のshowcase は、驚くほど緻密に書き込まれた鉛筆ドローイングで注目された谷平博(たにひらひろし1982⽣、初登場)と、2017年度キヤノン写真新世紀優秀賞(Sandra Phillips選)を受賞してから活躍著しい澤田華(さわだはな1990年⽣、2018年以来再登場)を取り上げる。

谷平の作品で、大自然の中でシャーマンと化した人物が、硬い鉛筆で精緻に描きこまれている。写真は、その登場以来、⾁眼に⾒えないものを次々と映像化してきた(最果ての⾃然や宇宙の写真、コンマ以下の瞬間を捉える科学写真やスポーツ写真、⼼霊写真…等々)その結果、我々の知る「現実」は、可視と不可視を問わず、もはやすべてありふれた写真と成り果てたと⾔って良い。写真こそが現実だ、写真のように描かないと⼈はもはやリアルだと⾔ってくれない……1970年代に⽣じ、いまだにYouTubeなど巷でよく⽬にする、スーパーリアリズムのドローイングは、その事実の⽪⾁な表現なのだ。それとは異なり谷平は、写真化した「現実」を超えるもの、写真に写らないものを求めて鉛筆を握る。紙⾯を刻むような谷平作品の本質、その超細密の線の輻輳から⽣まれる灰色の輝きの美しさは、そのコンセプトからして写真に写らない。必ず実物を見てほしい。

さて、写真とはつねに「何か」の写真である。この「何か」、すなわち写真の指⽰対象(レフェラン)は、写真の外に存在する現実とみなされてきた。澤田華の対象は、インターネットで出会う画像である。それはすべてスキャンされた画像であり、言い換えれば真空パック画像である。ここで澤田は、真空パックを切開し、現在可能なデジタル的手法を駆使して、ぺちゃんこになった画像を三次元に復元することで、かつて存在した「何か」、すなわち写真の外部へと遡行しようとする。いったいそんな「何か」は現実に存在したのか、しているのか?

もっとも、かつて存在した「何か」を澤田自身も信じているわけではない。澤田作品は懐疑的な遊戯性に満ち、むしろ「かつて存在した何か」から完全に切れてしまった現在のデジタルイメージのあり方をユーモラスに浮かび上がらせる。

2024年4月 清水 穣


大抵は見過ごされてしまうような些細な物事に、やけに引っ掛かってしまうことがある。例えば、たまたま写真に小さく写り込んだ何か。聞き取れなかった言葉らしき音。映画を見ているモニターに反射する自分の姿。「分かる」と「思い込む」の共通性。そうした時に立ち止まり、観察してみることが、作品のスタートになる。

図像や言葉というのは、案外漠然としていて、掴みどころがない。だから、それに触れた人の知識と経験から導き出される「想像」によって意味が形成されて、受容される。「想像」はまるでパテのように、自然で便利に、凹凸や穴を繋ぎ埋めてくれるが、たとえその埋め方が多少荒々しく無理が生じていたとしても、そのことが意識されることはない。

私は、図像や言葉と「想像」の間で勝手に結ばれてしまう、あたかも自然であるような振る舞いをするこの運動を、いちいち停止させる、あるいは過剰にすることで、これらの関係性を一瞬明らかにする。そうすることで、図像や言葉に元々あった歪みや欠落、ズレや偏りが露わになると同時に、そこに入り込もうとする私たちの「想像」にもまた意識を傾けることができるようになる。(たとえすぐにまた「想像」が追いついて、馴染んでしまうとしても。)

澤田 華


作品に描かれている人物はブッシュワッカーと呼んでいる架空のキャラクターに扮した自分自身の姿で、背景にひろがる風景は、自分の住んでいるところから半径数キロ圏内の山や海である。ブッシュワッカーとは何か説明すると、この作品の元となった映像作品を作ったのが2004年だったが、その前年にイラク戦争を始めたブッシュ(bush)大統領を杖でピシャリと打つ(whack)人(=Bush Whacker)という意味の造語である。戦争を始めた権力者を杖で叩くということから反戦メッセージが想起されるかもしれないが、反戦がテーマというほど社会性は強くはなく、ただ当時のみんなが感じていた不穏な空気が反映されて生まれたものだと思う。権力や社会を変えるのは民衆であってほしいという思いから、ブッシュワッカーの服装はいわゆる労働者階級の普段着といった格好そのままにしている。モチーフに寓意性を持たせることは時に作品を限定的意味合いに固定してしまう恐れがあるが、これは理解に必要な事だと思ったため記述した。

それとはまったく別に、ブッシュワッカーのマスクには神道の行事で使う榊が使われていたりするなど、日本の文化、特に来訪神(まれびと)からも影響を受けている。そして世界各地に来訪神に似た行事があったりするのは興味深い。

国際情勢が悪化していく中、世界の中で日本人であり続けること、自分自身が世界とどう関わっていくことができるのか、その探究が制作の根底にある。

谷平 博

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

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内田聖良 個展
バーチャル供養講


2024.4.16(火) 〜 4.27(土)

