◆展覧会についての最新情報は、各ギャラリーのサイトでご確認ください。

イムラアートギャラリー京都 imura art gallery Kyoto

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永島千裕 個展
「溢れるメリーゴーランド」


2025.3.29 (土) ~ 4.19 (土)

この度イムラアートギャラリーは、7年ぶりとなる永島千裕による個展「溢れるメリーゴーランド」を開催いたします。

永島は、静岡県で生まれ、嵯峨美術大学造形学科油絵分野を卒業。2007年には「トーキョーワンダーウォール 2007」で大賞を受賞、2008年には「WONDER SEEDS 2008」に入選。現在は、海外のアートフェアにも出展する など幅広い分野で活躍しています。日常の中で触れる映画や音楽、食べ物や本の一節など、さまざまなものからインスピレーションを得て、アクリル絵具でモチーフを描いています。

本展では、新作を中心に、これまでのキャリアを通して表現してきたテーマや技法の進化を感じることができる作品が展示されます。「溢れるメリーゴーランド」というタイトルからは、楽しい思い出やノスタルジックな感情、また、作品の視覚的な美しさや感情の深みを感じ取ることができます。細密な描写によって作品に込められた深い思索と、生み出された美しいビジュアルが融合した世界観を楽しみながら、ほんの些細なことでも、それがどれだけ大切で意味を持つものなのかを感じていただければと思います。どうぞ、作品に込められたエモーショナルな 世界を、存分にご堪能ください。


―作家ステイトメント

ただ服を着たり
ただご飯を食べたり
ただ電車に乗ったり
ただ仕事をしたり
ただ眠ったり
するにはいつもなにか余分
着るならラッキーカラーの服がいいし、
食べるなら好物がいいし、
乗るなら空いている電車がいいし、
絵を描くなら毎回違う絵を描きたいし、
寝るなら寝心地の良いお布団で寝たいし、 畏れ多くもそんなことをささやかと思える安全と平和が自分以外のものにもあれば良いと祈ってる
いつもぼくらはどこか過剰で
ただ絵を描くことなんて出来ないのかもしれない
ただ回っていられる美しく楽しいメリーゴーランドも溢れて
回転が止まったらずっとは乗っていられない
完璧な幸福を見送って、ぼくらはまた別の場所で回り始める
その時はいつか溢れるメリーゴーランドでただただ回っていられますように

京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31 Tel:075-761-7372 休廊日:日・月曜日&祝日

同時代ギャラリー DOHJIDAI GALLERY of ART

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〈ギャラリー〉

 

Transcendence: Our Shared Humanity
–超越:私たちの共有する人間性–


2025.4.15(火)〜 4.27(日)

この展覧会は、アメリカで最も権威のある写真美術館の一つであるサンディエゴ写真美術館の名誉館長、デボラ・クロチコ氏がキュレーションを担当しています。彼女は「超越—私たちの共有する人間性」というテーマを選びました。

南アフリカの司祭であり人権活動家であったデズモンド・ツツ氏は、アパルトヘイトに対する非暴力の抵抗運動を率い、1984年にノーベル平和賞を受賞しました。彼は「私の人間性はあなたの人間性と結びついている。私たちは共にあってこそ人間になれる」と述べています。本展は、この言葉を指針とし、精神的・感情的に響く作品を通じて、私たちが共有する人間性への深い理解を促すことを目指しています。

参加アーティストたちは、多様なテーマを探求しながら、コンセプチュアルな視点と感情的なビジョン、そして卓越した技術を融合させています。彼らの作品は物理的な世界を超え、私たちの共通する人間の本質を映し出す深遠な体験を提供します。

展覧会は「自然」「旅」「人間性」「本質/抽象」の四つのセクションで構成されており、鑑賞者に日常を超えた視点から世界を探求する機会を提供します。これらの写真作品を通じて、私たちは内なる平和と超越へと導かれるでしょう。

出展者・写真家/Artists
佐々木一弘 佐々木浩二 佐藤裕保 佐藤素子 千代田路子 蓮見浩明
村田光司 吉田繁 Sue Park Shelley Hodes 蟹江節子(映像作家)

 

京都芸術大学大学院 写真・映像領域 修了生展
京都芸術大学大学院(通信教育)
写真・映像領域。第1期生 有志13名


2025.4.29(火)〜 5.4(日)

コロナ禍を経て新設された京都芸術大学大学院(通信教育)写真・映像領域。その第1期生の有志13名による修了制作展を開催する。本展は、各自が個人の作家として追求した表現を通じて、現代社会の多様な側面を鮮やかに浮かび上がらせるものである。

「人間の生によって変容する風景」「ポートレートが生み出す新たな関係性」「写真・映像装置を介した知覚の拡張」という3つのテーマの連関を提示し、社会と個人をつなぐ問題意識を紡ぎ出す。ともに学び、切磋琢磨しながら完成させた作品群は、2年間の学びの集大成であると同時に、現代社会へと新たな問いを投げかける挑戦である。 多彩な視点と鋭い洞察が凝縮された本展は、私たちの時代を捉える新たな光となるだろう。

ー美術家・京都芸術大学大学院 写真・映像領域准教授 菅 実花

 

Don’t believe the photos! 写真を信じるな!
島田達彦


2025.5.13(火)〜 5.18(日)

作品の向こう側にあるメッセージが見えてますか?
画像で溢れる中伝わってますか?
写真てなんだろう?
見えてますか?


