◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

ギャラリーのサイトへ
 

日野田 崇
「偶然を過ごすための手色形楽」


《人のあいだで》

51×50×76cm
2023
撮影:福永一夫

2023.10.25 (水)~ 11.25 (土)

◇ギャラリートーク:2023.11.18(土)16:00-17:00
作家:日野田 崇 / 聞き手:安來正博(国立国際美術館 研究員)

イムラアートギャラリーでは今秋、手色形楽(しゅしきけいがく)の作家・日野田崇による個展を開催いたします。手色形楽とは、日野田によって考案された、「美術」に代わる用語で、造形芸術の元来の「身体」ともいえる色・かたちを作家の手(身体)を媒介にしてつくりだすことに焦点を当てる試みを指します。

日野田の制作スタイルは土を手びねりで形成し、マスキングをしながら陶芸用の顔料を吹き付けて彩色が行われます。電気窯で焼き、再度彩色を施しては、焼く、という作業を繰り返して作品が形づくられていきます。20年ほど前から始めたインスタレーション形式での展示空間づくりも特徴的で、陶作品に加えて、モチーフを模したカッティングシートを床や壁などに張り巡らせ、時には天井にも及びます。この空間づくりは、陶作品を制作する延長としての感覚で、カッティングシートを切るといった身体的な試みにより実践されてきました。食器や花器など、もともと人間と親密な距離で使われていた陶という素材を、現代の美術の空間や文脈に対応させるために、これまで日野田はさまざまなアプローチを試みてきましたが、今回、原点に立ち返り、陶作品単体に内在する密度や重量感でギャラリーの白い箱に拮抗させる試みに挑戦します。

作品の表面にはその時代の社会問題に問いを投げかけるようなモチーフが描かれますが、手色形楽では、まずは概念よりも、色やかたちの響きや動き、ぶつかり合いを楽しむ事が前提とされています。音を楽しむような、匂いや味覚で味わうような感覚で、彼の作品を会場にて楽しんでいただけたら幸いです。


― 作家ステイトメント

今回の展示作品は、今年の5月に開催されたアートフェア「台北當代」において個展形式で発表した新作を中心とするものです。

今回の展示では、壁面全面に、植物の盲目的な成長のイメージを展開した台北での展示とは対象的に、陶立体のみを点在させる簡素な展示を試みます。これは、これまで空間全体に広げていた線の力の響きを作品の内部に凝縮させて、観る人に一点一点で扱われている内容に集中してもらうための方策です。

瓦や煉瓦、タイルなどのような建材に見られるように、堅牢でありながら、陶の素材感には、触覚的に親しみのある肌を持つという特徴があります。長年、この素材を扱ってきて、問題であったのは、展示される環境で、観客との接点や距離をどうやってつくっていこうかということでした。茶道での茶碗の愛で方を思い起こすとわかりますが、私たちの身体と親和性が高い反面、造形芸術の素材としての視覚的主張に弱く、広大な虚空間では、孤児のように居所を見つけ出すのがなかなか難しいのです。

美術という枠組みを脇において、「手色形楽(しゅしきけいがく)」という領分を立ち上げ、自身の制作を表すために、この数年、この用語を使ってきました。もともと美術は、労働の精華のなかでももっとも特殊な位置付けをされてきたもののひとつですが、この2世紀ほどは概念とリサーチを中心にしたものに偏向し、変化してきました。私は、自身のやりたいことを見極めるなかで、手(労働)と色とかたちの三者の組み合わせでまだまだ何かが生み出せるのでは、とあらためて期待するようになりました。色、かたち、それをつくりだしたり、味わったり受け止めたりする身体、この三つが構成する三角形が廻転していくうちに、多義的な世界の響きが聞こえてくるようなものが生み出せればとつねに考えています。

私の制作は、作品が、一義的な意味や、特定の物語と直結するのを何よりもまず避けるようにしてきました。なぜなら世界を理解のしやすい物語に回収することは、ある種の慰めにはなりますが、同時に大変安易で危険な方向にも転じる可能性があるからです。ですから、いつもは、作品は、直接的に時事的な問題を、何かの答えや断定として扱うことはまずありません。ですので、一見したところ、それらは相当に混沌とした状態に見えるはずですが、その反面、私たちの生きている世界の様相を垂直的な時間軸で切り取ろうとする試みだと強く信じています。

日野田 崇

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

ギャラリーのサイトへ

〈ギャラリー〉

 

関西新象 〈表現者達〉
〜アート・実験・未来〜


2023.11.28(火)〜 12.3(日)

池本勝宏 おおしろ晃 川村朋之
桑垣和弘 辰巳義隆 坪内嘉緒里
内藤 晶 ナカタニコーイチ 中西圭太
林真弥子 横山 進

 

深 雪 展
立命館大学写真部


2023.12.5(火)〜 12.10(日)