《バーチャル供養講》は、炎上や分断が「厄災」を生む現在に「ありえるかもしれない架空の信仰」を体験するインスタレーション。VR空間に建てられたお堂に、様々な人の思い出の品が3Dアイテムに変換され奉納されている。内田は本作の制作にあたり青森の地蔵信仰で目に見えない死者と人々が供物によって関わるインタラクションをリサーチし、現代の見えざる他者―アルゴリズムによって分断された人々を想像させる手法に転換した。思い出の品の3Dオブジェクトへの変換は、大量の写真を3次元に合成する手法「フォトグラメトリ」によって行われる。これらのデータをダウンロード可能な状態にし、別のゲーム等の一部として活用=(転生)させ未来の物語の生成プロセスに介入するなど、現代の写真のあり方や記憶の流通・価値についての模索が行われる。 本シリーズは、展示空間に合わせ物語とVR空間が変化しており、本展でも新版が語られる予定。

 

立花 光 展
壁抜け


2024.4.30(火) 〜 5.11(土)

誰もいないホテルの廊下、窓のない地下のプール、レイトショーのあとのショッピングモール、ふと迷い込んでしまった巨大倉庫、開店前のゲームセンター。見る前からすでにあり、あとからあったと知る時空間。傍らにある密室のバックヤード。私たちはそれらへ壁抜けする。  立花は、国家的な枠組みを超えて見られる、歴史や文化と無関係な場に着目する。私たちの傍らで控えている、交換可能でマッシブな存在。遡行的に、あとから遅れて発見される匿名的な場。立花は、こうした存在や場をふと目撃する感覚を、「壁抜け」と表現する。「壁抜け」とは、<そこにうっかり抜けてしまった> <それは見る前からあった>がもつれた感覚である。 それは「写真」の2つのテーゼ<その瞬間にまさに出会った> <それはかつてあった>よりもありふれた、それでいてもっとも不確かな感覚、「なにかを見る」という感覚——不可逆でありながら代替可能な「目-存在」の感覚である。

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

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KG+ 参加展
西村勇人
"Mounds 2023-24" (写真)


殖蓮村76号墳(群馬県伊勢崎市)

2024.4.13(土)~ 4.28(日)
13~19時 *最終日17時まで
休廊日:4.15(月)16(火)22(月)23(火)

<トークイベント>

4.20(土) 18時30分~20時、予約不要・先着20名
村野正景氏(京都文化博物館学芸員/考古学)x 西村勇人

このシリーズでは、現代人の暮らしの傍らで、それとは無関係に存在しつつ景色のなかで交ざり合う古墳に着目して、歳月の積層の上に生きる人間のありようを現出させることを試みる。古墳は十数世紀前に権力者の眠る墓として象徴性も持ちつつ築造されたが、現在に至る過程で尊厳を保持されないかたちで毀損され、または都市のうちに埋もれ静安を保てなくなっているものが少なくない。ごく近年に文化財としての価値が認識され保護・保全の対象となってきたが、すでに進んだ都市化のために家屋・公共施設や公共インフラなどとの間に緩衝もなく墳丘が残る景観は、時間も意識も大きく隔たる人間の営みが隣り合う奇異な相をなしている。(西村勇人)


◎常設部の展示
西村勇人 "Mounds 2023-24" と同時期、川崎栄子"another story"(ピグメント印画法の写真)を特別展示。

京都市下京区富小路通高辻上る筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:11時~19時 休廊日:月・火曜日

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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SPECIAL EXHIBITIONS
京都市立芸術大学移転記念事業
Floating and Flowing ——
新しい生態系を育む「対話」のために


2024.4.20(土)〜 6.9(日)

主催:京都市立芸術大学
会場構成:池田精堂
企画:藤田瑞穂(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAチーフキュレーター/プログラムディレクター)
作家:佐々木萌水崇仁すくすくセンター(挿し木プロジェクト|代表:山本麻紀子)高瀬川モニタリング部前田耕平森夕香京都市立芸術大学美術学部日本画専攻絵画制作資料

京都市立芸術大学の新キャンパス移転から半年が過ぎ、はじめての春を迎えようとしています。移転計画が決定してから新キャンパスがオープンするまでの約10年、大学移転という大きなできごとがこの地域に何をもたらすのか、人々の注目が集まりました。

2015年には、「芸術であること」「大学であること」「地域にあること」の3つを大学の果たすべき役割とし、新キャンパス全体を、外に向かって開かれ、ある基準面から浮き隔たることで日常の視点を変え、新たな解放を生み出す「テラス(Terrace)」と位置づけるという移転基本コンセプトが策定されました。そして2017年に乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同体による「まちのように育まれる、水平につながっていくキャンパス——大学と地域、芸術と社会の新しい関係性を生み出すフレーム」をテーマとした建築設計プランが採用となり、2023年秋に新キャンパスが竣工しました。

またこの間に、移転予定地周辺で、多様な活動が生み出されていきました。@KCUAでは、「still moving」などの大学移転をめぐる複数のプロジェクトや、この地域のこれまでの歩みと豊かな自然環境を背景として、これから育まれていく新たな生態系を考察するためのさまざまな取り組みを行ってきました。

新キャンパスの@KCUAの展示室での2回目の展覧会となる本展では、変わりゆくまちを見つめ、それぞれの方法でアプローチしてきたアーティストたちの活動、@KCUAの取り組み、それらと京都市立芸術大学の教育と表現の歩みとを重ね合わせて、大学と地域、芸術と社会がつながって育まれる、生態系の未来を考えるための場を作り出します。