写真とは何か?
ただの映像ではない。
それは思いを形にし、世界に問いかける手段だ。
アナログが「真実」で、デジタルが「虚構」?
その違いに意味はあるのか?
今、AIの時代が本当の表現を試している。

自分の内にあるメッセージを「画像」として解き放つ。
見る人の心に影響を与えるために、写真を使っている。
感じさせ、考えさせる。
それが私の表現の目的だ。

作品の背後に、作者の姿は見えるか?
その意図が伝わっているだろうか?
ただの「画像」ではなく、
その先にある「何か」を感じ取ってもらいたい。

表現がどこまで届き、どこから始まるのか、
その過程こそが重要だと私は思う。

京都市中京区三条御幸町南東角 1928ビル2階 Tel:075-256-6155 休廊日:月曜日

エンアーツ eN arts

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showcase #13
“ひとの気配 – Human signs”
curated by minoru shimizu


宮下五郎


山崎雄策

2025.4.11(金)〜 5.11(日)
開廊日時:上記会期中の金・土・日 12:00-18:00
月〜木曜日はアポイントメントを承ります。
KG + 2025参加

eN arts では、清水穣氏のキュレーションによります、写真・映像に特化したグループ展 “showcase #13” を開催いたします。写真及び映像の現代若手作家のショーケースとなるこの展覧会は2012年からスタートし、シリーズ13回目を迎えます。 清水氏が「showcase#13 “ひとの気配 – human signs”」のために選出したのは、2014年キヤノン写真新世紀で優秀賞を受賞した山崎雄策と、2017年キヤノン写真新世紀佳作賞受賞の宮下五郎。

「ひとの気配」とは、視覚では確認できないけれど、微小な音やその遮り、空気の動きなどで感じられるもの。見ることのできない「ひとの気配」を、見なければならない写真作品でどのように表現してくれるのでしょう。どうぞお楽しみに。

eN arts

eN artsは 本年もKYOTOGRAPHIE2025に KG+ for Collectorsとして参加致します。


ひとの気配

ここ数年来、showcaseは、初登場の新人と、過去に登場した作家の2人展という形を取っている。二人の作家を選ぶ際に、とくに共通のコンセプトとか相性というものは考えない。むしろ二人の写真家を組み合わせることで、コンセプトはあとからあぶり出されてくる。あるコンセプトをいかに表現するかにおいて、二人の写真家が相補的であることもあれば、対照的であることもある。

宮下五郎は、2017年にキヤノン写真新世紀佳作(清水穣選)を受賞して注目された。今回は、「目は口ほどにものを言い」とか「ふと視線を感じる」とか言うときの「眼」であり、宮下はそれを文字通り被写体とする。撮影された眼はカメラ目線ではなく、その瞳が開いているので、暗がりにいる被写体の眼にピンポイントで光を当てて撮影していることがわかる。つまり、これらは口ほどに物を言う眼、視線を向ける眼を、観察した写真なのである。機械としての写真の力が存分に発揮される。無言の雄弁さを奪われ、何を見ているわけでもない、ただの即物的な眼が並んでいる。

山崎雄策は、ちょうど10年前、2015年のshowcase #4にも登場してもらった。2013年キヤノン写真新世紀佳作(清水穣選)で注目され、翌年には優秀賞を獲得した。今回は、デビュー作「さい子」シリーズのリニューアル&リミックスバージョンとのことである。ヒッチコック監督の「サイコ」に掛けた「さい子」は、写真が好んで生み出す、目に見えないもの(とりわけ人間)の気配、痕跡、視線を主題として、前兆と痕跡、未来と過去をめぐるそのレトリックを、写真によって問い続けている。

2025年4月、清水 穣

EYES TALK

眼は、嘘が苦手だ。
眼は、無防備で、正直だ。
他人に自分の内面を悟られたくないという心理とは逆に、
どれほど隠そうとしても、眼は、人間の心をありのままに映し出す。
喜び、悲しみ、怒り、驚き。
愛、憎しみ、妬み。
孤独、嫌悪、困惑、焦燥、恐怖。
人間のありとあらゆる複雑な感情は、二つの眼球に精密に映し出される。

写真を撮るという行為が、人間の本質を炙り出すものだとしたら、
究極のポートレートとは、人間の眼である。
人間を人間たらしめる究極の臓器。それは、むきだしの眼をおいて他にない。
年齢・ジェンダー・職業・障害・国籍。
そのすべての境界を乗り越えて、写真家、宮下五郎が、
多様な108人の眼のポートレート撮影に挑んだ。

宮下五郎

女子高生が77日ぶり発見、「神隠し」騒動の謎深まる

「2013年7月11日から行方不明だった千葉県茂原市の女子高生(17)が、9月26日に自宅近くの神社の社で発見された。衰弱し体重は半分に減少、軽い脱水症状を示すが怪我はなし。本人は社に隠れ、畑の野菜を食べていたと説明。しかし、過酷な環境で77日間過ごせたのか、発見の遅れや証言に矛盾があることから、ネットでは「神隠し」の噂が広まり、真相は未だ解明されていない。」

山崎雄策

京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側 Tel:075-525-2355 開廊日:金・土・日曜日

ギャラリー16 galerie16

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櫻井 類 個展
変わりゆくさまをずっと見せてよ


2025.4.15(火)〜 4.26(土)

 

KG+
ミトコンドリア・イブの末裔たち
三宅章介


2025.4.29(火)〜 5.10(土)

現代人の遺伝子の起源を遡れば、16万年前、アフリカにいた一人の女性、ミトコンドリア・イブにたどりつくと言われている。それから6,500世代にわたる交配を繰りかえすなかで、私の遺伝子が形成されている。「ディープ・ラーニング」になぞらえるなら、入力層のミトコンドリア・イブの23,000の遺伝パラメータが6,500の中間層を経由して、出力層で私のアイデンティを生成したと言えるだろうか。かつての私の証明写真を元に、画像生成AIにより、100人のイブと100人のアダムを生成してみた。彼女、彼らもまた、ミトコンドリア・イブの末裔にほかならない。
これらは現状において「写真」とは認められないかもしれないが、写真がその意味と機能を拡張してきた歴史の延長線上にあることはまちがいない。

京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町394 戸川ビル3階 Tel:075-751-9238 休廊日:月曜日

ヴォイス・ギャラリー MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w

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西村勇人
"Mounds 2024-25"


塚穴1号墳(長野県飯田市)

2025.4.12(土)~ 4.27(日) 13~19時
休廊日:4.14(月)15(火)21(月)22(火)

