◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

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アルベルト・ヨナタン・セティアワン
「CONSONANCE」


《Palingenesis II》
テラコッタ
183 x 127 x 3.5 cm 、2024

Photo by Angga Bakti Effendy,
Courtesy of Tumurun Museum,
Albert Yonathan Setyawan,
and Mizuma Gallery

2025.11.8 (土) ~ 11.29 (土)
12:00 - 18:00 * 日月祝休廊 * 11.16(日)は開廊
協力:Mizuma Art Gallery
オープニングレセプション:11.8(土)17:00~18:00 作家在廊

この度、イムラアートギャラリーでは、アルベルト・ヨナタン・セティアワンの個展「CONSONANCE」を開催いたします。

インドネシア出身のアーティスト、アルベルト・ヨナタン・セティアワンは、バンドン工科大学視覚芸術専攻修士課程を修了後、京都精華大学大学院芸術研究科博士課程にて博士号を取得しました。大学院の在籍時から8 年に渡り京都を拠点に活動、現在は東京で活動しています。

本展では、テラコッタを素材に制作されたパーツを壁面に展開するセティアワンの代名詞とも言える作品群を展示いたします。展覧会のタイトル「CONSONANCE」には、一つ一つのパーツが組み合わさって作品になり、またその作品同士がギャラリー空間で調和する、という意味が込められています。個と全体、ミクロとマクロという二つの視点から、それぞれのConsonance(協和音)を探求した展覧会です。

ZENBI 鍵善良房 KAGIZEN ART MUSEUM で開催中の個展「Sugar Poetry」とあわせて是非ご高覧いただけますと幸いです。

アーティスト・ステイトメント

言語において、CONSONANCE(協和音)とは、文章の中で同じ子音を繰り返すことを指す文学的表現法です。 これは、単語や音節における音同士の対応関係を示しています。一方で、Consonance は、「一致」や「調 和」を意味する場合もあります。また、音楽において、協和音は不協和音とは対照的に、音や音色の調和 を指します。

本展では、陶芸作品とドローイング作品の数々を発表します。ここでの「協和音」という言葉は、作品の視覚的な側面だけでなく、それぞれの作品がどのように構成され、組み合わされて空間に展示されているかをも体現しています。

各作品のパターンや構成は、独立した一つの形としても成立する個々の集合体でありながら、協和音の概 念のように、それらが組み合わさることで、さらに統一感のある調和のとれた空間を形成しています。私 はそれらを、繰り返されながら、全体としてひとつのまとまりを成す、つまり一つの文章へと紡がれる個々 の言葉のように捉えています。

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

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〈ギャラリー〉

 

小林一彦 展


2025.11.18(火)〜 11.23(日)

 

「虚と実」
chil × usutokine
collaboration exhibition 2025


2025.11.24(月)〜 11.30(日)

宇宙は周波数である。
いのちとは絶え間なく紡がれる振動数である。
ただそこに「在る」もの。
虚と実が交わる点に
いのちは生まれる。
異なる表現を持つ二組の作家の振動数が
同じ空間でどう交わるのか。
是非ご高覧いただけますと幸いです。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

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「この世界の覚え方」
今村遼佑 個展


《光島さんに自分の車を運転してもらう》(仮題)
今村遼佑・光島貴之協働プロジェクト
©2025 Takayuki Mitsushima,
Ryosuke Imamura

2025.11.1(土)〜 11.30(日)
会期中 金・土・日 12:00 – 18:00 開廊
月〜木曜日はアポイントメントを承ります。

グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」では、森の奥に連れていかれた兄妹が家に戻るための目印として、パンの欠片を残していきます。ウェブサイトにおいて、現在ページの位置を示す「パンくずリスト」の名称はここに由来していますが、童話の中ではパンくずは鳥たちが食べてしまって跡形もなく消えてしまいます。このあやふやで儚い道しるべの残し方に惹かれてしまいます。そこには、あやふやさだけではなく、あるいはあやふやであるがために、強い切実さを感じるからです。
切実さの種類はだいぶ違うのですが(命の危機があるわけではない)、私の表現もこの世界の出来事を覚えておきたいという欲求からきています。今回の展覧会では、これまでの継続したテーマとして、世界の中で不確かに消え去ってしまう光景や音、あるいは手触りをとどめようとする作品群とともに、近年取り組むアーティスト・光島貴之さんとの「感覚の交換」をテーマとした共同プロジェクトから、自分の車を彼に運転してもらうという試みを記録した映像作品も展示します。

今村遼佑

eN artsでは 今村氏は、日常の中にあるささやかな出来事や記憶を題材とし、日用品など身近な素材を用いて、映像・立体・絵画・インスタレーションといった多様な技法で表現を行っている。作品には、くちなしや金木犀、ジャスミンといった香り豊かな植物がたびたび登場し、観る者の嗅覚や記憶を喚起する点も特徴である。
過去にeN artsで開催された展覧会(2018年11月)では、会期中に会場周辺で甘い香りが漂い、作品による演出と錯覚するような体験があった。実際には隣家の庭に咲く柊の香りであったが、このように今村氏の作品は、観る者の日常感覚を鋭敏にし、普段は意識に上らない光景や匂いを新たな意味を持つものとして浮かび上がらせる。また、庭先に落ちていたガラス片を作品の一部と錯覚するなど、日常の些細な事象が作品と呼応するような感覚も・・・こうした体験は、記録だけでは残しにくい感覚的な記憶を刺激し、鑑賞者に新たな気づきを与えるものである。
本展は、2018年に開催された個展「そこで、そこでない場所を」以来、7年ぶりとなるeN artsでの個展である。作家・光島貴之氏との協働プロジェクト映像をはじめ、会場でしか体験できない作品が展示される予定である。ご来場者のお客様には五感を通じて、記録を超えた感覚の記憶を追体験いただきたいと願う。