 

マロニエ展
龍谷大学 写真部


2023.12.12(火)〜 12.17(日)

 

水嶋裕司 絵画展


2023.12.19(火)〜 12.24(日)

新作絵画23点を展示します。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

ギャラリーのサイトへ
 

“confidential 00005”
白子勝之・田中真吾・松田啓佑


前期:2023.12.15(金) – 12.24(日)
後期:2024.1.12(金) – 1.21(日)
会期中 金・土・日 12:00-18:00

※前期・後期で展示内容に変更はございません。

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

ギャラリーのサイトへ
 

ひろいのぶこ 個展
一寸の紐


2023.11.28(火) 〜 12.9(土)

糸を集めて色の川をつくる
コンコンとよこ糸を打ち込むと紐がうまれる
その紐はいつしか山やしずくや微生物となる
翌朝路上に残った子供の遊びのあとのよう
茫洋とゆきすぎる雲をながめ
ゆるみきった午睡の時がそこにある

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

ギャラリーのサイトへ
 

現代美術二等兵
「ギンギラギンにあてもなく」
(同時開催:駄美術クリアランスセール)


「逆銀歯」


「銀シャリ3種」

part 1:2023.12.13(水)~ 17(日)
      *初日 13(水)のみ16~19時
      *14(木)~17(日)13~19時
part 2:2024.1.9(火)~14(日)
      *9(火)~13(土)13~19時
      *最終日 14(日)のみ13~17時

磨けば光るかも!と己の僅かな可能性を
あてもなく信じた時代も過ぎ去り
見せかけのメッキが剥げるのを恐れている間に三十数年。
今ではすっかり頭がハゲた現代美術二等兵が、
輝いて見えるものや、見た目まぶしいものに惹かれて作った駄美術がさりげなく並びます。
更に、奥の部屋では思いつき系新作を数点展示。
そして更に過去作品の中でも、ちょっと微妙な駄美術を
お求めやすいセール価格で展示、販売します。
豪華2本立ての駄美術展、ぜひお運びください。(現代美術二等兵)

京都市下京区富小路通高辻上る筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:11時~19時 休廊日:月・火曜日

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

ギャラリーのサイトへ
 

SPECIAL EXHIBITIONS
京都市立芸術大学移転記念事業
久門剛史
「Dear Future Person, 」


ジャミール・アーツ・センター(ドバイ)での展示風景
2023年
サイズ可変
撮影:久門剛史

2023.12.16(土)〜 2024.2.18(日)
休館日:月曜日(1.8、2.12は開館、翌火曜日(1.9、2.13)を休館)
    年末年始(12.29(金)-1.3(水))

主催:京都市立芸術大学
協力:オオタファインアーツ
企画:藤田瑞穂(@KCUA チーフキュレーター/プログラムディレクター)

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAは、2010年より拠点としていた堀川御池を離れ、2023年10月にオープンした京都駅東側エリアの本学新キャンパス内にて活動することになりました。新たな展示室での記念すべき最初の展覧会として、気鋭の美術家、久門剛史(1981年京都府生まれ、京都府在住、本学彫刻専攻出身)による個展を開催します。

久門は、自らの体験を通じて自然、地球、そして宇宙と人間との関係を考察し、それらに着想を得た音、光といった無形の事象と造形物で構成するインスタレーション作品を中心とした制作活動を続けてきました。非常に繊細でありながらもスケールの大きな事象を感じさせる豊かで巧みな表現によって、鑑賞者個々の身体感覚に訴えかけ、潜在的な意識への気づきをもたらす作品は国内外で非常に高く評価されています。

本展は、久門にとって出身地であり、活動拠点でもある京都での初個展となります。首都の喧騒から少し離れて、古くからの人間の活動の記憶をとどめる京都に身を置き、また日本最古の芸術大学である本学にて、独自の哲学をもって制作を続けるさまざまな表現者と出会い学んだことは、久門の感性をさらに研ぎ澄ませ、その表現に深みを与えてきたと言えるでしょう。緻密にプログラムされた空間と事象の構成の巧みさを強調されがちですが、他の追随を許さぬ造形力の高さ、制作過程においても一回性、唯一性を貫くその精神こそが、久門作品に並ならぬ緊張感を与える最も重要な要素の一つとなっているのです。

本展では、新しい@KCUAの展示室に合わせて構成された、唯一無二の大規模なインスタレーションが展開されます。それはタイトルにあるように、思考と表現を深め、各々の瑞々しい感性で世界を捉えようとする活動の場である芸術大学を舞台に、久門が一人の表現者として「未来の人」へ向けた壮大なメッセージとも受け取れるかもしれません。その作品世界に対峙するとき、現代に生きる私たちのそれぞれの現在地、そして来るべき未来について、あらためて考えるきっかけがもたらされることでしょう。