このシリーズでは、現代人の暮らしの傍らで、それとは無関係に存在しつつ景色のなかで交ざり合う古墳に着目して、歳月の積層の上に生きる人間のありようを現出させることを試みる。古墳は十数世紀前に権力者の眠る墓として象徴性も持ちつつ築造されたが、現在に至る過程で尊厳を保持されないかたちで毀損され、または都市のうちに埋もれ静安を保てなくなっているものが少なくない。ごく近年に文化財としての価値が認識され保護・保全の対象となってきたが、すでに進んだ都市化のために家屋・公共施設や公共インフラなどとの間に緩衝もなく墳丘が残る景観は、時間も意識も大きく隔たる人間の営みが隣り合う奇異な相をなしている。(西村勇人)

1977年島根県生まれ。科学の研究現場および科学そのものから着想した写真作品のほか、人の営みの痕跡の残る風景に着目して撮影を進めている。
*作品集「Mounds」 電子版・紙版同時刊行/2025年4月12日予定(発行=ヴォイスギャラリー/デザイン・制作=クラフティヴ電子出版株式会社)


*常設部では、10数人のアーティストの絵画・写真・彫刻等をご紹介します。

<出版物>
ギャラリーの活動を概観していただくシリーズを発行しました。
電子版とペーパーバック(ご注文ごとに紙の本として印刷し製本)版があります。
クラフティヴ電子出版株式会社より出版。

vol.1「裏側を通る風: ドローイング日記2021-2022」(著:坂本優子+松尾惠、デザイン:谷浩志)

vol.2「円景を眺める」(著:日下部一司+松尾惠、デザイン:谷浩志)

2025年にも、ギャラリー+アーティストの本を引き続き刊行いたします。

京都市下京区筋屋町147-1 Tel:075-341-0222 営業時間:13時~19時 休廊日:HPにてご確認ください。

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

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SPECIAL EXHIBITIONS
スキマをひらく
乾久美子 小山田徹
田中功起 副産物産店


Koki Tanaka, Provisional Studies:
Workshop #7 How to Live Together
and Sharing the Unknown, 2017.


乾久美子|ねれる公共/横浜美術館
(撮影:川又修平)


副産物産店 ACKキッズプログラム


小山田徹「いま、バリアとはなにか」
展示風景(せんだいメディアテーク、2010)

2025.5.3(土)〜 6.22(日)
休館日:月曜日
5.5(月・祝)は開館、翌平日の5.7(水)を休館

主催:京都市立芸術大学
企画:藤田瑞穂(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
チーフキュレーター/プログラムディレクター)

世界のあちこちで分断と対立が深刻化し、先行きが不透明な時代にわたしたちは生きています。そうしたなかで、多様な背景をもち、考え方もそれぞれに異なる人々が歩み寄り、共に生きていくためにはどうすればよいのでしょうか。コロナ禍に起きたさまざまな変化は、社会の効率化を加速させました。しかし、過剰な効率主義は、人と人との関係性を少しずつ、希薄にしてしまいます。共に生きることを目指すためには、まず、場を共にすることからはじめなければなりません。丁寧に時間をかけ、対話を重ねておたがいを知ろうとし、学び合い、認め合うことの大切さを、いま、あらためて考える必要があります。

本企画では、人々が時間と場所を共にし、対話を重ねることによって広がる可能性について、4組の作品や実践を通して考察します。田中功起は、「共に生きるとは何か」というテーマのもと、人々の協働や共同体のあり方を問い直す活動を長年続けてきました。本企画では、2017年にミュンスター彫刻プロジェクトで発表された《Provisional Studies: Workshop #7 How To Live Together, And Sharing The Unknown》(一時的なスタディ︰ワークショップ7 未知なものを共有し、いかにしてともに生きるか)をとりあげます。この作品は、さまざまな文化的背景を持った近隣住民8名が参加した9日間のワークショップの記録映像を中心に構成されています。このワークショップは、ロラン・バルトがコレージュ・ド・フランスで行った講義のノート『いかにしてともに生きるか』に着想を得たものです。バルトは、ギリシアのアトス山にある修道院の、同じ空間にありながら、それぞれのリズムを保った生活形態「イディオリトミー(固有のリズム)」に共生の可能性を見出していました。ワークショップの参加者たちは、数名のファシリテーターとの協働による複数のプログラムに取り組み、議論を交わします。合計で4時間半を超える記録映像からは、むしろ共に生きることの難しさが感じられるかもしれません。はたして本当に共に生きることはできるのか、映像の前に立つ鑑賞者は、あらためてその問いに向き合うことになるでしょう。

京都市立芸術大学及び京都市立美術工芸高校移転整備工事乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同企業体(以下、京芸設計JV)の代表である建築家の乾久美子は、日常で、また仕事先で出会った、誰がつくったのかわからないけれど、生き生きとして、人の温もりを感じることのできるささやかな場所を「小さな風景」と呼び、協力者と共に膨大な数の記録を撮りためてきました。本企画で紹介するこれらの「小さな風景」に、乾はコモンズ的なもの、場所への愛着、居心地、共有の感覚の源泉などを見出し、日々の学びとしています。なかには、あるコモンズのなかに、また別のコモンズが生まれ、共存しているものもあります。このように一時的に発生するコモンズは、コモニングと呼ばれます。こうした日常的でローカルなコモンズ/コモニングの事例を蓄積しながら活動してきた乾は、建築をつくるのではなく「おく」と表現しています。その言葉には、建築とは空間を与えるものではなく、その場に生きる人々と相互に関係し、その人々が生み出す「小さな風景」と共にあるものと考える建築家の思考が表れています。

矢津吉隆、山田毅による「副産物産店」は、京芸設計JVの機運醸成・リサーチチームの活動から生まれたアーティストユニットです。制作の現場から出る廃材など、いずれは捨てられる運命にあったモノたちを「副産物」と呼び、それらを回収・活用・販売する活動を行ってきました。また、資材の循環を目指した「芸術資源循環センター」、副産物の楽器を用いて演奏を行う「副産物楽団ゾンビーズ」など、基本の活動から派生した複数のプロジェクトを手がけています。本企画では、乾の「小さな風景」と、元の素材の周囲にかつてあったもの、あるいは用途に着目しながら新たな風景を作ろうとする副産物産店の作品が重なり合うコラボレーションのゾーンを入り口として、「副産物」の循環と活用をさまざまな角度から体験できる場を展開します。