桑原暢子|eN arts

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

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越田博文 展
いつかみたどこかへ


2025.11.11(火)〜 11.22(土)

私の絵画制作の動機は、「揺れ動いて変化し続ける空間や感情」を表現することにあります。色面や線、余白から生まれる響きを通して、琳派など日本絵画の空間を参照しながら現代へと展開しています。絵画は静止したメディアでありながら、置かれた空間や光、そして受け取る身体によって姿を変えます。世界は私たちを含め、刹那ごとに生起と消滅を繰り返しています。その中で、朧げな記憶の断片や、かつて目にした光景を呼び起こせることを願っています。

 

岡本里栄 個展
「ただそこにいること」


2025.11.25(火)〜 12.6(土)

完全にわけられているわけではないけれど、境目があってわかれているような、曖昧で断定できないそのあたり。そのような境界のあり方をモチーフにも作品そのものにもみいだそうとして絵を描いてきました。世界はわかりやすくはっきりとはわかれていない。こっちの時もあればあっちの時もある。あっちこっち行ったり来たりするうちに、また違うところにきたり。
誰かが着ていた衣服や誰かが使っていたハンカチや布は、この曖昧で断定できない存在として描いています。
ただそこにいること。当たり前のようで、難しいことのように感じています。排外的な言説が巷に溢れ、誰かの尊厳を侵すことにためらいを感じない空気が急速に広がっているこの世界で、ただそこにいることは容易ではありません。
誰かにとっては取るに足らない布切れでも、それでもただそこにいる存在として描き出していくことを続けていきたいと思います。

 

<会場:APERTO>

立花 光 展
「置き配達」


2025.11.25(火)〜 12.6(土)

ステートメント:
「リミナルスペース」「置き配達」「家」「広告」といったステルスな場所・ものに着目し、工作的あるいは写真的な技術を用いて、見ることの不気味さを表現する。

 

佐藤健博 展
pollard


2025.12.9(火)〜 12.20(土)

制作をしながら手元にある枝を見て、剪定された元の樹木を想像します。私たちの利用目的が何であるにせよ、切られたあとも樹木は生を継続していくのだとしたら、切り落とされた部分からは萌芽し、今はもう異なる枝に置き換わっている可能性もあります。近所の街路樹の枝先の瘤さえ、想像を補ってあまりある時間の形として見えるのは、その形成過程を、私たちはなんとなく知っているからではないでしょうか。
自分の作品の説明をするとき、いつも言葉が足りなく感じてしまう理由は、そういった複雑な時間について、素材として扱う私自身の想定を軽々と超えてしまっているところにある、と考えるようになりました。今回少しでも、その透明な歴史に追いつこうと、根源的な剪定方法としても知られる、「台刈り」の英訳である、「pollard」という単語をタイトルに据えています。
剪定は、過去を踏襲し、未来を想定した現在の一回性の行為です。今見えている形は、人の要請と 樹木からの妥協点が積み重なって、双方から更新され続ける関係性の履歴なのです。

本展示は、木材を用いた立体作品と、水彩による絵画作品で構成されます。立体作品は、素材となる木材の、それまでの成長過程における人との関わりが顕著に視覚化されるよう、複雑な構造として再構成され、絵画作品では、イメージが成り立つ色と形を、水や(乾燥するための)時間といった被支配的な要素によっても決定していきます。どちらも直接的、間接的に剪定という行為に内包されている、複雑な時間と同質の手順を踏んで制作されたものです。これらの一連のプロセスは、視差を伴う曖昧な経緯となって鑑賞者に作用することを望みます。

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

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劉 峻如 個展
「遠い家 -Far From Home-」(絵画ほか)


「秘密基地」2025年
キャンバスに油彩/410×410 mm

2025.10.22(水)〜 11.16(日)

ずっと「家」と「安心感」をテーマとしているけど、京都で暮らすうちに絵に変わってきた。絵と同じように自分も変わっていく。けれども、「どこかで見たことがある」という感じを観る人に呼び起こしたい気持ちは変わらない。ここは私の故郷ではないけど、「家」の感覚を与えてくれる。私の好きな人、風景、心がある。「家」はそれらとの結びつきとして存在している。̶Notmy country, but still my homeがふさわしいと思った。
これまでは、画面に「家」がよく現れていた。雪の多い土地で育った私にとって、その形は自然と人とのあいだをやわらかくつなぎ、安心感をもたらしてくれる存在だった。
いま、関心は少しずつ「水辺」へと移りつつある。故郷は海に面しており、水は隔てると同時に人や場所をつなぐものだ。そのあわいにある境界は、私がこれまで注いできた人と自然との関わりにも重なっている。
家も水も、共通して「包まれる感覚」を与えてくれる。なぜか私を庇い、ほんのひとときの安らぎを与えてくれるのだ。(劉 峻如)

京都市立芸術大学で開催された展覧会では、特に印象的な作品があった。劉峻如による、ぽつんと立つ家、無人の船が漂い、霧の中を疾走する車を描いた作品群だ。それぞれが孤立しながらも、その静謐な存在感は世界の清らかさと不純さをすべて包み込み、私の心の奥深くに響いた。この時代、この世界で、私は時に深く考え込む。真に自由で独立した魂はどこにあるのだろうかと。しかし劉が描く光景は、霧のように霞んだ時空を泳ぐ存在たち、そしてそれらの存在がもたらす新たな世界を静かに示唆している。
(ヴォイスギャラリー/松尾惠)

京都市下京区筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:13時~19時 休廊日:HPにてご確認ください。

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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SPECIAL EXHIBITIONS
KYOTO EXPERIMENT 2025|展示
ターニヤ・アル゠フーリー & ズィヤード・アブー・リーシュ
「電力と権力を探して」


Photo by Elina Giounanli

2025.10.11(土)〜 11.16(日)
休館日:10.27(月)、11.4(火)、11.10(月)
※KYOTO EXPERIMENT 2025 期間中(10.26まで)は無休