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

ギャラリーのサイトへ

<MORI YU GALLERY VIEWING ROOM オープンのお知らせ>

MORI YU GALLERYの新しい展示スペース、モリユウギャラリー ヴューイングルームを10月28日(土)にオープンいたします。28日(土)の午後5時〜8時はオープニングパーティと共に、黒田アキ 近藤髙弘「BLUE」展をご覧いただけます。

 

黒田アキ 近藤髙弘
「BLUE」


Takahiro Kondo 《MONO-BLUE》
2023 ceramic


Aki Kuroda 《Untitled》
2023 324.2×324cm mixed media on canvas

2023.11.10(金)~ 12.9(土)
会期中の金曜・土曜日(1PM -6PM)開廊、アポイントメント制となります。

MORI YU GALLERYはこの度、京都に開廊いたしまして23年目を迎えることができました。
改めまして、皆様方からの日々の温かいご支援ご厚情に心より感謝申し上げます。
弊廊の新たな試みといたしまして、2023年10月28日にVIEWING ROOMをオープンする運びとなりました。このスペースは普段は開廊しておりませんが、所属作家の過去作などをご高覧いただく場として、また年に数回の特別展を開催する予定でございます。

今回はオープン記念といたしまして、黒田アキ氏と近藤髙弘氏の「BLUE」展を開催いたします。お二人は約30年前に近藤氏がひいた器に黒田氏が絵付けをしたことをきっかけに交流が始まりました。私もお二人とお会いしてからの数十年間、現在に至るまで数度にわたりコラボレーションをしていただきました。黒田氏のblueは隣人であったミシェル・フーコーが好きだった「官能的なBLUE」であり、その深淵さは多くの人を魅了してきました。また近藤氏のblueは、近藤悠三から引き継がれた近藤blueです。今回の展覧会では、お二人ともまた其々に新しい「BLUE」を創出しておられます。
今回それぞれ10数点ほど出展される作品群は、全て新作となります。お二人の圧倒的な世界観をご堪能ください。

場所:〒602-0007 京都市上京区下清蔵口町133−17
   075-950-5230

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

ギャラリーのサイトへ
 

〈1F・2F〉
北村美佳 展(二科会会員)

2023.11.28 (火) ~ 12.3(日)

 

〈奥庭空間〉
木村舜 展(立体造形)

2023.7.18(火) ~ 12.24(日)

RUST HUMAN
全ての物質は時間や外的要因により廃れてゆく。
それは環境や生物による侵食、外的要因による破壊、経年劣化など多岐に渡り、地球上の如何なる生物や物質であっても決して避けられぬ現象である。
こうした廃れという現象は人間が作り出した社会や生活といった概念的な括りの中にも無数に存在し、様々な人間が日々の日常を送る中で苦しみ、足掻き、もがき続け、その過程で人間という生物として他意的にもしくは直接的に自身の身体や人間社会といった概念の廃れを認識するのである。それと同時に新たな物事が発生、成長していくのである。

この様な現象が日常的には発生しているという事、そして廃れから新たに生じる変化、成長を移りゆく季節や気候の影響により変貌していく7つの作品を鑑賞していただき、現代を生きる人間や身の回りで起こり得る廃れ(RUST)を感じていただきたい。

木村 舜

人間社会や世界の動き、自分自身を含めた「人間」と対峙し、その過程で生まれる思想や考察、空想を自身の言葉や絵画、彫刻等様々な手段を用いて制作、表現を行う事によって自身の存在意義や無数に存在する「人間」を創出していく。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

ギャラリーのサイトへ

<ギャラリー北・南>

 

『Ground Zero』


Iden Sungyoung Kim
《Fragmentary Scenes》
フォトプリント、2019-2022


Celeste Vivian Ly
《-321°F》
ミクストメディア、2022


Maya Erin Masuda
《Pour Your Body Out》
ミクストメディア、2023

2023.11.11(土)〜 12.10(日)

Co-program2023カテゴリーB採択企画
テクノロジーを伴う生政治と、その人間・非人間を超える
共同体の痛みの引き受けを主題とした展覧会

出展:Iden Sungyoung Kim、Celeste Viv Ly、
   Maya Erin Masuda、成定由香沙、山縣瑠衣
主催:Maya Erin Masuda、
   京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)

展覧会ステイトメント:

Ground Zero - グラウンド・ゼロとは、もともと核爆弾やロケットの爆発現場を表す言葉です。マンハッタン計画以降用いられてきたこの言葉は、現代において、輝かしい未来の喪失を表象すると共に、その代償によってもたらされた「何もない場所」という複数性を持った言葉として流用されています。