新キャンパスの敷地内には、かつて運河として開削された人工河川である高瀬川が流れています*。また、沿岸に大学と周辺地域との交流広場「崇仁テラス」が整備されるなど、高瀬川は大学と地域とをつなぐシンボルの一つとなりつつあります。そこで本展では、高瀬川に着想を得たイメージをもとに会場を構成し、内と外の境界をまたいでひろがる「テラス」という理念の体現を試みます。それは、新キャンパス、そしてそこに込められた建築家たちの想いへの、@KCUAからの一つの応答でもあります。

ものごとをじっと観察して何かを作るという表現行為は、長い歴史のなかで面々と受け継がれてきた、世界に近づき、対話するための術でもあります。これまでになされてきたさまざまな「対話」どうしがつながり、ともに考え、育み、ひろげることは、未来への可能性を豊かにひらくことを願う新たな「対話」のはじまりとなるでしょう。

* 高瀬川は新キャンパスのE・F棟の付近、H棟とJ棟の間を通っています。また、2002年に現在の流路に変更される前は、旧流路の一部は新キャンパスのC棟(@KCUAのある建物)周辺を通っていました。

新しい生態系を育む「対話」のための活動:
・京都市立芸術大学及び京都市立美術工芸高校移転整備工事乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同企業体との対話
・崇仁すくすくセンター・挿し木の地植え
・高瀬川をめぐる活動シリーズ(京芸高瀬川保勝会、佐々木萌水ワークショップ、高瀬川モニタリング部、前田耕平パフォーマンスほか)
・場を作る活動(イヌ場、たき火場ほか)
などを予定しています(会期終了後に実施・継続するものを含む)。
詳細はウェブサイトにて随時公開いたします。

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

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藤原康博
「覆う -Cover-」


2024.3.22(金)~ 5.12(日)
オープニングレセプション:3.22(金)17:00-19:00
開廊時間:12:00 -18:00
休廊日:月・火・祝日、4.7(日)は休廊いたします。

MORI YU GALLERYは3月22日(金)より、藤原康博「覆う -Cover-」を開催いたします。
2024年2月まで開催された三重県立美術館での展覧会「藤原康博 記憶の稜線を歩く」に続く、新作約10点で構成された展覧会をぜひご高覧ください。

藤原康博
1968年 三重県生まれ
1992年 多摩美術大学美術学部絵画科油絵専攻 卒業(東京)
2002年 Chelsea College of Art and Design MA Fine Art, London 修了(ロンドン)

多摩美術大学を卒業後にロンドンへ渡り、2002年にChelsea College of Art and Design MA Fine Art, Londonを修了。2019年グループ展「パラランドスケープ “風景” をめぐる想像力の現在」(三重県立美術館)に参加。2022年「感覚の領域 今、「経験する」ということ」(国立国際美術館、大阪)に出品。2023年「Y2 project 藤原康博 -記憶の稜線を歩く」三重県立美術館 柳原義達記念館(三重)。銀座メゾンエルメスやHermès Hong Kong(香港)など国内外のエルメスウィンドウのディスプレイも手掛ける。パブリック・コレクションに国立国際美術館(大阪)、Hwajeong Museum(韓国) 、Hana bank(韓国) 、THYSSEN – BORNEMISZA ART CONTEMPORARY(オーストリア)など。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

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〈1F〉
古野恵美子 展(ミクストメディア)

2024.4.16 (火) ~ 4.21 (日)

 

〈2F〉
甲斐扶佐義 写真展 路上のパリ

2024.4.16 (火) ~ 4.21 (日)

<最新刊写真集「パリちょっと見ただけ(Streets of Paris)」発刊記念展>
昨秋、マレ地区での拙個展のために数年ぶりにパリを訪問し、ひと月逗留してエリック・アザンの「パリ大全」や友人たちの案内でパリの街を闊歩。
尊敬するブレッソン、ドアノー、ブラッサイには遠く及ばないが、彼らの気配を時には探りながら街歩きを堪能。その一部を KG+の一環として披露出来るのが嬉しい。

甲斐扶佐義

<トーク・イベント>

甲斐扶佐義「路上の思考」
4.19(金)18:30~20:00
参加費:1,000円(学生500円)定員20名(要予約)

 

〈1F〉
頴川麻美子 日本画展
~花 そして 景~

2024.4.23 (火) ~ 4.28 (日)

< 展覧会に寄せて >

京都で3年ぶりの個展となります。
コロナ、震災と不穏な世は続いています。
私自身は大切な人との別れがいくつかあり、悲しい感情の中、それでも絵を描く事が自身を力づけるエネルギーとなっている事を再確認する日々でした。今まで花や風景を多く写生してきました。
風景はその中でほとんど本紙制作をしないままになっていましたが、今回新たな挑戦の気持ちで描きました。
花も風景もまだまだ課題は残りますが、制作への強い思いは募るばかりです。

 

〈奥庭空間〉
葛本康彰 個展
流れの途中、その名残り

2024.1.9 (火) ~ 6.23(日)