昨年度まで本学美術学部彫刻専攻の教員を務め、この4月に本学理事長兼学長に就任した小山田徹は、数十年にわたって、「共有空間の獲得」をテーマとした活動を続けてきました。ホームパーティーが外に広がっていったかのような、人々がゆるやかに集う「カフェ」、小さな焚き火のもとに集う場などの共有空間は、対話や議論が生まれ、育まれていく場所となっています。それらはすべて与えられた空間ではなく、ばらばらな人々が集い、それぞれ固有のリズムを保ちながら、自分たちがつくったものとして愛する空間です。これらもまた、イディオリトミックな共生の場ということができるでしょう。本企画では、約15年間ものあいだ、小山田が作り続けてきた共有空間で、その役割を変化させながら寄り添ってきた小屋状の立体作品《浮遊博物館》を、新キャンパスに「おく」ところからはじめます。実はこの作品は、ようやくその使命を全うして「副産物」になりかけていたところを修復され、復活したものです。そして展覧会会期中の週末には、誰もにひらかれ、それぞれが思い思いに過ごすことによって育つ共有空間「ウィークエンドカフェ」が出現します。

社会の隙間をひらくことで共有空間が生まれ、その場に集ってきた人々によって社会とのつながりができていきます。そして一時的にでも共にいることで、学び合い、認め合い、委ね合う関係性が築かれていくのです。共に生きることの可能性や未来を、本当の意味でひらいていくのは、そうして生まれてくる共有空間を、人々が愛をもって「小さな風景」に育てていくことの積み重ねなのかもしれません。

京都市下京区下之町57-1 京都市立芸術大学 C棟1F Tel:075-585-2010  休廊日:月曜日

MORI YU GALLERY 京都

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浦郷仁子 個展
「RECONNECTION」


2025.4.19(土)~ 5.18(日)
休廊日:月・火・祝日

MORI YU GALLERYは4月19日(土) - 5月18日(日)まで、浦郷仁子個展「RECONNECTION」を開催いたします。
どうぞご高覧下さい。

絵画とは無意識への窓であり、絵画を成立させるためには偶然、直感が必要だと語る浦郷。
例えば、アンフォルメルの代表的な画家のひとりジョルジュ・マチウは偶然を肯定する。マチウによって描かれたもの。それをフォルムと言おう。マチウの絵画におけるフォルムは、作品に先行して存在するなにものにも還元されることはない。それは、絵画の外部にある事物の写しとしての「像」ではない。マチウは、シュルレアリスムの自動筆記と同じく、「偶然」を取り入れながら、フォルムの背後に何ごとかを連想させてしまうシュルレアリスム絵画とは異なって、「何ものの表象(représentation)でもないフォルム」を描いた。これに対して浦郷はどうだろう。浦郷の描く絵画には完全なる抽象的で、植物のようなフォルムが描かれるのだが、時として浦郷の描くそれは、日常に隠れたフォルムと、なにものの表象でもないフォルムとの組合せなのだ。RECONNECTIONというタイトルは、無意識の窓から外にあるものを浦郷が、引き寄せ、それらをつなぎあわせ(RECONNECTION)ることを意味しているのかもしれない。キャンバス上でそれぞれのフォルムが音楽やリズムと共に空間で関係し合い、共鳴し、表象以上のネオ・フォルムとして生成され、我々鑑賞者に新たなる世界観と音楽のジャングルに誘い込まれ、時間の経過をも我々に感じさせてくれる。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19 Tel:075-950-5230 休廊日:月曜日・火曜日・祝日

ギャラリー ヒルゲート  Gallery Hillgate

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〈1F・2F〉
坂爪厚生 銅版画(メゾチント)展
-デジタル社会の流れに対峙して-

2025.4.22 (火) ~ 4.27 (日)

銅版画の制作を始めてから今日まで、自分を取り巻く状況をテーマにして作品を制作して来ました。
今回は「-デジタル化社会の流れに対峙して-」として、1981~1984年 ジグソーパズルシリーズ、2007~2014年 情報ネットシリーズ、2018~2025年 反デジタル絵・不確定性シリーズを展示します。
物質が素粒子まで分解され、デジタル化された大量な情報があふれている現代社会。『事実』か『フェイク』か、『ある』のか『ない』のか、実にあやふやで不安な気分にさせられます。
このような状況をふまえて、これまでの仕事を振り返ってみようと思っています。

 

〈1F〉
馬淵 哲 展(新制作協会会員)
(ミクストメディア)

2025.4.29 (火) ~ 5.4 (日)

 

〈2F〉
Maco(藪田 正弘)作品展
「原発 : 時を超える風景 vol.2」
(KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
連携イベント「KG+」 参加プログラム)

2025.4.29 (火) ~ 5.11 (日)

本展は日本国内に存在する原発の姿を“風景”として捉え、古典写真技法によって表現した写真展です。
一人の人が持つ時間はせいぜい100年前後。それに対し原発はそれが生み出した放射性廃棄物を安全に保管するために、1万年単位にわたる人の管理を必要とします。
この時間軸の長さの非対称への思いを180年あまり前に発明された古典写真技法、ヴァンダイク・ブラウン・プリントによる画像に託しました。

 

〈1F〉
奥田輝芳 個展
neutral vol.4(ミクストメディア)

2025.5.6 (火) ~ 5.11 (日)

 

〈奥庭空間〉
菊地伸治 展 時空の旅人
(彫刻) (国画会会員・日本美術家連盟会員)

2025.1.13 (月・祝) ~ 6.15 (日)

神の法則を知ろうとする人類の営みはいつしか限界を忘れ、畏れることを忘れた。
石の前で瞑想する。

京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町535番地 Tel:075-231-3702 休廊日:月曜日

京都芸術センター Kyoto Art Center

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<ギャラリー南・北ほか>

 