入場料:無料
主催:KYOTO EXPERIMENT
   京都市立芸術大学
企画:川崎陽子、塚原悠也
(KYOTO EXPRIMENT 共同アーティスティック・ディレクター)
藤田瑞穂(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAチーフキュレーター /プログラムディレクター)

レバノンの停電問題と権力の闇を告発する、
愛と復讐の宴がはじまる

中東の小国レバノンが、数十年間に及ぶ電力危機とこれに端を発する政情不安に見舞われてきたことをご存知だろうか。国から配給される電力は1日わずか数時間のため、国民は独自の解決策に頼らざるをえない。状況は2020年の金融破綻や昨今のイスラエルによるレバノン侵攻によって悪化の一途をたどるばかりだ。

レバノン内戦下(1975–90)に生まれたターニヤ・アル゠フーリーと歴史家の夫 ズィヤード・アブー・リーシュは、ある停電の夜、この問題の根源を解明するプロジェクトに乗り出した。本作は「謎解きをするには最高のカップル」と自ら語る二人が見つけた事実を、観客参加型のレクチャー・パフォーマンスで告発していくものだ。

ある祝いの夕べに誘われる参加者たち。供されるのは、複数の国で収集した公文書や記録文書の数々だ。これまで隠蔽されてきた資料を含むこれらは、レバノンの電力インフラと旧宗主国や欧米間の覇権争い、マネーゲームをめぐる歴史の闇の痕跡。ひとつずつ手にとって見ていくことで、観客自身もこの歴史の継承者となっていく。展覧会では、パフォーマンス上演後の空間をサウンドインスタレーションとして公開する。

<パフォーマンス上演日時>

詳細はイベントページをご参照ください。
10.4 (Sat) 15:00
10.5 (Sun) 13:00 / 18:00
10.6 (Mon) 14:00
10.7 (Tue) 13:00
10.8 (Wed) 13:00
10.9 (Thu) 13:00

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

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UNDULATIONISM Ⅻ
黒田アキ 小栁仁志 世良剛 浜崎亮太


2025.11.8(土)〜 11.30(日)
開廊時間:12:00 〜 18:00
休廊日:月・火・祝日 休廊

「UNDULATIONISM」は造語です。「UNDULATION」とは真っ平らでflatなものではなく「波のような動き」や「揺らぎ」を意味します。この単語は「undulate」という動詞からの派生語で、自然現象や音楽、心理的な状態や感情の起伏を表す場合にも使用されます。風などの要因により生み出される「UNDULATION」ですが、「NOISE」から生まれてきたものだと我々は捉えます。

「NOISE」という言葉は黒田アキの友人であるフランスの哲学者ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の「NOISE」論に依拠します。中沢新一氏によると「NOISE、それは古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノアーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている」(中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹- より)、とあります。

黒田アキが名付けた『Noise(ノワーズ)』という美術雑誌(1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行)は、1985年に黒田が『デリエール・ル・ミロワール』誌を引き継ぐ形で創刊し、新しい美術誌のタイトルとして使われました。所謂、英語的なノイズと言われるものと「NOISE」は全く意味が違い、黒田アキはNOISEという言葉に意味を見出してきました。海から生まれるNOISEは黒田の青の意味の源泉でもあります。マチスやクラインとも違う、黒田の青はNOISEに起因し、青の根源を黒田は「風」のようなストロークによって波立たせ、絵画面上に「UNDULATION」を起こし、そこで縺れた線は様々なイメージを生み出します。

世良剛、小栁仁志、浜崎亮太の三作家も、こうした「UNDULATION」をそれぞれの思考、技法によって生み出します。

小栁仁志は、静かですが非常に微妙なストロークによって画面上の海を波立たせ、そしてまた空を棚引かせます。何重にも絵具を塗り重ね、一見すると淡くも深淵なる画面を描いていきます。彼の作品は決してミニマルなものではなく、その画面には小さくも持続性のある確実な揺れが存在しています。

世良剛は、とても優しいストロークにより、極めて透明感のある画面を作り出します。淡くもその浮遊感のあるイメージは常に漂いつつ、鑑賞者の記憶に着実に残っていきます。

浜崎亮太は、映像作家としてデビューし、近年はオブジェ作品を多数発表しています。マルグリット・デュラスに影響を受け、独自のコンセプトで作品をつくってきました。幼年期や日常の体験から科学論に至るまで広い範囲から着想を得て、オブジェの箱の中や平面に意味のレイヤーを作りこんでいきます。既製品を使いながらもアッサンブラージュの手法を用いることで、作品に隠された意味を幾重にも拡張し、映像の持つ時間のような波をつくりだします。

今回は四人の作家がそれぞれ独自の手法によって、「UNDULATION」という意味を提示してくれることでしょう。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

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〈1F〉
上岡真志 展(新制作協会会員)
(ミクストメディア)

2025.11.11(火) ~ 11.16 (日)

※11.13(木)、14(金)、15(土)は20時まで。
ACK ART NIGHT OUT企画に参加のため時間を延長します。

 

〈2F〉
貝原 浩 没後20年 旅のかけら 鉛筆と筆

2025.11.11(火) ~ 11.16 (日)

貝原浩は多様な画材を使って、幅広い分野で活躍した絵描きでした。
没後20年の今回は、鉛筆画の集大成となった「FAR WEST」を中心に展示します。 また、チェルノブイリ原発事故後の風下になったベラルーシに生きる人々との出会いの印象を、大きな和紙に墨だけで描いた作品も展示します。
いずれも最晩年の作品です。絵描きが、旅で出逢った人たちの眼差しの向こうに感じたものは何なのか。
20年という時の流れのこちら側にいる私たちに問いかけます。

 

〈1F+2F〉
25人の絵展
-京都芸術大学洋画通信課程に関わった作家たち-

2025.11.18(火) ~ 11.23 (日)