“人間の作為” と “自然の現象”の双方から素材に関わる独自の手法で彫刻制作を行う。 廃材などの収集物を用いたインスタレーションや、「里山」を舞台にした野外芸術企画の運営などを通して、“人間と外界の関係性” について考察している。作品制作のさなか、自然現象の作用によって素材の獲得するフォルムやパターン、テクスチャーは私たち人間の目には見えない世界の存在を示唆するものなのかもしれない。自然現象をはじめとした、身の回りに当たり前のように存在する物事やそれらを知覚している身体への好奇心や想像力を回復し、人間本位の視点を自覚し直すような場を提示したい。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

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<ギャラリー北・南>

 

林智子 個展
「そして、世界は泥である」



2024.3.30(土)〜 6.9(日)

京都芸術センターでは、林智子の個展「そして、世界は泥である」を開催します。
京都に拠点を置くアーティストの林智子は、京都の芸術系大学で染織を学んだ後、ロンドンに渡り、先端的なテクノロジーを援用しながら、人と人との間に生じる感覚やコミュニケーションをテーマにする作品を制作してきました。その後、アイルランドやスコットランドなどでの滞在を経て京都に戻った林は、豊かな自然と歴史に触れ、人の内なる自然と外に広がる自然とのつながりに意識を向けるようになります。
イタリアの詩人ジャコモ・レオパルディの言葉を展覧会名に冠する本展は、林のこうした関心に根差すものです。細かな粒子の夥しい集合が水気によって結び付けられた泥は、特定のかたちを持つことはありません。それは濁り、汚れたものと見なされる一方で、生命を育むこともあります。
そして、世界は泥である。本展で林は、世界を個と全体が有機的に結びつき、生命を循環させる運動と捉え、その中での私たちの生の在り方を思考します。私たちの内なる自然と外なる自然はどのように共鳴しているのか。本展では、社会的な秩序によって隠されている「形なきものの形」・「声なきものの声」と私たちが再び関係を取り結ぶことで、言語以前の感性を呼び覚ますことを試みます。

【関連プログラム1 アーティストトーク】

本展出品作家の林智子が、展覧会会場を回りながら、自作についてお話します。
出演:林智子(本展出品作家)
聞き手:安河内宏法(本展企画、京都芸術センタープログラムディレクター)
日 時:2024年 3月30日(土)14:00― 15:00(予定)
集合場所:京都芸術センター ギャラリー南
料 金:参加無料 (要事前申込)
■ 問合せ先
京都芸術センター
Tel:075-213-1000(10:00-20:00)

*上記以外のプログラムについても、現在、実施検討中です。
詳細が決まりましたら、お知らせします。

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

ギャラリー・パルク Gallery PARC

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林 勇気
灯をみる


2024.4.13 (土) ~ 5.12 (日)
13:00 ─19:00 水・木休廊

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2024年4月13日から5月12日まで林勇気による個展の「灯をみる」を開催いたします。

ギャラリー・パルクでは7年ぶりとなる林勇気の個展「灯をみる」では、 林の近作・新作のいくつかを展示するとともに、 蝋燭の灯による幻灯機によってイメージを映写する「場と時間」をも作品として提示します。
本展に先立って林は、『あなたにとって「忘れられない一日」の写真をそのエピソードとともに送ってください』と広くに呼びかけ、多くの「写真とそれにまつわるエピソード」を収集しました。林は寄せられた多くの人たちの「忘れられない一日」の写真からガラス製映写用スライドを制作し、蝋燭の灯を光源とするオリジナルの幻灯機によって、会場で映写します。こうして灯が消えるまでの間、暗闇に浮かび上がる「いつかの・誰かの」イメージは、その場にいる鑑賞者に見つめられ、共有されことになります。
他者のプライベートな記憶の断片。記録と呼ぶには不確かな写真。蝋燭によって揺れる灯がつくりだす映像のようなうつろい。蝋燭が燃えつきることで浮かび上がる残像としてのイメージ。この「場と時間」で私たちが見つめ・共有する(した)ものははたして何なのでしょうか?

本展では毎時00分ごとに、スタッフによってプロジェクターや照明の電源を切り、 オリジナルの幻灯機に蝋燭に火を灯してスライドの映写をおこないます。
(各回10分程度 ・ スライドは毎回異なります)
*映写中はその他の展示作品の鑑賞は不可能となる点、あらかじめご了承ください。


Statement

蝋燭の灯で「忘れられない一日」に撮影された写真をみる。
その時間を他者と共有する。
そんな場と時間を作りたいと思った。

蝋燭の灯で映写できる幻灯機を制作した。
制作にあたり、明治時代の幻灯機を参照した。
暗闇の中で蝋燭が灯り、写真のイメージが立ち上がる。
幻灯機で映写された一枚の写真を静かにみつめる。
写真に内包されるストーリーに思いを馳せる。
灯で映写された写真は淡く、暖かい色で不鮮明だ。

時間が経過し蝋燭の灯は燃え尽きて消えてしまう。
はかない映像はあなたと私の心の奥に小さな光を灯す。
残像と共に。

林 勇気


本展はKYOTOGRAPHIE サテライト企画KG+に参加しています。

京都市上京区皀莢町287 堀川新文化ビルヂング2階   開廊時間:13時~19時 休廊日:水・木曜日 

GALLERY TOMO

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常設展

常設展を不定期で行っています。

作家:篠原猛史、近藤大祐、石原孟、宮岡貴泉、
   板垣旭、こうす系、杉谷一考、藤田薫、
   町田藻映子、皆吉経之、月乃カエル

展示・作品に対するお問い合わせは以下の連絡先までどうぞ。
GALLERY TOMO

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

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佐俣和木 個展
Your Dream About?