京都芸術センター開設25周年記念展
「そのへんにあるもの」


2025.4.12(土)〜 6.8(日)
休館:4.23(水)、5.27(火)・28(水)

出品作家:赤瀬川原平 岡田真由美 伊達伸明
     田中功起 寺岡波瑠 葭村太一
主催:京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
ギャラリー南「京トマソン マラソン!」企画:
  龍谷大学カルドネルゼミ
「そのへんにあるもの」企画アドバイザー:
  平芳幸浩(京都工芸繊維大学教員)
特別協力:トマソン観測センター、路上観察学会[ROJO]
     赤瀬川尚子
共同制作:KYOTOGRAPHIE京都国際写真際

京都芸術センターでは2025年4月12日(土)から6月8日(日)まで、開設25周年記念展『そのへんにあるもの』を開催します。

ギャラリー南の「京トマソン マラソン!」(KyOtOmAsOn MArAthOn!)展は、「超芸術トマソン」の概念を学び、体験しながら探究する参加型の展覧会です。「超芸術トマソン」とは、赤瀬川原平 (1937-2014) が提唱した「不動産に付着し、美しく保存されている無用の長物」です。トマソンは、芸術作品と同じく、あるいはそれ以上に、無用なものであるに関わらず、建築物に付着し意図的に保存されているかのように見えます。作者が存在しないにもかかわらず、それは見る者にとって芸術作品のように映ります。本展では、展示資料、写真、ワークショップ、朗読会、「トマソン公開報告会」 などの参加型イベントを通じて、観察の視点を養う機会を提供します。街を観察する楽しみを共有することが、本展の目的です。
一方、ギャラリー北や館内各所では、「トマソン」を見出した赤瀬川原平と似た視点を持つと思われるアーティスト5名の作品を展覧します。映像、彫刻、あるいは考現学的な調査資料のような多彩な作品は、そのへんにある風景を新たな視点で楽しむ方法を示してくれるでしょう。
遠くにある高尚なものではなく、身近にあるささやかなものへ―。こうした視点の転換が、アートワールドにおいて繰り返されてきたことは承知しています。しかし、25周年という節目を迎えた今、改めて私たちは身近な風景を見つめ直したいと考えています。
どうぞ気軽にこの展覧会をお楽しみください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 Tel:075-213-1000

GALLERY TOMO

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Permanent exhibition

誠に勝手ながら現在はアポイントオンリーの営業とさせていただいております。

作家:
近藤大祐、篠原猛史、こうす系、石原 孟、杉谷一考、
藤田 薫、町田藻映子、山本真也、宮岡貴泉、吉田延泰、
家山美祈

京都市中京区寺町通丸太町東入る南側下御霊前町633 青山ビル1F Tel:075-585-4160 休廊日:月・火曜日

KUNST ARZT

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下村悠天 個展
PORTAL


# #30
2024
パネルにアクリル
1875×2075×550mm

2025.4.19(土)〜 4.27(日)

KUNST ARZTでは、2年振り2度目となる 下村悠天の個展を開催します。
下村悠天は、二次元のキャラクターへの関心、欲望から、 モニターに囲まれた現代の絵画を生み出すアーティストです。
モニター上のキャラクターに触れたいという情動が 次元を超えて映し出されたRe-touchシリーズ、 風船に描いたキャラクターが萎むことで3次元を 内包する肖像画の#シリーズなど、 エフェメラルなモニター上の世界を 独特の感性で絵画に落とし込んでいます。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント】

私はSNSやデジタルデバイスを媒介することで変質してゆく情報やイメージの関心を起点に、物質と非物質の関係性に着目し制作しています。例えば、タッチパネルやVRゴーグルといったデジタルデバイスを通して見るキャラクターに対するフェティッシュから生まれた《Re-touch》シリーズは、ディスプレイの「向こう側」に存在するキャラクターに触れ、相互的な関係を持とうとする欲望が露わになっています。その中で、触れる部位や触れ方(速度、圧力)、絵具の状態(色、粘度、温度)によって、皮膚を伝わって受け取る情報は変化し、そこから湧き上がる感情も変わってきます。他のシリーズに関しても、一貫してネットワークの向こう側のスケールフリーな空間、あるいはコミュニケーション空間への欲望に駆動されながら、その反動として様々な手法で作品にあらわれています。

 

三宅佑紀 個展
左右のレンズ


左右のレンズ#03
2025
ケント紙にパステル,パネル
530×455×25mm

2025.4.29(火)〜 5.4(日)

KUNST ARZT では、2年ぶり6度目となる、 三宅佑紀の個展を開催します。
三宅佑紀は、記憶を元に描き、 その不確かさも含めて表現するアーティストです。
独自の見せ方として定着してきた、 厳選した紙に独特の淡いパステルで 描写した床置き絵画は、鑑賞者、絵画、光源の 位置や角度といった関係が整った時にだけ イメージが出現します。
本展では、「左右のレンズ」と題し、 これまで見えていたのにスルーしてきてしまった、 視野に映り込んでいた眼鏡フレームにも対峙し、 「見ること」を考察します。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティスト・ステートメント】

あまりにも長い時間が過ぎてしまうと、 記憶というものはどれだけ大切にしまっておいても、 そのままを留めておくことは難しい。
ちょっとずつ失いながら、同時に 日々少しずつ補って積み重ねていく。
今、頭の中に浮かぶ景色は、 そうしてできあがったものかもしれない。
記憶が自分のなかでどのように 存在しているのかということに興味を持ち、 油絵の具やパステルを用いて個人の記憶や それにまつわる感覚を他者と 共有できる方法を探っている。

 

上田なごみ 個展
ambivalent


かごめかごめ
2024
キャンバスに油彩
W3880×H2590mm

2025.5.6(火)〜 5.11(日)

KUNST ARZTでは、初となる 上田なごみの個展を開催します。
上田なごみは、脆さと美しさを内包する 白昼夢のような絵画を描くアーティストです。
可憐な白いドレスの少女たちが輪になり、 仲間とそれ以外の線引きを暗示させるような、 横幅4m近くの大作「かごめかごめ(2024)」、 中絶の是非を考察する「regain(2024)」、 女性性、宗教、倫理・・・
絵画はアーティストの思考をうつしだしています。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【展覧会コンセプト/アーティスト・ステートメント】