京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)洋画通信課程の先生方による展覧会は、2008年以来好評をいただいて継続してきました。
その間、名称は少しずつ変化してきましたが、前回からは懐かしい「25人の絵展」をメインタイトルとし、現在は研究室を離れられた先生方にも多数御出品いただくこととなりました。ベテランから新鋭まで様々な画風の作品をどうぞお楽しみ下さいませ。

ギャラリーヒルゲート

 

〈1F〉
西久松吉雄 展
地の恵み―京野菜2025(創画会会員)(日本画)

2025.11.25(火) ~ 11.30 (日)

野菜雅遊
野菜や果物の形と色彩と味覚の豊かさや地域性に興味を持ち始めたのは、石本正先生引率《ヨーロッパ美術の旅 80日間》に参加して、フランスやイタリアの街中の露店に見慣れない野菜や果物が、視覚効果的に整然と並べられている光景に魅了されたことです。また、郊外の農村地帯で低木のブドウ畑、レモンやオリーブの樹、鮮やかな赤い果肉のブラッドオレンジに出会った記憶が今でも鮮明に残っています。
落花生やジャガイモ、さつまいもなどを家庭菜園で育て、土から掘り起こした姿かたちを作品にしていました。ニンジンや大根は、土中で石や土の硬さによって二股になり、土の状態や水はけ水もち、日照、風雨、温度湿度、天候など自然と共に育ち、しっかりと根を張り育つ個性ある証のかたちがありました。
伊根の舟屋、古墳や社のある風景、巨樹シリーズから、再び野菜や果物を素材に《お経の文字と野菜》《印仏と野菜》《曼荼羅と野菜》として想念しながら、野菜や果物を構成して楽しく画面の中で遊ばせています。時には、地域の市場に通い土の中で曲がりくねった野菜を探しています。
日本列島の地形による気候風土や土壌の違いで培われた各地の特色ある野菜や果物も、その土地からの恵みです。

 

〈2F〉
たくまたえこ個展
-草花文字 届きました-

2025.11.25(火) ~ 11.30 (日)

 

〈奥庭空間〉
鐵羅 佑 個展
五千度の庭(鉄造形)

2025.6.24(火) ~ 12.21 (日)

溶け混ざり歪んで留まる。
皮膚感覚により知覚する熱と形態。
温覚は触覚へ、温度は形態へと移行し静かにそこに佇む。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

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<ギャラリー北・南、他>

 

Co-program B
「包摂とL」


中村太一


長谷川由貴


小宮りさ麻吏奈+鈴木千尋


水木 塁

2025.11.8(金)〜 12.21(日)

キュラトリアル・アドバイザー:近藤亮介(山水東京 代表)
主催:水木塁、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
企画:水木塁+山水東京
出展作家:中村太一、長谷川由貴、繁殖する庭プロジェクト [小宮りさ麻吏奈(こみや・りさ・まりな)+鈴木千尋(すずき・ちひろ)]、水木 塁

京都芸術センターでは、Co-program カテゴリーB 2025採択企画「包摂とL」を開催します。

「多様性(diversity)」という言葉は、いまや現代社会のなかで独り歩きし始め、正しさの象徴のように語られることがあります。しかしその言葉が実際に意味するものは、果たしてどこまで届いているのでしょうか。そして、誰が語り、誰が受け入れ、そして誰が取りこぼされているのでしょうか。

「包摂とL」展は、水木塁とアーティスト・コレクティブ「山水東京」の共同企画による展覧会です。本展では、俯瞰的・制度的な「多様性」ではなく、他者や他種との関係を自らの問題として引き受ける「包摂」の姿勢に注目します。

【展覧会ステイトメント】

「包摂とL」は、制度的な「多様性」ではなく、関係性のなかでこそ立ち現れる「包摂 (inclusivity)」のかたちを探る、 連続企画の第2章です。

包摂とは、ときに戸惑いや違和感を含みながらも、関わりつづけることを選ぶ姿勢です。共にあることの難しさと豊かさに向き合いながら、他者との関係を手放さずに生きるという実践に、私たちは包摂の可能性を見出しています。こうした実践は、行政が策定し、記録に残そうとする制度よりも、日々の学びや記憶の継承、地域に根づいた営みのなかに息づいているのではないでしょうか。

会場となる京都芸術センターは、日本最古の番組小学校のひとつを改修して設立された複合文化施設で、 その公共性という遺産(Legacy) と、地域に根ざした学びの場 (Learning)、 そして都市のなかの文化的地域性(Locality)を引き継いでいます。 展覧会タイトルにある「L」という文字には、これら3つの重なりが宿っています。

出品作家は「包摂とQ」展 (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)と同じく、小宮りさ麻吏奈 + 鈴木千尋、 中村太一、 長谷川由貴、 水木塁の4組。それぞれが引き続き、他者や他種との交錯に向き合いながら、 包摂をただの理想ではなく、現実のずれや綻びを含んだ生の実践として捉え直します。

<館内各所/図書室・情報コーナー>

 

森 太三
「ここに仮に置いてみる」act 2
〔feat.麥生田兵吾〕


撮影:麥生田兵吾

2025.11.20(木)〜 2026.2.27(金)

2025年に開設25周年を迎えた京都芸術センターの館内各所に、森太三のカラフルに着彩された木端による椅子やベンチを約1年の期間、仮に置いてみます。森は粘土を丸めたり、紙を切ったり、木材を小さく切ったりしたものを寄せ集めることで、大きな作品を制作してきたアーティストで、2001年に京都芸術センターが開催した初めての公募展「Amorphous “I”アモルファスアイ/不定形の〈私〉」(2001年2月4日-27日)の出品作家です。 25年の時を経て京都芸術センターに帰ってきた森の作品から、どのような風景が見えてくるでしょうか。 京都芸術センターに来られた際には、ぜひ腰掛けてみてください。