2024.4.16(火)〜 4.21(日)

KUNST ARZT では初となる、 佐俣和木の個展を開催します。
佐俣和木は、時には自身の身体を使い、 日常に混入する文化的な違和感を ユーモラスに置き換えるアーティストです。
「遊び」 が 「スポーツ」 に変化することで、 失ってきたものを取り戻すような「コンプレックス 突破のためのワークアウトプログラム(2023)」、 身体と六甲山の環境との関係性を作り出す 『鑑賞』装置でもある「Re: Think Sports ~あなたの 身体と向き合う10個のスポーツプログラム~(2023)」。
本展では、ディスクゴルフのプロ選手でもある佐俣が、 会期中の土日に行われる大会「第31回東京オープン」 に出場します。鑑賞者は、その出場に対して“スポンサー” というカタチで関与することができます。
そしてその“関わり”を、展覧会場での完全中継を通して、 確認し、楽しんで頂くことができます。

(KUNST ARZT 岡本光博)

<展覧会コンセプト>

アーティストであり、ディスクゴルフという プロスポーツの選手でもある私は、 スポンサーを募集する。
スポンサーは、アスリートとしての私の あらゆる行動の決定に関与することができる。
あなたと私が契約を結んだ時、 あなたの意志は私に受け継がれる。

 

張 諒太 個展
白い古都の路地譚


Ancient Mikines
2023

2024.4.23(火)〜 4.28(日)

KUNST ARZTでは、昨年に続き2度目となる 張諒太の個展を開催します。
張諒太は、劇画調に彫り描く木版画を通して、 異文化を考察するアーティストです。
今年の新鋭選抜展の出品作である、 現存する古代ギリシャ文化の遺構を取り込んだ 横幅180㎝のダイナミックなパノラマ木版画 「Ancient Mikines」は、歴史的人工石造物と 劇画調木版画との対比が、 動的エネルギーを生み出していました。
本展は、クロアチアでのリサーチを通して、 古都の街路で白い石壁を伝いながら 見上げる視点を軸に、その場で感じた 色彩も取り入れた作品群で構成されます。

(KUNST ARZT 岡本光博)

<アーティスト・ステートメント>

木版画における彫りとは何か?
そんな問いかけを続けているのが、 自分の木版制作の根本だと考えています。
木版プレス機と銅版インクを用いることで、 ヨーロッパ式の木版制作を現代の形に進めていく。
彫りを「削る」ものではなく、「描く」ものとして、 新たに言語化していく。彫り描く感覚を持つ私には、 彫刻刀と油絵の筆と同じものになりつつあります。
彫りとは、表現なのか技術なのか。
今回のギリシャの風景を描いた本作は、 こうした彫りの表現と風景が 何処か溶け合った気がするものでした。
自分の彫り描く感覚が、 古代ギリシャ人の作る石柱に似ている。
そんな遠くある感覚を版画へと引き出しています。

 

中桐聡美 個展
imitate a real


imitation #1

2024.4.30(火)〜 5.5(日)

KUNST ARZT では、昨年に引き続き 2度目となる、中桐聡美の個展を開催します。
中桐聡美は、慣れ親しんだイメージを シルクスクリーンで複数枚刷り、 カッティング、ステイニングというプロセスを通して、 「移ろい」を表現するアーティストです。
前回の個展では、瀬戸内海の海をモチーフに、 光や水しぶきを生み出すことで、 「移ろい」を引き出しました。
本展では、祖母の家に20年以上存在する 造花をモチーフに、闇や陰りを生み出すことで、 造花にはありえない「移ろい」を 引き出す構想です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

<展覧会コンセプト>

本展では、祖母の家にある仏壇や 神棚、食卓、トイレなど 家の様々な場所に20年以上置いてある 造花の写真を元に作品を展開する。
本来ならば数日の間に枯れてしまう 生花のイミテーションとして、 造花は家の各所に彩りとして飾られている。
それらは、家に住む人、生活の様子が どれだけ変化しても、「花」そのものの 年月の経過を感じさせない。
長年使用している家具や物に感じる愛着とは違った、 時間の経過とともに湧く違和感や不気味さを表現する。

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

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*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F・2F〉
寄神宗美・寄神千惠子 展


2024.4.11(木)~ 4.21(日)
※4.15(月)休廊

人と人、物と物、時と時、技をつなぐ、
つなぐには繋ぐ、継なぐ、絆ぐなど多く文字があります。
私のつなぐは作品名に「結」の文字を付けています。
ある亡くなった陶芸家が集めていた古釘を友人から譲り受け、その陶芸家の想いが繋がればと、その古釘で二つの物体を継なぐ作品を作りました。(寄神宗美)

手びねりで作品を作りはじめて50年、一段一段と土を積み重ねてゆっくりと形つくる方法は 私の質(性格)に合ってます。
今回は「身近に置いて愛でる」をテーマに香炉、蓋物などを作りました。(寄神千惠子)

 

〈1F〉
陳 憶誠 木版画 個展
Time’s Shadow


2024.4.23(火)~ 4.28(日)