2021年3月より始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、大量の人的被害を出すだけでなく、 森や土地、動物に対する核エネルギーの汚染など甚大な影響を残しました。失われたものは身体や物質だけではありません。ロシア人音楽家によって作曲された曲の演奏の倦厭など、侵略国であるロシアに対する国際的な拒絶は結果的に、特定の土地に纏わる文化や歴史を、人々の記憶やサイバースペースといった複雑な関係性の網目からも消滅させることとなります。ここにおいて、 地球を含めた人間を超えた種に対して我々人間がもたらした「ジオ・トラウマ」は、地形という物理世界から拡大し、文化や記憶といった無形の領域においても巨大なヴォイドを形作る事態を招きつつあるのです。

本展は、こうして2019年以降ロシア近郊に作り出された物質的/非物質的なヴォイド・スペースを、 現代における新たなグラウンド・ゼロと捉え、その痛みの記憶の分有を試みるものです。本展に参加するの5人のアーティストは、チェルノブイリでの災害や冷戦時代に繰り返し描かれてきたアポカリプスの表象を、福島第一原発の放射能汚染やドイツの廃棄原子炉に纏わる事象など、それぞれの個人の存在に深く纏わる事象の延長として捉え、局所的なジオ・トラウマを地理的/文脈的に脱中心化することで、物質的な距離の想像力を超えて自分の内部に引き受けようとします。滞在制作と度重なるアップデートを含んだリサーチベースのこの実践を通して、個々のアーティストが引き受けた痛みと共に生きるための術を学びなおす(Un-Learn)ことは、国境を跨ぐことのない当事者/非当事者の囲い込み、また記号化による小さな無数の痛みの忘却に揺さぶりをかけるでしょう。

Maya Erin Masuda(本展キュレーター)

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

ギャラリー・パルク Gallery PARC

ギャラリーのサイトへ
 

ベリー マキコ
きのうのみちばた


2023.12.2(土) ─ 2024.1.8(月・祝)
13:00 ─19:00
水・木曜および年末年始(12.27(水)〜1.5(金))は休廊

主催:Gallery PARC

Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2023年12月2日から2024年1月8日まで、ベリー マキコによる個展「きのうのみちばた / Daily Life of Yesteryear」を開催いたします。

ベリー マキコ(Makiko Berry・1975年京都府生まれ)は、京都府亀岡市に生まれ、里山を謳歌する暮らしの中で自然への観察眼や好奇心を育んだと言います。1998年、成安造形大学日本画クラス研究生修了後に渡米し、メトロポリタン美術館東洋美術修復室に勤務。おもに絵画の修復を手がける傍、版画作品の制作・発表、絵本の出版などに取り組む。2008年の帰国後に本格的に作家活動を再開し、2012年には『第4回京都日本画新展』にて大賞を、2016年の『第2回藝文京展〜現代の平面〜』では優秀賞を受賞。現在でも幼児〜高校生の感性を磨く「のびなびあーと」の開講や、こども放課後活用プロジェクト「なないろのアトリエ」絵画指導、「文化を未来に伝える次世代育み事業 なないろのアトリエ」制作指導など、作家活動だけでなくアートを通じた教育にも力を注いでいます。

ベリーは構想やモチーフを持たずに画面に向かい、「想う・思い出す・考える・感じる」ことによって自身の内から生じてくる何かを筆と絵具によって探すように絵を描きます。そうして瞬間的・身体的な感性による線や色による広がりと、作家の経験や記憶、人生といった時間の厚みをともなうイメージが重なることで、広がりと奥行きを併せ持つ独特の絵が現れるといえます。自分自身を出発点に絵を描き、そこに現れた絵に再び自分自身を発見するベリーの絵画制作は、いわば自分から自分への旅ともいえ、絵はその旅の途中で彼女の目に映り、心に留められた風景ともいえます。

またベリーの絵には多く「道」が描かれ、人が行き交い、家族が暮らし、生き物や植物が溢れ、自然がうつろう「みちばた」が現れますが、それはまた、何気ない日常風景・記憶を描くことが、「自分自身(日常)を眼差し、自分を探し・発見する旅」であるとするベリーの眼差しを物語っているといえるのではないでしょうか。

【関連イベント】

石、砂、ねんど、小枝、葉っぱ、ドングリにマツボックリ。ベリー マキコとともに自然物のかたちや色に目と手で触れて楽しむ、さまざまな造形ワークショップを1.6(土)・7(日)・8(月・祝)の3日間開催します。子供から大人まで参加可能です(未就学児は保護者同伴)。 予約フォーム