2025年11月20日からは第2幕として、写真家・麥生田兵吾が捉えた「ここに仮に置いてみる」の記録写真を合わせて展示します。館内各所に佇み、人の訪いを静かに待つ椅子たちが、人が現れることで動き出す…。「ここに仮に置いてみる」の新たな一面をご覧ください。

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

GALLERY TOMO

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篠原猛史 個展
“sounds of nought”

2025.11.21 (金) ~ 12.6 (土)
日月火休廊
営業時間 12時→18時

<アーティスト ステートメント>

「無音の音」

陽が沈み、都会の喧騒から離れ森を歩く。

周りは黒一色の世界。

静寂の中、自分の呼吸と脈打つ音を聴く。

生きていることを確認しているようだ。

限られた音の世界で存在する音。

限られた光の世界で観る色彩の存在が立ち上がってくる。

色彩や音が限り無く無に近づく時、

その存在が大きくなる。

篠原猛史

<展覧会に添えて>

篠原猛史は京都市に生まれ、1981年にNYのプラット・インスティテュートのドローイング専攻を卒業。その後はベルギーを中心に、カナダ、ガーナ、フランス、北欧など様々な国々を拠点としながらその芸術を磨き上げてきた。初めに渡ったNYではヨーゼフ・ボイスの薫陶を受けその社会彫刻の概念を参照し、また親交のあったキース・へリングとは互いの作品を交換するなど知己を得て、80年代よりその名を知られ始めた。00年代に入ってから現在は日本国内に拠点を移し、現在は東京大学の講師としても活動している。

篠原の作品は立体と平面、抽象と具象の区別は特にない。あらゆるものを素材と見立てて作品を構成させる。これらは単なる造形の構成でなければ、抽象的なコンセプトの主張でもなく、自然の絶えざる循環と人間の営為とその関係性、現実的な問題についての表現である。

今回の展示では「無音の音」と題した展示を行う。反響するようなモノタイプのイメージから、木片をつなぎ合わせた平面なのか楽器なのか鑑賞者からアクションを起こさないとわからないもの等、想像を掻き立てる作品群が並ぶ。

また近年継続している、作家がこれまで過ごした様々な地域の水を用いて絵具を溶いて制作。内と外、雨の中で制作をしながら、それらを持ち帰り室内で水性及び油性の絵具で仕上げている。自然の中に身を置き、自身が触媒となって表れてくる自然との共作でもある。

近年の主な個展は、「月の臨界角」松坂屋名古屋店(名古屋、2025)、「超臨界点」GALLERY TOMO(京都、2024)、「WHITE NOISE」EXCLUSIVE GALLERY(大阪、2024)など。近年出展したアートフェアとしてACK(国立京都国際会館、2021、2022)、art KYOTO 2023(元離宮二条城、2023)、アートフェア東京(東京国際フォーラム、2023、2025)などがある。その作品は、大英博物館(イギリス)を筆頭に、ヘント市立現代美術館(ベルギー)、愛知県美術館(名古屋)、国立国際美術館(大阪)など、数多くの著名な公共及び民間のコレクションに収蔵されている。

GALLERY TOMO

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

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清水佑季 個展
hidden gem


jump
2025
場面が切り替わって生まれた作品
天使の羽

2025.11.11(火)〜 11.16(日)

KUNST ARZT では、昨年に引き続き、 清水佑季の個展を開催します。
清水佑季は、心象風景をろう染めで染めあげ、 シェイプドキャンバスを支持体として 表現するアーティストです。
絵画とも違い、伝統的な染織とも違う、 強いオリジナリティーを獲得しています。
本展は、3ヶ月の修行生活で出会った人々を 宝石のようなものに見立てる構想です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【展覧会コンセプト・アーティストステートメント】

たくさんの色の組み合わせと 自由な蝋のテクスチャーで その時々の心象風景を表現しています。
この世のどこかにあって欲しい世界を 作品に落とし込むことで、 空想と現実は地続きであると示します。
それは作者自身にとって現世で生きる希望となります。

 

三木梨々花 個展
フカンゼンな魅惑


2025.11.18(火)〜 11.23(日)

KUNST ARZT では、初となる 三木梨々花の個展を開催します。
三木梨々花は、子供の視点に寄り添い、 主に段ボールを素材に表現するアーティストです。
段ボールの軽さを活かし、切り抜いた「子供」絵画を空中や 壁面に配置した大胆なインスタレーションや、 フルート(段ボール内部の波状の芯材)を活かした、 カラフルかつミニマルな絵画を展開しています。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント】

子どもの純粋さと残酷さの矛盾を孕む要素に向き合い、 その仕草を描くことで精神性や個性の表現を試みる。
素材は子どもがよく扱う物を用いる、 あるいはコンセプトごとに変容するなど。
子どもの内?的問題を、親しみやすい雰囲気の作品に 潜在させる手法で多様な解釈や感じ方を可能とさせる。
本展では、作家が身近に接した子ども達の 不器用な様や不可思議な仕草を、独自の視点で表現した ダンボールの平面、立体作品とパステル画を展開する

 

茨木佐知子 個展
シカクのあそび


compilation/cube
2025
42×42×42mm
木片にリキキャン、ジェッソ

2025.12.2(火)〜 12.7(日)

KUNST ARZTでは、14年連続となる 茨木佐知子の個展を開催します。
茨木佐知子は、事の本質をミニマルに、 ユーモラスに表現するアーティストです。
「ジンベエザメ」を描くことからスタートし、 その水槽→水族館(建築) →家や画廊の内部空間や台座、 そして「シカク」そのものにまで切り詰め、 近年は、七宝焼による「シカク」を 核として様々なモチーフを展開しています。
本展では、前回の『耕す/cultivate』から “耕し”生み出したものを “紡いで編み出す”構想です。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント/展覧会コンセプト】