今回の木版画(彫り進み法)創作展で作者は記録しようとする内容(精神→彫る行為→版)を、繰り返す版の彫りと油性インクの刷り重なりによって生まれる油性木版画(彫り進み法)がもつ特有の痕跡(内面)や凹凸(時間)という表情を示す。
このような油性木版画の表現方法で、作者は製版のプロセスを通じて版と作者の身体(精神)的な交流を鑑賞者達に理解させる。その上で思想記録の道具として油性木版画(彫り進み法)の持つ表現上の特性と今後の意義を探求する。(陳)

 

〈2F〉
吉田真紀子 展


2024.4.23(火)~ 4.28(日)

銅版画を中心に制作をしています。今回は墨のドローイングも展示します。
モチーフにしている樹は日常の生活の中で出会ったものです。
うつりゆく時の中でそれらはそこに在り続け、風を纏い、光を浴び、影を生みます。
自然の作り出す造形の美しさに魅せられ、敬意と畏怖を感じながら、 共にそこに在ることのありがたさを思います。(吉田)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

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黒瀬 剋 展
to Fluid painting


2024.4.6(土) 〜 4.28(日)
休廊日:月・火・水

流動の絵画の方へ

流動の絵画はそのすべてのものが制作過程の只中から突発してくるので、事前のイメージが必要な具象絵画と比べても、抽象絵画が得意とするようなイメージの出所を未知のものにすることが可能です。そのことによって、初出のイメージの出現を誘発することができて、それは既存のもので拘束された世界からの解放を目指すことにつながっています。

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

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KG+
アンナ・ハヤット & スラヴァ・ピルスキー展覧会
「Existence」(存在)


「人形」2023
ポラロイド写真、ライスペーパー
84 x 105 cm

2024.4.13(土) ~ 4.28(日)
11:00 ~ 18:00 (月曜日休み)

「ギャラリー G-77 は、プログラム KG+ (Kyotographie 2024) の一環として、イスラエル人写真家のアンナ・ハヤットとスラヴァ・ピルスキーによる「Existence」というタイトルの展覧会を開催します。

スタジオの内外で撮影された大判の白黒ポラロイド写真を通して、彼らはトラウマ、自己犠牲、そして現在進行中の戦争とテロの影響を深く受けているイスラエル社会における人生の脆弱さというテーマを探求しています。 彼らの作品は、厳格なドキュメンタリー表現から離れ、現在の出来事と共鳴する比喩的なイメージを構築します。 一貫したスタイルとテーマで統一されたこの展覧会には、ルネッサンスの美学と現代の写真を融合させたメインシリーズ「My Personal Jesus」が含まれます。 10月7日のテロ攻撃を受けて、アーティストたちは直接的なアプローチを反映した新作を作成し、共感と思索を呼び起こします。 素材や技術を試しながら、彼らは歴史的な遺物のように見える写真を作成し、時間の経過を伝え、見る人の経験に興味をそそる層を加えます。

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

現代美術 艸居

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<艸居><艸居アネックス>

 

三島喜美代 個展


三島喜美代
モノローグ A、1969
画布に油彩
H162 × W130 cm

2024.2.15(木)〜 4.17(水)

この度、艸居と艸居アネックスにて「三島喜美代 個展」を開催いたします。艸居(京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町 381-2)と艸居アネックス(京都市中京区一之船入町 375 SSS ビル 3F)の2会場での展示となります。みなさまにぜひご高覧いただきたくご案内申し上げます。会期は2月15日(木)〜 4月17日(水)です。艸居、艸居アネックス、SOKYO ASTUMI(天王洲)、SOKYO LISBON(リスボン、ポルトガル)、海外アートフェアでの個展に引き続き、本展は10回目となります。

具象絵画から始まり、抽象絵画、コラージュ、エッチング、彫刻、陶、大規模なインスタレーションなど多種多様な媒体を介して、日本の高度経済成⻑によって大量に消費されたゴミや、氾濫する情報社会への「恐怖感」や「不安感」を作品にしてきました。60代後半からはその「恐怖感」を、落とすと粉々に割れてしまうエフェメラルな性質を持つ陶で表現し、三島のゴミに対する「危機感」をよりリアルに表現します。70年以降は陶を用いて、空き缶や段ボール箱、コミックブックなどの代表作を発表してきました。

艸居では、溶融スラグ*で制作した大型作品《Work2003 (Newspaper)》2点を中心に、新作の陶作品を展示いたします。《Work2003 (Newspaper)》はコマーシャル・ギャラリーでは初の展示となります。三島は作品を巨大化させることに、クレス・オルデンバーグなどの影響はなかったと言います。

「ただ面白いなと思ってやったというだけなんです。それを巨大化することによって、もうちょっと印象が、普通の大きさよりも少し大きくするほうが印象が深いなと思いました。(中略) ただ作ってみようと思っただけで。ただ、見ていて、ああ面白いと思ったのをやってみたいだけで、初めから計画性ないんです。パッと見て面白いなと思ったんで、それをやってみよう。それを大きくすることによって、何か印象も違うし、やっぱり違いますよね。同じサイズのもので見るのと、ワッと大きくするのと。直島でもそうですけど、ああいうふうに大きくすると、何かまた違う意味があるんですけども、私は強烈に面白いなと思ったんです。 三島喜美代」
(三島喜美代個展 1950年代から2021年まで、三島喜美代は語る
ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、京都、艸居、2021、103p.)