私は、日常の中で生じる相反する存在や、 それに伴う感情をテーマに制作している。
平穏な日常に忍び込む恐怖と緊張、 集団の中で感じる安堵と孤独、 完璧を求める欲望と、 どうしようもない現実の狭間に生じる淡い期待と絶望。
それらはまるで、光に落ちる影のように、 決して切り離せないものである。
私は、このアンビバレントな感情が 交錯する世界を描くことで、 自分自身の心の狭間を見つめようとしている。
それは同時に、人間にとって普遍的な問いとして、 描き続けるものでもある。

 

赤坂侑花 個展
はなしたいこと


2025.5.17(土)〜 5.25(日)

KUNST ARZT では、2年振り、5度目となる 赤坂侑花の個展を開催します。
赤坂侑花は、自身の経験を元に、 ピュアでカラフル、かつメランコリックな イメージを油彩と立体表現するアーティストです。
初期は、子ども時代の楽しかった記憶を 制作動機としていましたが、近年は、 愛猫の死などの経験を経て、 まさに「今」感じる幸せを表現しています。
展示は絵画をベースに、立体化させた 絵画世界の住人を空間に配した 立体曼荼羅のような独特のインスタレーションです。

(KUNST ARZT 岡本光博)

【アーティストステートメント】

6年間通った小学校はもうすぐ廃校になります。
鬼ごっこをして遊んだ森は立ち入り禁止に。
公園の遊具は老朽化ですべて撤去されてしまいました。
一緒に遊んだ友達も今は遠くに、
自転車でぐんぐん走り回れるエネルギーもどこかへ。

単純で無邪気な明るい時代でした。
過ぎ去った時間は今でも私の中に存在しています。
それはとても心地のいい場所となって私を守ってくれます。

京都市東山区夷町155-7 2F Tel:090-9697-3786 休廊日:月曜日

ギャラリー恵風  Gallery Keifu

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*今後周囲の状況を鑑み、変更することもございますので、ご来場の際はホームページやFacebookでご確認くださいませ。

 

〈1F+2F〉
恵風 春の版まつり 展


2025.4.24(木)~ 5.4(日)
※ 4.28(月)休廊

この度「恵風春の版まつり展」を開催いたします。
関西のみならず各地より次代を担う才能あふれる作家たち22名が大集合します。
版種も様々、新しい版表現を模索するそれぞれの作家の作品から版画の奥深さ、面白さを再発見していただけましたら幸いです。ご来場を心よりお待ちしております。(野村)

京都市左京区聖護院山王町21-3 TEL:075-771-1011 休廊日:月曜日

2kw gallery

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衣 真一郎 ・ 福田絵理 ・ 松田啓佑
3


福田絵理


松田啓佑

2025.4.5(土) 〜 4.27(日)
休廊:月・火・水​
13時―19時(最終日は17時終了)

滋賀県大津市音羽台3-29-1 TEL:090-5241-8096 休廊日:月・火・水曜日

Gallery G-77

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KG+
アンナ・ハヤト と スラヴァ・ピルスキー
「Postbotanica」


2025.4.12(土)〜 4.27(日)
11:00~19:00

ギャラリー G-77 は、KG+ (Kyotographie 2025) の一環として、イスラエル人写真家アンナ・ハヤットとスラヴァ・ピルスキーによる展覧会「Postbotanica」を開催いたします。

この展覧会は、大判ポラロイド写真を通じて、乾燥した植物の形をテーマに、自然との関係を再定義します。ヴィンテージポラロイドフィルムの独特な美学を取り入れた作品は、質感、不完全さ、変容に焦点を当て、花のイメージに新しい視点を提供します。
被写体の触覚的な本質が鮮明に浮かび上がり、ひび割れ、折り目、腐敗が興味の対象となります。鋭いとげからしおれた花びらまでのこれらの物理的特性は、象徴的または感傷的な連想ではなく、その物質的存在と向き合うことを観客に促します。
自然は、ロマン化も理想化もされず、独立した力として提示されます。本来の環境から離され、スタジオで配置されたこれらの断片化された形は、ポストヒューマニズム的な視点を反映し、美しさや永続性に対する人間中心主義的な理想に挑戦します。これらの植物は自律的で文脈から切り離されており、人間と非人間的世界との関係を再考するよう観客に働きかけます。

乾燥した植物は、生命力や喪失の象徴としての花という伝統的な概念を覆します。ここでは、腐敗が回復力と変容の証として称賛されます。大判ポラロイドフィルムはこれらのテーマを強調し、その独特の質感と色調のグラデーションは被写体の一時的な美しさと並行します。

Postbotanicaは、自然の自律性を称賛し、無常と変容の中に美を見出すよう観客を招待します。

京都市中京区中之町73-3 Tel:090-9419-2326 休廊日:月・火曜日

艸居

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<艸居>

 

道川省三 & トレイ・トレイハン:山の音
2025年大阪・関西万博のアメリカパビリオンを設計した建築家、 トレイ・トレイハンによるコラボレーション展


トレイ・トレイハン 展覧会のスケッチ
2025
提供:トレイハン・アーキテクツ


道川省三, Volcano Sculptural Form, 2025
陶, H43.5 × W15 × D15 cm
写真: 今村裕司
画像提供: 艸居

2025.4.26(土)〜 6.11(水)

道川省三の作品は、土と石のライフサイクルについて深く美しく私たちに教えてくれます。彼は火山地帯の北海道で生まれ、岩が形成される場所で育ち、猿投山での日々の散策で地元の石を感じ取り、集め、土に優しさとエネルギーを込め、手で形作る。まるで大地の使者のようです。

展示会を企画するにあたり、私たちは自然を展示室に招き入れることで彼の作品とその歩みを映し出そうと考えました。時が経つにつれて、巨石は石となり、石は小石へと砕け、やがて小石は粘土の粒子へと分解されます。これらの作品は、本質的に石の原形を尊重し、敬意を込めた彫刻作品なのです。
ートレイ・トレイハン(トレイハン・アーキテクツの創業者CEO)