コルク粘土を『耕し』育ててきたものは、 新たなものに生まれ変わろうとしています。
それがどんな形へと進むのかは まだ未知数ですが、 『あそび』を忘れず 『編み出して』いきたいと思います。

 

VvK41
ボイス美術


2025.12.12(金)〜 12.24(水)

「ヨーゼフ・ボイス」をテーマにした展覧会です。
「人間は誰でも芸術家である」という理念のもと、 「社会彫刻」を展開し、死後も絶大な影響力を 維持し続けるヨーゼフ・ボイス。
ただ、ヨーゼフ・ボイスをアートの歴史として捉えるのではなく、 この不安定な社会情勢の中、戦争経験者でもあり、 教育者でもあり、政治・スピリチュアル・環境問題に コミットしたヨーゼフ・ボイスを考察することに意義と 可能性を感じ、企画しました。

井上明彦
大石茉莉香
岡本光博
川口亜子
菊池和晃
北尾博史
白川昌生+居原田遥
髙木彗花

* 展覧会記録冊子作製予定です。
楠本智郎さん(つなぎ美術館学芸員)
によるテキスト掲載予定
A5スクエアサイズ、16ページ。
1200円。予約受付できます。
希望される場合はメールしてください。

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

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*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F〉
梶岡 百江 個展
夕 町 散 歩


2025.11.13(木)~ 11.23(日)
※11/17日(月)休廊

たそがれ時、私は散歩という名の旅にでる。
すくわれるような空の色や、静かに消えてゆく雲、
思いがけない出会いや出来事、心で見て感じたことが、
ゆっくり沁みこんで写生に重なりあってゆく。
小さな頃から変わらない絵を描く喜びがみちてきて
私はそっと画室に持ち帰る。

見慣れた町の身近な風景からひろがる、
どこにでもありそうでここにしかないたったひとつの
大切な見えないものにまでそっとふれているような
心にぽっと火を灯す、灯火のような絵を描けたらと願っています。(梶岡)

 

〈2F〉
ベリー マキコ 個展
めぐる


2025.11.13(木)~ 11.23(日)
※11/17日(月)休廊

⽇々であう天然⾃然や⼈のかがやきからインスピレーションを受けて制作しています。
あっという間にめぐる季節やその中で⽣かされている私たち。
今年は年齢的にも節⽬の年となりました。ひとすじに表現していきたいです。(ベリー)

 

〈1F〉
夛山 祐子 個展
希望的観測


2025.11.25(火)~ 11.30(日)

この夏、アトリエの周りをせっせと草刈りしていた
すると草むらの中から空き缶、ペットボトル、ビニールに高頻度で遭遇する

草むらに落ちた空き缶の写真を家で眺めていたら
息子が何を見ているのかと聞いてきた
「捨てられた空き缶やで」
それを見て息子は「可哀想やなぁ」と言った
そうか、捨てた人への怒りにも勝るこの得体の知れない虚しさは
可哀想な空き缶を哀れむ気持ちだったのか

私は幸せそうな空き缶を描こうと思った
Happyそうな空き缶たちよ 成仏しておくれ(夛山)

 

〈2F〉
髙田 咲惠 日本画展
はざま


2025.11.25(火)~ 11.30(日)

美しい景色に出会えた時、自分の心と現実が一体になるくらい、見入ってしまう。
中でも、本来不変であるはずの〝物〟が空気とまじりあって形を変化させる様に、現実と別世界の狭間を見出す感覚がある。
日光を浴びて輪郭がおぼろげな木々、水面に映るゆらめく物の影。
本来の形が現象・空間と調和し、変化する。
ものが空気に、空気がものに。発生と消失の繰り返し。
私はそこに、生命として通ずるものを感じ、描き続ける。(髙田)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

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川口洋子
「はじめのところ 」


2025.11.1(土) 〜 11.23(日)
13時―19時(最終日は17時迄)
休廊:月・火・水​

久しぶりに生まれ育った街を歩いた時、足がその場所を覚えていると感じました。

近所の公園の好きな場所が、大切な人にとっての遊び場だったこと、不良のたまり場だった時があることを聞き、地層からとれた大昔に生きていた貝たちの粉の下地材を、その場所からの景色を描く下地に塗ることにしました。

久しぶりにスピッツを聞いた時、自分が大切に思うことを作品にする勇気とそれを言葉にするやり方を思い出した気がしました。

子供の頃より成長した道路沿いのツツジにいつも守られていたことを知りました。

2kwギャラリーの2階を思い浮かべた時、公園の少し隠れた場所にしゃがんだ時の感覚に似ているかもしれないと思いました。そして雲の中から光を見ることを想像しました。

こわいと感じてもその場に留まると、別の人が別の捉え方でその場所にいる事を知り、心が軽くなりました。

電車で隣にいる赤ちゃんが言葉のように出しつづけている声は、ほんとうの言葉みたいだと思いました。そんな風に絵を描いてみようと思いました。

川口洋子

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

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川口奈々子 個展
「Hide and Seek」


「かくれんぼ」2022年
油彩、キャンバス、117 x 91 cm

2025.10.28(火)〜 11.16(日)
11:00 ~ 18:00 月曜定休

Gallery G-77では、川口奈々子の新作個展を開催いたします。本展では、大型の油彩作品が発表されます。色彩やモチーフが重なり合い、顔から花や木々が芽吹き、身体は風景へと溶け込み、夢と現実のあいだを漂うようなイメージが広がります。繊細な筆致と柔らかな階調によって描かれる作品は、変容の場を立ち上げ、儚くも美しい瞬間を観る者に示します。

川口奈々子の絵画に登場する「少女」は、孤立した存在としてではなく、しばしば森そのものと重なり合う姿で現れます。顔から花や木々が芽吹き、身体は風景と溶け合い、擬態のうちに人と自然の境界を曖昧にしていく。そのイメージは「かくれんぼ」や「カモフラージュ」といった遊びの構造を秘め、隠れることと現れることが同時に織り込まれています。