艸居アネックスでは、平面作品《モノローグ》シリーズを5点展示いたします。用を成した新聞、LIFE Magazine、そのほか蚊帳や布団などの身近なゴミ使ったコラージュなど、一般に良く知られている平面作品とは全く趣向を異にする「人体シリーズ」で、数点は今展が初公開となります。師でもあり伴侶でもあった茂司の「ずっと続けていればいつか女性として認められる時代が来る」という言葉を信じてひたすら制作に打ち込んできた三島。日本人女性という観点からどのように社会を見つめ、自身の生活を記録してきたか、新たな視点で三島作品を紐解く機会になれば幸いです。

本展に合わせて、艸居では3冊目となる「三島喜美代 展覧会図録」の刊行を予定にしております。出品作品を含め、2023年4月1日に行われました片岡真実氏(森美術館館⻑)とのトークイベントの書き起こしと、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏(アーティスティック・ディレクター、サーペンタイン・ギャラリー)が三島とのインタヴィー後に「DAS MAGAZIN」に寄稿してくださった記事『「Horrorund Humor」日本人アーティスト三島喜美代の作品に触れる - まさに一見の価値あり!』を収録。刊行に先立ちご予約を承っておりますので、info@gallery-sokyo.jpよりお申し込みいただけますと幸いです。

最後に、第2弾目のイベントとなる CAT(Collaboration Art Team)を3月16日(土)1- 4PM に艸居アネックスにて開催いたします。三島喜美代スタジオ代表の上田準三氏と制作チーフの吉田文雄氏をスペシャル・ゲストにお招きし、子どもたちと一緒に三島作品から溢れ出すエネルギーやユーモアを感じ取り、作品制作をする予定です。お申し込みは、info@gallery-sokyo.jp までお願いいたします。定員15名。定員に満ち次第締め切り。

*ゴミを 1400°Cの高温で焼成し出来たガラス状の粉末。

京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:10:00AM- 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

京都 蔦屋書店

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<5F エキシビションスペース>

 

大山エンリコイサム 展
「Scale / Effect」


Artwork ©Enrico Isamu Oyama / EIOS

2024.4.5(金) ~ 4.23(火)

主催:京都 蔦屋書店
協力:Takuro Someya Contemporary Art
入場:無料

大山エンリコイサムは、ストリートアートの一領域であるエアロゾル‧ライティング (※)のヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン‧ストラクチャー」(以下 QTS)を起点にメディアを横断する表現を展開し、国内外で注目を集めるアーティストです。

今年1月にNADiff Gallery(東京‧恵比寿)で行われた個展では、QTSを自律するブックエンドとして三次元化し、書物とのあいだに生じる相互作用によって空間の変容を試みました。今回、大山はかたちが同じでも大きさが違うと物体の特徴が変化する「寸法効果(scale / effect)」の概念に着目、拡大と縮小を通してQTSを表現し、再解釈しています。会場には絵画作品とともに、大型の立体作品や、絵画作品のひとつ《FFIGURATI #616》を238個の小型キューブに分解して再構成した新作の平面作品などが並び、スケール横断の効果を体現する構成となっています。

※NYのストリート文化から発展した、自分の名前をアートとして描画する表現文化

<アーティストステートメント>

物体はかたちが同じでも、大きさが異なると、力の作用が変化する。あるサイズで自立する物体は、別のサイズでは自立しないことがある。表面積は寸法の2乗に、体積は3乗に比例するため、2センチ角のキューブが20センチ角になると表面積の増加が、200センチ角になると重量の増加が、変化の特徴となる。このように、サイズの変更が物体の物理的におもとなる特徴を変えることを「寸法効果(scale effect)」と呼ぶ。

美術には、見慣れた対象のサイズを極端に変え、ギャップや違和感を生むことで私たちの認識を揺さぶる作品がある。そのとき外観は見慣れたままでも、内側はしばしば別の構造や組成をしている。もろく繊細に見える作品が、耐久性のある素材で作られることもある。しかし物理的な変化のみではない。サイズの変更が対象をもとの状態から美術作品に変える点で、寸法効果はその社会的な定義をも同時にかき換えている。

それを敷衍して、寸法効果は物理的な大きさ(サイズ)のみでなく、社会の位相や集団の規模といった抽象的な大きさ(スケール)の変化にも付随すると思考実験したい。たとえば年長者を敬うという考えは、家庭や地域ではマナーや慣習として、企業では年功序列の制度として表れるが、もとは古代中国の国家思想であった。同型の考えが社会的なスケールの変化により、慣習、制度、思想という強度の異なる概念になる。

モティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」はこれまで、メディアを横断するアイコンとして展開してきた。本展「Scale / Effect」ではその点をいっそう推し進め、ひとつのQTSを拡大と縮小のなかで表現し、マテリアルと設計、メディアと形式、空間とレイアウトの変化、そしてQTSの図像そのものが再解釈されるさまを提示することで、物理と概念の両面からスケール横断の効果を引き出した構成になっている。

 

大岩オスカール 個展
「ライトショップ」


《Light Shop 3》2023 Oil on canvas/122×148 cm

2024.4.26(金) ~ 5.15(水)