*ワークショップ開催にあわせ、展示構成を一部変更いたします。

京都市上京区皀莢町287 堀川新文化ビルヂング2階   開廊時間:13時~19時 休廊日:水・木曜日 

GALLERY TOMO

ギャラリーのサイトへ
 

篠原 猛史
-生の臨界点-

2023.11.10 (金) ~ 11.25 (土)
12:00→18:00 日曜月曜休廊

篠原猛史は京都市に生まれ、1981年にNYのプラット・インスティテュートのドローイング専攻を卒業。その後はベルギーを中心に、カナダ、ガーナ、フランス、北欧など様々な国々を拠点としながらその芸術を磨き上げてきました。初めに渡ったNYではヨーゼフ・ボイスの薫陶を受けその社会彫刻の概念を参照し、また親交のあったキース・へリングとは互いの作品を交換するなど知己を得て、80年代よりその名を知られ始めました。00年代に入ってからは国内に拠点を移し活動しています。

篠原の作品は立体と平面、抽象と具象の区別は特にありません。そして風、水、火や音などあらゆるものを素材と見立てて作品を構成させます。これらは単なる造形の構成でもなければ、抽象的なコンセプトの主張でもなく、自然の絶えざる循環と人間の営為によるその関係性といった、現実的な問題についての表現なのです。

そして、篠原は自らが晩年に差し掛かったことを認識しました。自然と人工の対峙に生と死。さまざまな要素の間には境界があり、明確に差異(区別)が存在します。自らの命の期限を感じるのは誰でも寂しいものだろうと考えますが、篠原は依然生きており、今しかない時間を作品にしています。アーティスト、ギャラリスト、鑑賞者。それぞれが作品に対して向かい合う時に、全反射が起きる時を待つのが、近年の「臨界」シリーズと云えます。

そういった中、近年の制作は主に「臨界」というキーワードに基づいています。これらの作品群にはとにかく青がほとばしっています。そういった中、鑑賞者は青を認識します。一見するとただの青かもしれません。しかしこれは永続する時間の表象として存在します。作家の根幹をランガーシュ(視覚化)した言語としての色です。
3年前の「可視の臨界点、2020」では改めて社会とアートの関係性を再確認し、京都は鴨川でのインスタレーションも行いました。一昨年からの二つの展示「月行観天望気論、2021」、「月の臨界角、2022」では、作品がより作家内側からの発露に基づいた形で表現されており、篠原の人生を分類したかのようなP12号のショートストーリーの連作は人生のページをめくる走馬灯のように鑑賞者の視界を経て脳内へと逡巡します。絵も音楽も認識する人がいて絵や音楽として存在しますが、これらの作品はその篠原自身を分類し、鑑賞者と一体となって作品を構成します。それは命の在り方から芸術作品の在り方、定義なども見直すきっかけをくれるものです。

近年の主な個展は、「月の臨界角」松坂屋上野店外商サロン(東京、2023年)、「可視の臨界点」GALLERY TOMO(京都、2020年)など。近年出展したアートフェアとしてACK (国立京都国際会館、2021、2022)、art KYOTO 2023 (元離宮二条城、2023)、アートフェア東京2023 (東京国際フォーラム、2023)など。彼の作品は、大英博物館(ロンドン)を筆頭に、アントワープ王立美術館(アントワープ)、ブダペスト美術館(ブダペスト)、ゲント現代美術館(ゲント)、愛知県立美術館(名古屋)、国立国際美術館(大阪)など、数多くの著名な公共及び民間のコレクションに収蔵されています。

GALLERY TOMO

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

ギャラリーのサイトへ
 

宮岡俊夫 個展
僕の父親 -内なるアメリカ-


December,16th,1945 2022
油彩 カンヴァス
162×131cm

2023.11.25(土)〜 12.3(日)

KUNST ARZT では、2年ぶり4度目となる 宮岡俊夫の個展を開催します。
宮岡俊夫は、表象に捕らわれない 絵画制作を行ってきたアーティスト。
雑誌やインターネット上の、“匿名性が高く、 低解像度の風景画像”をモチーフに、 さらに上下を逆さまに描くことで(展示は上下を戻す)、 表象に捕らわれない絵画制作を実現しました。
2020年からは、ある意味、逆のベクトルである “ある特定の人物画像”のシリーズを開始。
本展は、前回の個展「天皇-精神の焼跡」の続編。
「日本の近代化を支えてきた“日本人の精神”を 徹底的に批判し解体する」という アーティストの信念があります。
ご注目ください。

(KUNST ARZT 岡本光博)

<アーティスト・ステートメント>

戦後日本において“アメリカ支配の構造”は隠蔽されている。
そうした戦後日本の権力構造が日本人の精神においていかに内面化されているか、描こうとした。

 

茨木佐知子 個展
シカクのあそび


2023.12.5(火)〜 12.10(日)

KUNST ARZTでは、12年連続となる 茨木佐知子の個展を開催します。
茨木佐知子は、事の本質をミニマルに、 ユーモラスに表現するアーティストです。
「ジンベエザメ」を描くことからスタートし、 水族館の水槽、建築・空間の四角い要素へと展開し、 後に「シカク」そのものにまで切り詰めました。
本展では、昨年に引き続き、 七宝焼で生み出した「シカク」を核として、 日常の中から見つけた 『カケラ』を作品展開しています。
ご注目ください。