制作の出発点には、トレーシングペーパーに重ねられたモチーフがあります。リボンや植物、自然の断片が溶け合い、再配置され、透明性や色、形を繊細に操作しながら、二次元の画面は境界をまたぎ、変容の場となっていきます。顔の中に木やリボンが現れ、身体から木々が芽吹き、画面そのものが像とかすかな幻影のあいだを漂う曖昧な場となるのです。

《Hair River 2》(2017)や《paradise tree》(2021)に見られるように、彼女の作品は明晰さと溶解のあいだにある微妙な均衡を探り続けます。森は決して背景にとどまらず、人と環境、現実と夢を行き来させる装置として働きます。そして、覆い隠されたものは必ず再び顔をのぞかせる――その瞬間、世界の狭間に揺らぐ儚い存在の遊戯が、私たちの目の前に広がっていくのです。

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

艸居

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井口大輔 展
「時間と草枕」


艸居展示

銹変陶銀彩器, 2025
陶土, 酸化金属, 土灰, 籾灰, 銀
H31.1 × W25.0 × D23.6 cm
写真:今村裕司, 画像提供:艸居


艸居アネックス展示

銹変陶銀彩器, 2025
陶土, 酸化金属, 土灰, 籾灰, 銀
H27.4× W41.5 × D28.7 cm
写真: 今村裕司, 画像提供: 艸居

2025.10.30(木)〜 12.11(木)

会場1:艸居
開廊時間:11AM‒6PM 休廊日:日・月
会場2:艸居アネックス
開廊時間:1PM‒6:30PM 休廊日:日・月

小さい頃から錆びた鉄や苔むした岩、発掘された土器など、時間の経過による侵食や堆積を思い 起こさせるようなものや景色に魅力を感じて来ました。それらの思いが私の作りたい作品の元になっていると思います。自分の作り上げた形に、それらの経過を感じさせるような奥行きや深み を表現したいと試みています。見る人に説明のいらないものになればいいと思っています。

― 井口大輔


艸居(京都)では、井口大輔 個展「時間と草枕」を開催いたします。2021年の個展以来4年ぶ り、2度目の開催となる本展では、茶盌6点を含む新作31点を展示いたします。艸居アネックス では、それぞれに表情の異なる《銹変陶銀彩器》5点を不均等な台形型の展示台に展示し、ホワ イトボックスの空間に新しい時間軸と存在性を構築します。

井口は、時間が刻む痕跡に魅了され、そのイメージを陶の造形へと昇華させてきました。自身が 名づけた「銹陶(しゅうとう)」は、籾殻灰を用いた焼成と研磨によって生まれる独特の肌合い を特徴とし、長い年月を経たかのような深みと存在感を湛えています。紐づくりによる柔らかな 曲線と緊張感のある輪郭、そして表面に施された細やかな線が、作品に静謐な奥行きを与えます。

展覧会タイトル「時間と草枕」は、夏目漱石の小説『草枕』(1906 年)に由来しています。 同作では、画家である主人公が都市生活の煩瑣な日常から離れ、「非人情」の境地―俗世的感情 や功利的利害を超越した純粋な美の世界―を希求して山路を旅する姿が描かれます。主人公は 「美とは何か」「人間と自然との関係はいかに構築されるべきか」といった根源的な問いに向き 合いながら、西洋美術と東洋美術の差異をめぐる思索を深めていきます。そこには、漱石自身の 美学や美術観が濃厚に反映されており、井口の制作理念と多くの点で響き合います。

また、山路の風景や温泉宿の情景が詩的に描かれる場面は、日本的自然美を顕現する象徴的な空 間として機能しています。こうした描写は、井口が幼少時代から蓄積してきた自然の中に見出す 田園風景や動植物、古い道具と深く共鳴しています。さらに、漱石が「小説は筋がなくてもよい。 ただ“美しい感じ”が残ればよい」と記した言葉は、井口の「見る人に説明のいらない作品になれ ばよい」という制作理念と重なります。陶という素材に時間の痕跡を刻み込み、内と外をつなぐ 造形を追求する井口の作品は、自然と人間、美と時間の関係を静かに問いかけます。艸居での新 たな挑戦となる本展を、ぜひご高覧いただけますと幸いです。

艸居:京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:11:00AM - 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

艸居アネックス: 京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F Tel: 080-9745-8452 開廊時間:1:00PM - 6:30PM
休廊日: 日・月曜日

京都 蔦屋書店

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<6F アートウォール>

 

福本健一郎 ドローイング展


Fragments of time #16_420×492×30mm(額装込みサイズ)
2023/水彩、紙

2025.11.18(火) ~ 12.8(月)

主催:京都 蔦屋書店

福本健一郎は、2014年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程を修了。東京を拠点に、絵画や木彫、陶芸などを制作しています。風や水のゆらぎ、胞子の漂い、地層や化石の痕跡など、自然の中に沈澱する生命の記憶と、自身の心の揺らぎを重ね合わせながら表現しています。
本展では、ドローイングシリーズ《Fragments of time》を展示します。透けるように揺らめく形や色の重なりは、存在の記憶と、移ろう感情の痕跡となり、静かな光となって漂います。会期中は、オリジナルドローイング付き作品集とZineも合わせて販売します。

<アーティストステートメント>

自然や生き物が、まだ形になる前の名もないかたちに惹かれます。
そこには、何かが生まれる瞬間の気配や、時間の流れの中にある静かな光を感じます。そうした感覚を、自分の中に流れる感情や記憶と重ねながら描いています。

福本健一郎

<5F エキシビションスペース>

 

山脇紘資 個展
「Vacant Land」


《Vacant Land — Thicket》
1,000×803 mm ,Oil on canvas 2025

2025.11.21(金) ~ 12.15(月)