主催:京都 蔦屋書店
入場:無料

大岩オスカールは1965年ブラジル・サンパウロ生まれ。1989年にサンパウロ大学建築学部を卒業後、東京、ニューヨークと拠点を移しながら制作活動を行っています。大都市での生活体験をもとにしてそれぞれの土地の環境や社会問題をテーマに、風刺やユーモアを交えた俯瞰的でダイナミックな絵画作品は、国際的にも高い評価を得ており、国内外の美術館にも多数作品が収蔵されています。

今回の京都 蔦屋書店での個展は「ライトショップ」と題しています。健康な体を作りあげるためには食べ物が重要なように、心の栄養となる「精神的な食べ物」とはどんなものか、それを提供するお店とはどんなものかという想像をもとに作品の物語は展開されます。 日本の風景としてなじみ深い、灯のもとに人々が集まる小さく心地よい場所として「屋台」も制作、会場に設置されます。大岩オスカールの描く暖かく優しい光に包まれて、心を満たす鑑賞をご体感ください。

<アーティストステートメント>

ライトショップ
私の日常は毎日忙しいですが、気分転換のためによく料理をします。ニューヨークに住んでいるため、外食は量が多くて味付けが濃く、高い。一杯のラーメンでも3千円以上かかることもあります。そこで、健康を考えながら、平日料理をするときは40分以内で作れるものを心がけ、週末は1時間ほどかけて料理をします。大体の物は作れます。
物理的に良く食べることで体の健康を維持しようとしていますが、人の健康を維持するためには精神的にも良いものを「摂る」ことが重要だと思っています。では、精神的な栄養を視覚化するとどのようなものになるでしょう?光のような、煙のような、微かな存在のようなもの、形のないものではないかと思います。
この世の中には物理的な食べ物を売るお店は多いですが、精神を育てる栄養を提供するお店は少ないと思います。現代社会では、物理的な食べ物が得られない人も多い中、精神的なケアにアクセスをする余裕のない人が大勢いると思います。今回の「ライトショップ」シリーズでは、この精神的な食べ物を提供するお店を想像しました。

大岩オスカール

<6F ギャラリー>

 

井村一登 個展
「明晰鏡」


《wall-ordered horizon #2》H500mm×W500mm×D100mm,
ガラスミラー, アルミミラー, LED, 額縁,2024年
(photo by Kenryou Gu)

2024.4.27(土) ~ 5.14(火)

入場:無料

井村一登は1990年京都市生まれ。2015年に京都市立芸術大学総合芸術学科を卒業し、2017年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了しました。歴史の中で素材や技法が発展し、多様化している「鏡」をテーマに、人と鏡の関係性や歴史、そこから生じる現象を探求しながら、独自の技法で作品制作をしています。
紀元前の遺跡から出土される黒曜石から、現代の光学機器、全国各地の素材に至るまで、鏡面にまつわるあらゆる要素を追求することで「自身の内面しか知らない自身」、「自身の外見しか見えない他者」の二者の間にあるコミュニケーションから鏡の再現性まで多面的にアプローチします。

本展は、井村が生まれ育った京都での初めての個展です。網羅的な制作、リサーチをする一方、自身が視界に映る景色を鏡として捉える現状を「明晰夢」のように捉え、鏡像側の自身の意識に触れるように「明晰鏡」と題しました。井村がアーティスト活動を開始してからこれまでに制作してきた様々な形状の「鏡」の作品を合わせてアーカイブ的に展示いたします。異なる性質を持った鏡同士が新たな秩序を持った鏡像の反復を作り、数列の可視化をコンセプトに制作しているシリーズ「wall-ordered」の新作をはじめ、トルコ、チャタル・ヒュユクの遺跡で出土した黒曜石の鏡をモチーフとした「loose reflection」、“魔鏡”の製法に着目し、今は見えない裏面の情報を表面に映しだした「invisible layer」シリーズの作品も展示します。鏡と人間の関係が変遷してきた長い歴史、その一歩先の様々なアイデアによって追求し続ける井村の世界観を、是非会場にてご体感ください。

京都市下京区四条通寺町東入ニ丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
Tel: 075-606-4525 営業時間:10:00~20:00 (不定休)

美術館情報

京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ

京都市美術館開館
90周年記念展
村上隆
もののけ 京都
2024.2.3(土)-
9.1(日)



京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

嶋春香:仮縫いと野良仕事
2024.3.5(火)-
6.23(日)


嶋春香
《移ろいの庭 scene #1》
2024年


京都市京セラ美術館
本館
北回廊・南回廊1階

パリ ポンピドゥー
センター
キュビスム展
―美の革命
ピカソ、ブラックから
ドローネー、
シャガールへ
2024.3.20(水・祝) -
7.7(日)



京都国立近代美術館

没後100年
富岡鉄斎
2024.4.2(火)-
5.26(日)


美術館「えき」KYOTO

高砂淳二写真展
-この惑星(ほし)の
声を聴く-
2024.4.6(土)–
5.19(日)


バオバブ/マダガスカル
©Junji Takasago


京都文化博物館

<4・3階展示室>
特別展
松尾大社展
(まつのおたいしゃ)
みやこの西の
守護神
(まもりがみ)
2024.4.27(土)-
6.23(日)



京都国立博物館

特別展
「雪舟伝説
―「画聖」の誕生―」
2024.4.13(土)–
5.26(日)