(KUNST ARZT 岡本光博)

 

VvK36
岡本光博キュレーション
ミニマル美術


2023.12.15(金)〜 12.24(日) 

茨木佐知子 岩坂佑史 岩田 萌
金村 仁 菊池和晃 キクチユキ
越野 潤  松井沙都子 水野悠衣
村田のぞみ 岡本光博  山西杏奈
大谷史乃 髙畑紗依 森田志宝

「ミニマル・アート(Minimal Art)」は、視覚芸術における ミニマリズム(Minimalism)であり、装飾的・説明的な 部分をできるだけ削ぎ落とし、シンプルな形と色を 使用して表現する彫刻や絵画・・・」(wikipediaより)とあるが、 「素材、物質」も重要な要素であり、“もの派”や ワビサビ的な日本美に通じる概念でもあると言えよう。
昨今のNFTの存在は改めて「現前性と可視性」を軸とした ミニマルアートの美術史的な存在意義を高めたように思う。
ジャド、アンドレ、モリス、ルイットらによって発生した ミニマルアートという概念からは40年以上経過するが、 おそらくその影響力は衰えることは無いと思われる。
KUNST ARZTでは、これまで開催してきた展覧会において 「ミニマル」な魅力を発信してきたアーティストは多く、 本展であえて集結させ、さらにミニマルな魅力を発信してきた アーティストにも参加していただき、 「ミニマルアート」の現在形を提示したいと考えています。

岡本光博
(KUNST ARZT主宰、美術家、本展キュレーション)

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

ギャラリーのサイトへ

*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F〉
とぎれる/つづける
藤野裕美子 個展


2023.11.28(火)~ 12.3(日)

これまで様々な地域の取材をもとに、残された事物や過去の出来事について絵画化することを続けてきました。
今回は、ある地域に伝わる太鼓作りや太鼓踊りの伝統について取材し、道具や職人・奏者の手つき、ゆかりのある植物などの形象を構成した作品を制作しました。時に途切れながらも、続けようとする人の手によって伝わる地域特有の文化を、四方八方に繰り返される終わりのない文様で表します。また本展では、新たな手法を用いた新作を展開します。(藤野)

 

〈2F〉
作田優希 展 ~言ノ葉蒐集~


2023.11.28(火)~ 12.3(日)

耳に残る言葉、ずっと昔に聞いた物語や神話、小説・音楽などに綴られる原風景、日々の暮らしで見つけたもの・ 景色を出発点に、自分が感じた記憶の違和感や言葉への解釈を取り込み作品を構築する。

歪んで曖昧模糊な記憶の映像を、無作為に生長する植物のシルエットに託している。第一印象で意味の知らない言葉、何らかの含みを持たせた文章、隠された感情を多数の色彩で組み合わせ、絵画独自の時間・空間表現を目指す。(作田)

 

〈1F〉
矢野瑞季 展 ツバキ日記


2023.12.5(火)~ 12.10(日)

3年ほど続けてツバキを描いていますが、毎回少しずつ見え方が違います。
きっと何かを見る時、頭の中にストックされた思い出や知識を通してみていて、そのストックが日々更新されていくから違って見えるんだと思います。
今と全く同じものはこの先見えないんだな、と思ったらちょっとずつ記録していきたくなって、最近の制作はなんだか日記のようだと感じています。(矢野)

 

〈2F〉
若林静香 日本画展
月の庭


2023.12.5(火)~ 12.10(日)

自然を写生することは、いま目の前に生きている命を見る時間です。
形や色を写すことだけでなく、じっと座ってその時間を過ごすことに、写生の愉しさがあります。
そのとき、自分も木や草と同じようにその場にいて、そこに流れている時間を鮮やかに感じます。

日本画を始めた頃、「自然から学びなさい」とよく教わりました。
絵を描く時間よりも、生活の中で何か困難を経験した時などに、ふとその言葉を思い出します。
そうやって暮らしと日本画が繋がりながら、小さな歩みを続けてます。(若林)

 

〈1F〉
Journey
Christmas selection 2023
中村桃子 平田祐子
澤村はるな 三橋 卓


2023.12.14(木)~ 12.24(日)
※ 12.18 (月)休廊

絵を描くことは旅をすることと似ている
目的地へ向かってのらりくらりと進んでいく
そこでの発見は、どんな些細なことでも心にキラリと残っていく
これからもわたしたちは旅を続ける

クリスマスという一年の締めくくりに、わたしたちの旅の跡を是非ご覧ください。(一同)

 