主催:京都 蔦屋書店

山脇紘資(やまわきこうすけ)は東京藝術大学大学院美術研究科を修了後、国内外で活躍するアーティストです。キャンバスいっぱいに動物の顔を描く作品で知られ、流動的な筆致で描かれた毛並み、瞳孔、門や穴といったモチーフを用いながら、目に見えない概念の深みを表現してきました。

「肉眼では捉えられない何かが、モノの内側からふと立ち現れる瞬間がある。
その不可視の領域から新たな概念が生まれるとき、私はそれを『虚』と呼んでいる。
対象と対象のあいだに生じる隙間や、そこに潜む穴のような空間にも、同じ感覚を覚える。
とりわけ、風景の中にありながら、そこに同化することなく佇む存在に強い関心を抱いてきた。
私にとって描く行為は、その『虚』の感覚を鑑賞者に示唆するための試みであり、モチーフは不可視の存在を映し出す焦点でもある。」

本展では、山脇が故郷に帰省した際に馴染みのあった風景が空き地になっていたことを契機として描いた新作を約10点発表します。自身が記憶していたかつての風景、そこに存在していたこと、なくなっても潜んでいるなにか、その先に待つまだ見えない情景が、キャンバスを通して鑑賞者に語りかけます。

<展覧会ステートメント>

「Vacant Land / 空き地」
故郷に帰省した際、近所の家が空き地になっていた。
そこには子供の頃の思い出が沢山あった。
痩せた老夫婦、奇妙な形をしたイチジクの木、よく吠える黒犬、草むらの陰からこちらを見据える白猫。
そんな数々の記憶があったが、家が空き家になってからはいつしか忘れていた。
たまに空き家を目にしても何も感じることはなかった。

しかしある日突然、その家が空き地となって目の前に現れた。
その瞬間、かつての家の姿が物質として存在していた頃よりも、鮮明に蘇った。
目を凝らすとさまざまなモノやコトがひっそりと、その地の奥に潜んでいるのが感じられた。

そこはとても充実した「無地の世界」だった。

静かなその空間を遠い面持ちで眺めていると、
頭の中が次第に騒がしくなり、意識がゆっくりと移動していく気配を感じた。
それは、記憶のある土地から、まだ記憶のない土地へと誘われていく旅のはじまりのような感覚だった。

山脇紘資

<6F ギャラリー>

 

真田将太朗 個展
「FLAT」


2025.11.22(土) ~ 12.9(火)

主催:京都 蔦屋書店

真田将太朗(さなだしょうたろう)は、現実の風景を極限まで抽象化し「新しい風景」の創出をテーマに制作を続けるアーティストです。現在は制作活動を行いながら、東京大学大学院学際情報学府にて、AIとの共創を通じた表現の拡張など、絵画における「創造性」の概念を探求しています。
本展は、京都の風景を抽象化した作品にくわえ、京都の碁盤目状の街並みから着想を得て、「正方形」を意識的に取り入れた作品によって構成されます。これらの新作を通して、絵画が持つ「壁(平面)」としての存在と、現実と虚構、時間と身体を繋ぐ「窓(媒介)」としての役割の二面性を問いかけます。

<アーティストステートメント>

絵画は、壁であると同時に窓でもある。私たちと風景を隔てているかと思えば、すぐに現実と虚構を繋ぎ、時間と身体を媒介する場にもなる。FLATと名付ける空間において、あなたはその絵をどう見つめるか。

真田将太朗

<6F エスカレーター横>

 

小林マキ作品展
「Stroll around Kyoto」


2025.10.31(金) ~ 12.30(火)

京都 蔦屋書店ではオープン当初から小林マキの描いた「Bookwormシリーズ」のポストカードが好評。擬人化された動物が本を読んでいる様子が愛らしく、海外からの旅行者にも選ばれています。「動物の形、骨格、毛並み、すべてが美しい。それらを見ているとシンプルに生命を感じる」と語る小林の新たなシリーズをこのたび本展で初公開します。
「Stroll around Kyoto」では、京都を散歩しながら名所や銘菓を楽しんでいる動物たちの様子を生き生きと描いています。京都らしい店やモチーフは、京都 蔦屋書店のスタッフが推薦した場所や食べ物を参考に制作され、今回小林が取り組んだZINEの中でスケッチやMAPとなり紹介されています。12種類の作品は、すべて原画とジークレープリントにて販売、年の瀬に合わせてカレンダーもご用意しました。

京都市下京区四条通寺町東入ニ丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
Tel: 075-606-4525 営業時間:10:00~20:00 (不定休)

美術館情報

京都市京セラ美術館
本館 南回廊1F

特別展
民藝誕生100年—
京都が紡いだ日常の美
2025.9.13(土)-
12.7(日)



京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ

Hello Kitty展
-わたしが変わると
キティも変わる-
2025.9.25(木)-
12.7(日)


©2025 SANRIO CO.,LTD.
APPROVAL NO.SP660004


京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

薬師川千晴
ノックノック、
境界の扉をノックする。
2025.9.9(火)-
11.16(日)



京都国立近代美術館

没後50年
堂本印象
自在なる創造
2025.10.7(火)-
11.24(月)



セカイノコトワリ
― 私たちの時代の美術
2025.12.20(土)-
2026.3.8(日)



美術館「えき」KYOTO

生誕100年
昭和を生きた画家
牧野邦夫
-その魂の召喚-
2025.10.11(土)–
11.16(日)



京都文化博物館

<4・3階展示室>

特別展
「世界遺産 縄文」
2025.10.4(土)-
11.30(日)



京都国立博物館

特別展
宋元仏画
─蒼海(うみ)を
越えたほとけたち
2025.9.20(土)–
11.16(日)



特別展
北野天神
2026.4.18(土)–
6.14(日)



細見美術館

妃たちの
オーダーメイド
セーヴル
フランス宮廷の磁器

マダム・ポンパドゥール、
マリー=アントワネット、
マリー=ルイーズ
の愛した名窯-
2025.10.25(土)-
2026.2.1(日)