艸居(古門前)にて、陶芸家、道川省三と建築家、トレイ・トレイハンによるコラボレーション展「山の音」を開催致します。展示では、道川の最新作の陶芸作品29点と、トレイハンによって配置される自然石11点を展示いたします。本展は、芸術と建築において、二者が共通して根源的な要素とする、造形、自然、空間、素材、環境など観点から創造性と革新に満ちた対話を重ね構築されたものです。それは「山の音」のように、山中の静けさの中で、二者の美意識が呼応し、作品と石が対話する形で具現化されています。

道川の作品は螺旋状の力強さと孤高の静けさを併せ持ったフォルムで知られています。それは、作家が生まれ育った北海道の洞爺湖や有珠山の風景を表し、自然の雄大さや優美さ、それと相反して、静寂や脅威を肌で感じながら育った作家の自然への畏怖の念を感じさせます。

これまでの道川の制作方法は、土の塊の外側にワイヤーで切り込みを入れ、轆轤を回転させながらフォルムを形成していくものでした。本展では、土の塊の内部にワイヤーで切り込みを入れるという、これまでにない画期的な方法で、《Volcano Sculptural Form》《Kohiki Sculptural Form》《Kohiki Natural Ash Sculptural Form》《Tanka with Silver Sculptural Form》の代表的な作品シリーズを完成させました。

道川の土との向き合い方は非常に真摯で、土が本来持ち合わせている形状に耳を傾けながら、最大限の可能性を瞬時に引き出します。それはインプロヴィゼーション的で、道川の楽観的な人生観を暗示しているようでもあります。

トレイハンは、道川の彫刻作品と自然との調和を象徴する自然石をギャラリー空間に展示いたします。本展の空間設計にあたり、龍安寺の石の配置を参照しています。入って直ぐの日本建築の部屋には自然の雄大さと力強さを感じさせる大型の石を3石、後ろホワイトキューブの空間には、桂川の投石を5石配置します。そして、前と後ろの部屋を繋ぐ床の間には円柱の束石を、階段下の空間や通路には小川治兵衛の守山石を置き、その上に作品を展示いたします。今展は、石から生まれる粘土の生命循環を観る者に思い起こさせ、自然の中での芸術の存在を再認識させるものです。

トレイハンは2025年大阪・関西万博のアメリカ館のパビリオンの建築をデザインし、本展は万博と同時開催いたします。不確実で複雑、不透明で曖昧な時代において、アートを通して、アメリカと日本、大阪と京都、そして、世界の人々が国境を越えて交流し、よりよい未来を形成することを目指します。

艸居:京都市東山区元町381-2 Tel: 075-746-4456 開廊時間:11:00AM - 6:00PM 休廊日: 日・月曜日

艸居アネックス: 京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F Tel: 080-9745-8452 開廊時間:1:00PM - 6:30PM
休廊日: 日・月曜日

京都 蔦屋書店

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<6F アートスクエア>

 

佐藤幸恵・佐瀬梓
「Traces of scenes」


佐藤幸恵
《気色(ケシキ)/ Scene》(画像左)
《もっけのこ》(画像右)


佐瀬梓
《Ichirin》

2025.4.17(木) ~ 6.1(日)

主催:京都 蔦屋書店

佐藤幸恵は、ガラスや木、石、針金、化石、木の実など、さまざまな素材を組み合わせて作品を制作しています。鋳造ガラスを主な素材とした代表シリーズ《気色/Scene》は、「気配」を抽象化した立体作品です。近年では、土器や化石などの欠片(かけら)を触り、なぞり、想像し、繋げることで作り上げた《残片》シリーズも手掛けています。これは、作る起点を自分自身ではなく他の物にゆだねる試みです。
佐瀬梓は、金属を叩いて造形する「鍛金」と、焼付けの技法を用いています。一輪の花のように暮らしに彩りを添える《Ichirin》、「まだ何ものでもない、ただただ無垢なもののけの子」というテーマで制作した《もっけのこ》など、シンプルでありながらも日常に寄り添うあたたかみのある作品を手掛けています。
ふたりの作品には、使用素材は異なるものの、共通して優しい雰囲気や凛とした佇まいが感じられます。元の質感を残しながらも、組み合わせや加工によって、新たな作品世界を作り出す作家たちの共演を、本展にてお楽しみください。

<6F アートウォール>

 

山口真人 個展
「SELFY - Superficial Aesthetic
- EXCLUSIVE POP-UP」


2025.4.25(金) ~ 5.18(日)

主催:京都 蔦屋書店
協力:SH GALLERY

山口真人は、グラフィックデザイナーとして活動後、2013年よりアートフェアの参加や個展開催も行い、多岐にわたって活躍しています。今年2月には、2020年から描き続けてきた「SELFY」シリーズ約300点を収録した画集『SELFY - Superficial Aesthetic -』を刊行しました。本展では、画集の刊行を記念して、原画とドローイングの展示、サイン会、トークイベントを開催します。

「SELFY」は、SNS時代における“現代の肖像画”としての新たなあり方を提示するアートシリーズです。SNSが日常化した現代、私たちの「自己」は、他者の視線と承認を前提に構築される存在へと変化しました。セルフィー(自撮り)はその象徴であり、理想化された自分を演出し、他者からの評価によって自己を確認するためのツールのようでもあります。本シリーズは、実在の人物ではなく、匿名性の高いキャラクターや加工されたようなビジュアルを通して、自己の記号化や消費を表現しています。かつての肖像画が「個の本質」を描こうとしたのに対し、「SELFY」は「社会が求める自己像」を描き出します。山口はこの作品群を通じて、「私たちは本当に“自分自身”を生きているのか?」という根源的な問いを投げかけます。

◆サイン会
会期:2025.4.26(土)、27(日)
時間:14:00~16:00
会場:京都 蔦屋書店 6F アートウォール
参加条件:店頭にて、山口真人著『SELFY-Superficial Aesthetic-』をご購入ください。