〈2F〉
清水宏章 展
tales for someone


2023.12.14(木)~ 12.24(日)
※ 12.18 (月)休廊

今回の個展は、人の行動と内面についての考察をテーマにしています。
人が何かしらの行動をする時の内面を考察し、その内面を造形に落とし込んでいます。
これまで2度恵風さんで個展をさせて頂き、その度に自分の表現したいものは何なのか自分なりに探ってきました。
これまでは食器も展示させて頂いていたのですが、今回はオブジェとその世界観に合う実用的なもので構成したいと考えています。
ぜひご覧頂けると嬉しいです。(清水)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

ギャラリーのサイトへ
 

中前寛文 展
"The Planet of Hope"


2023.11.4(土) 〜 11.26(日)
休廊日:月・火・水

アーティストトーク:11.4 (土) 16:00 ~
ゲスト:室井絵里 ( 美術評論 )

環境や地勢、文化などそれぞれの「ある要素」を横断することで見えてくる関係性から表現へ向かう手法をとっています。一言でいえば「マッピング」です。原点は、2012年に叔父の遺品のバイオリンや墓の写真(シベリア)がトリガーとなりました。2016年夏、叔父のシベリア抑留の足跡を追うためにイルクーツクに向かい、サーベイを行いました。2020年冬に、再びバイカル湖(シベリア)に浮かぶオリホン島でのアーティスト・レジデンスが実現し、現地で制作することができました。今回は、夏と冬の作品と新たに制作したものを展示し、現在の社会状況から新たに作品が発現してくる「何か」を透して思考を深めたいと考えています。

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

ギャラリーのサイトへ
 

Yasuyo
「平和推進テレパシー」


2023.11.25 (土) ~ 12.3 (日)
12:00~18:00 (月曜日休み)

Yasuyoは、子どもの頃に遠くの星、金星出身だと遊び心で言ったことを懐かしく思い出します。現在、彼女は「幸せな地球人」の本質を具現化することを望んでおり、その調和のとれた精神は金星人ですら賞賛するかもしれません。彼女は自らの創造力を媒体として、芸術を「紛争」の反対と位置づけ、人々の間で相互理解を促進することを目指しています。

興味深い展示のタイトル「平和推進するテレパシー」は、観客に彼女の作品の中に隠されたメッセージを見つけるように招待します。アーティストにとって、テレパシーの概念は、視覚芸術と同様に、世界と対話する等価な手段として機能します。同時に、タイトルは彼女自身の絵画実践を隠喩的にも表現するかもしれません。

Yasuyoは純粋に直感的なアプローチを守り、視聴者に知覚の自由を与えるために画像を普遍的なコミュニケーション手段として作り上げようとしています。彼女の絵画的な符号体系を通じて、彼女は観客と感情と意味を共有します。「私の抽象画は『純粋な逸脱の遊び』で、個々が自由を経験し、制約から解放され、美を見出す冒険の旅を描いています。」

Yasuyoは彼女の芸術のインスピレーションを、日常生活から切り離せない自然でシンプルな要素から得ています。個人の感情に加えて、彼女は大衆文化の概念を取り入れ、それを抽象絵画の文脈に埋め込んでいます。これにより、彼女の作品はポップアートと精神的に調和し、物体が抽象的な形に変わるという違いがあります。作品のタイトルは観客を独特な解釈に導き、全体のメッセージを補完しています。

アーティストのスタイルは、日本の浮世絵の伝統の中で文脈に置かれることもあります。これは、はっきりとした輪郭、「平面色」、自然な透視の意図的な欠如が特徴であり、描かれた表面が薄い線、筆跡、タッチを通じてキャンバスに絡みつく形態が含まれています。イメージのボリュームと奥行きの創造は、細部の均衡から生じています。これらの技法は、明確な色彩の形と線が結びついて、彼女の作品からフラットな印象をもたらしています。単語がスピーチに結びつくように、Yasuyoは抽象的なオブジェクトを結びつけ、彼女に色の語り手の称号をもたらしています。

 

渡邉敬介による絵画 in 興聖寺(織部寺)


渡邉敬介「鳴き龍」
2023
ミクストメディア、紙
125x190 cm

2023.12.1 (金) ~ 12.10 (日)

ゲスト;アンドレイ・コンチャノフ(米国)
パフォーマンス:12.2(土) スタート16:00〜1時間

「音を描く」 展覧会

見えざるものが鮮やかなアートに変わる、興聖寺での魅力的な空間へ足を踏み入れてください。 この展覧会では、音楽と絵画をシームレスに結びつけるプロの音楽家である渡邉敬介の見事なスケッチが紹介されています。 渡邉はその場での即興のスケッチを実践し、風景、建築、人物、日常の儚い瞬間など、さまざまな主題を捉えます。 素早いスケッチを通じて、彼は情熱、動き、そして時間の経過を伝え、官能的な魅力に満ちた芸術作品を生み出します。
さらに、アメリカのアーティスト、アンドレイ・コルチャノフのビデオインスタレーション「Shadow-Makers」(シャドウメイカーズ)が展示を豊かにします。コルチャノフは自身のニューヨークのスタジオ壁に遠くの建設現場の光が投影する影を3.5年以上にわたり、これらの影の写真約2300枚を記録しながらそれに伴う音を収録しました。このインストールは日常の環境に見られる非意図的な美を強調し、予期せぬ場所での芸術の探求を奨励します。