◆トークイベント
会期:2025.5.11(日)
時間:11:00~12:30
会場:京都 蔦屋書店 6F SHARE LOUNGE
登壇者:山口真人、沓名美和
参加費:1,650円(税込)

<6F ギャラリー>

 

品川 亮 個展
「And Life would all be Spring」


《After the winter》
和紙、アクリル、膠、金箔、木製パネル
750×875×50mm
2025

2025.4.5(土) ~ 4.29(火)

主催:京都 蔦屋書店
協力:SHINAGAWA STUDIO

品川亮は大学院在学中より、ホテル客室(翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都)の襖絵を依頼され、制作するなど早くから脚光を浴び、国内外からも高い注目を集め続けるアーティストです。
高校卒業後、早くからイタリアやスイスに渡り、西洋美術に触れることで絵画史への理解と考察を深めた品川は帰国後、「日本の絵画」についての探求を始めます。岩絵具や箔といった伝統的な日本画の素材を用いて、やまと絵、琳派、狩野派などの様式を引用しつつも、そこに近代美術の技法や現代性を取り入れることで、いまを生きる日本人の自分にしか描くことのできない作品を作り出すことを試みています。現在は、掛け軸や襖絵などの伝統的な様式から現代の建築空間まで、幅広い表現をつくり出すことに積極的に取り組んでおり、国内外での展示発表のほか、京都の寺院への所蔵や、企業のコミッションワークも幅広く行っています。
今回の展示では、厳しい冬を乗り越えて訪れた春を祝うような、華やかで豊潤な作品を展示します。絵画と素材への深い見識と情熱から生み出される品川亮の豊かな表現の挑戦をどうぞご覧ください。

【本展に寄せて】

絵を描く時、紙をパネルに張り込んだ時点で、そこには空間がもう描かれていて、僕はそこに絵の具を使って演出を加えている、という感覚があります。無限に広がる絵画という箱の中で自分はどんなことができるのか。それは金箔でも紙のままでも同じです。
そして常に、絵の具を置く心地よさ、思索する快楽があります。とても楽しく、うまくいかないこともまたわくわくします。 描きすすめていくと、早く完成が見たいという気持ちと同時に、完成しないでほしい、完成しなければいつまでも頭の中の理想の絵画のままなのに、と思いながら制作しています。 たくさんの人に見ていただけると嬉しいです。

品川 亮

 

サイトウナオコ 個展
「雨まじりもスロウなテンポはただ無造作に消える」


《雨まじりのとき》2025

2025.5.3(土) ~ 5.27(火)

主催:京都 蔦屋書店

アンニュイな⼥性とそこに寄り添う猫。植物や暮らしの中のひとかけら。
サイトウナオコは、「ふつうの日々」をテーマに、なにげない日常のワンシーンを柔らかな筆致で描いているアーティストです。和紙や、ストックしているという包装紙やノートといった古い紙に岩絵の具等の顔料、パステルなどを使って描かれた作品は、鮮やかでありながら優しい色彩や触れたくなるような質感で、鑑賞者の記憶の風景とリンクし、どこか懐かしい気持ちを呼び起こします。
本展では、100号の作品3点を含むパネル張りの作品とドローイングの、合わせて新作約20点を中⼼に展⽰します。色と質感に心地よく没入できるサイトウナオコの作品世界をどうぞお楽しみください。

【アーティストステートメント】

作品は、静止画というよりは線や色面を介した揺らぎのある余韻を感じるものとして表現したいと思っています。
とても曖昧だけど確実な記憶の断片を持っていたりします。
たとえば雨のにおいや整髪料のにおいが 胸をざわつかせたり、特に好きでもないメロディーが 子供の頃の記憶を鮮明に呼び戻したり。
私の描くモチーフは、曖昧だけど確実な何かでありたいと思っています。
そのためにあえて具体的な環境設定や詳細を削ぎ落とすこともしていくのですが、質感としてリアリティを追求していくことは絶対的に不可欠なのです。
顔料や日常から生まれた材料、古くから存在する支持体などに触れ、一見混ざりあうようで互いの存在を見せ付け合いながら変化する粒たちと紙を眺め、その広がってゆく様や定着に向かうまでの揺らぎ、沈殿の時差など、こうしたことがイメージするシーンと折り合いがついてくる瞬間はその度にゾクゾクします。
私自身の興味や感触によりあらわれた作品たちがどれだけ見てくれる方々のリアリティと共鳴できるのか、ということが私の今の表現活動なのだと思います。

京都市下京区四条通寺町東入ニ丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
Tel: 075-606-4525 営業時間:10:00~20:00 (不定休)

美術館情報

京都市京セラ美術館
本館 北回廊1F
本館 南回廊1F

モネ 睡蓮のとき
2025.3.7(金)-
6.8(日)



京都市京セラ美術館
新館 東山キューブ

松本市美術館所蔵
草間彌生
版画の世界
―反復と増殖―
2025.4.25(金)-
9.7(日)



京都市京セラ美術館
ザ・トライアングル

迎英里子
approach 3.1
2025.3.29(土)-
6.1(日)



京都国立近代美術館

〈若きポーランド〉
ー色彩と魂の詩(うた)
1890-1918
2025.3.25(火)-
6.29(日)



美術館「えき」KYOTO

中村征夫写真展
海中顔面大博覧会
2025.4.19(土)– 5.25(日)



京都文化博物館

<4・3階展示室>

特別展
「和食
〜日本の自然、
人々の知恵〜」
2025.4.26(土)-
7.6(日)



京都国立博物館

大阪・関西万博開催記念
特別展
日本、美のるつぼ
―異文化交流の軌跡―
2025.4.19(土)–
6.15(日)



特別展
宋元仏画
─蒼海(うみ)を
越えたほとけたち
2025.9.20(土)–
11.16(日)



細見美術館

細見コレクション
若冲と江戸絵画
2025.3.1(土)-
5.11(日)


伊藤若冲
《糸瓜群虫図》
江戶中期
細見美術館蔵