「音を描く」 パフォーマンス

ハリー・ファン・ドーヴェレンによるオランダ語の詩の朗読が、京都の興聖寺で生き生きとした筆運びに姿を変えます。日本のアーティスト、渡邉敬介とオランダのナレーター、キネ・ブレッツシュライダーが、「音を描く」と題した即興のパフォーマンスで協力します。多彩なアーティストが才能を結集して、聴覚体験を魅力的な視覚体験に変えます。
キネはオランダの詩を朗読し、彼女が話すと、渡邉はその言葉に応じてライブで絵を描き、音をアートに変えます。興聖寺の静かな雰囲気に触発されたオランダの詩の美しさが生き生きと表現されます。それは言葉とイメージの魔法の融合で、皆様の目の前で行われます。

場所:興聖寺(織部寺)
住所:京都市上京区堀川町上御霊前上上天神647
アクセス:鞍馬口駅[2]徒歩13分
料金:無料
展覧会URL:https://www.g77gallery.com/ja/drawing
補助:京都府文化力チャレンジ補助事業
主催:任意団体Gallery G-77

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

現代美術 艸居

ギャラリーのサイトへ

<艸居>

 

堀江美佳
「木、水、そして光」


堀江美佳《Ori》
2023
H40 × W57.5 cm
手漉き和紙雁皮紙にサイアノタイプ・プリント

2023.9.7(木)〜 11.29(水)

艸居(京都)では、堀江美佳「木、水、そして光」を開催いたします。堀江は京都で育ち、京都芸術大学で写真とデザインを学んだ後、ロンドンのキングストン大学へ留学します。帰国後の2013年より、石川県加賀市山中温泉を活動の拠点としています。住居兼アトリエである古⺠家近くの山から、高級和紙の原料として有名な雁皮 (がんぴ)という植物を採取し、側に流れる天然水を用いて和紙を漉き作品の支持体としてきました。カメラで撮影をした後自身で漉いた和紙にプリントした作品は、海外の展覧会に参加するなど注目を集めています。19世紀に発明された古くからある写真方式「サイアノタイプ」を用いている点も堀江の作品の大きな特徴です。⻘一色で表現されるこの写真は、太陽光によって印画することができ、日本語の「⻘写真」という単語の語源にもなっています。

石川県の雁皮だけでなく、写真を現像する、和紙を漉くなどの作業に欠かせないきれいな水があることも制作において重要な事柄です。堀江の作品づくりにぴったりともいえる現在の環境に移り住んでから10 年が経過しました。自然のうつろいを夢中になって撮影してきた堀江にとって、近年は万葉集の歌に出てくる日本古来の花や日本の織りや着物など、いつか途絶えるかもしれない日本文化を「学びたい、写したい、そして残したい」という強い思いを持ちながら生活・制作していると述べています。

太陽光で露光をする古典的写真技法と、地域に由来する手漉き和紙で表現する堀江の作品には美しさや儚さ、強さが共存しています。その⻘色の豊かな階調には、文化の違いや時間経過を忘れて没入してしまうような奥深さや郷愁を感じることができるでしょう。艸居では初の個展となるこの貴重な機会に是非ともご高覧いただければ幸いです。また本展に関連して、10月28日より国立京都国際会館にて開催される Art Collaboration Kyoto(ACK) の艸居ブースにおいても堀江の作品を展示いたします。こちらもあわせてご覧いただきますようよろしくお願い申し上げます。

京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:10:00AM- 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

美術館情報

京都市京セラ美術館
本館 北回廊1階
新館 東山キューブ

MUCA展
ICONS of Urban Art
~ バンクシーからカウズまで ~
2023.10.20(金)- 2024.1.8(月・祝)


Photo by © MUCA /
wonderland media


京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

山本雄教:仮想の換金
(priceless museum)
2023.10.13(金)- 2024 2.12(月)


山本雄教《4050円の女》
2023年
撮影:守屋友樹


京都国立近代美術館

開館60周年記念
京都画壇の青春
―栖鳳、松園につづく新世代たち
2023.10.13(金) - 12.10(日)


美術館「えき」KYOTO

生誕140年
ユトリロ展
2023.11.3(金・祝)– 12.25(月)


雪のサン=
リュスティック通り、
モンマルトル
1933年頃 個人蔵